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  • 平成25年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第2節 団体別の検査結果 |
  • 第38 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 |
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

有効に利用されていない土地について具体的な処分計画を策定して国庫納付に向けた手続に着手するなどするよう改善させたもの


科目
(職業能力開発勘定)土地
部局等
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構本部、高度職業能力開発促進センター
有効に利用されていない土地の概要
千葉市内に保有している土地5,276.00m2
上記に係る平成26年3月31日現在の帳簿価額
6億4820万円

1 保有資産の概要等

(1)保有資産の概要

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「機構」という。)は、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構法(平成14年法律第165号。平成23年10月1日以降は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構法)に基づき、15年10月に、高年齢者等の雇用の機会の増大に資する措置を講ずる事業主等に対して給付金を支給することなどの業務に関して、国、認可法人であった日本障害者雇用促進協会等の有する権利及び義務を承継して設立された。また、機構は、独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律(平成23年法律第26号)に基づき、23年10月に、同月に解散した独立行政法人雇用・能力開発機構(以下「旧機構」という。)の職業能力開発促進センター等の設置、運営等の業務の一部に係る権利及び義務を承継した。

そして、機構は、本部、全国に所在する職業能力開発促進センター等に係る土地(事業用地、宿舎用地等。帳簿価額(26年3月31日現在。以下同じ。)2903億7038万余円)を保有しており、そのほとんどが機構が設立された際並びに機構が旧機構の権利及び義務を承継した際にそれぞれの業務を確実に実施するために必要な資産であるとして国、旧機構等から政府出資見合いなどの資産として承継された資産である。

(2)保有資産の見直しと不要財産の処分

独立行政法人は、22年の独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)の改正により、中期目標期間の途中であっても、通則法第8条第3項の規定により、その保有する重要な財産であって主務省令で定めるものが将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がなくなったと認められる場合には、当該財産(以下「不要財産」という。)を処分しなければならないこととなっているほか、通則法第46条の2の規定により、不要財産であって政府からの出資又は支出(金銭の出資に該当するものを除く。)に係るものについては、遅滞なく、主務大臣の認可を受けて、これを国庫に納付することとなっている。また、不要財産であって政府以外の者からの出資に係るものについては、通則法第46条の3の規定により、出資者から持分の払戻しの請求があった場合は、遅滞なく出資者に払い戻すこととなっている。

そして、政府は、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(平成22年12月閣議決定。以下「基本方針」という。)において、独立行政法人の保有する施設等について、保有する必要性があるかなどについて厳しく検証して、不要と認められるものについては速やかに国庫に納付すること、各独立行政法人が、幅広い資産を対象に、自主的な見直しを不断に行うことなどを掲げている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

独立行政法人は、上記のとおり、基本方針において、保有する資産等の必要性等について厳しく検証すること、幅広い資産を対象に自主的な見直しを不断に行うことなどが求められている。

本院は、有効性等の観点から、機構が保有している政府出資見合いの資産の中でも過半を占める土地が機構の業務を確実に実施するという目的に沿って有効に利用されているか、利用されていない土地について売却等の処分計画や施設整備等の利用計画が策定されているかなどに着眼して、前記の土地を対象として、機構の本部等において、施設の配置図等の関係書類及び土地の現況を確認するなどして会計実地検査を行った。

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

機構は、23年10月に、旧機構から政府出資見合いなどの資産として、職業能力開発促進センターの一つである高度職業能力開発促進センター(千葉市美浜区所在)の敷地を承継した。しかし、その一部(面積5,276.00m2。帳簿価額6億4820万余円)については、25年12月の会計実地検査時点においても更地のままとなっていて、機構はこの土地を有効に利用しておらず、また、具体的な処分計画又は利用計画を策定していなかった。

このように、機構の業務を確実に実施するために必要であるとして旧機構から承継した土地が有効に利用されておらず、具体的な処分計画又は利用計画が策定されないまま保有されていて、通則法の改正の趣旨及び基本方針にのっとっていない事態は適切ではなく、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、次のことなどによると認められた。

  • ア 高度職業能力開発促進センターにおいて、有効に利用されていない土地について、不断の見直しや具体的な処分計画又は利用計画を策定することについての理解が十分でなかったこと
  • イ 機構本部において、高度職業能力開発促進センターの土地のような有効に利用されていない土地が見受けられる状況にある中で、各職業能力開発促進センター等が管理する土地に係る自主的な見直しを不断に行う体制が十分に整備されていなかったこと

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、機構は、次のとおり処置を講じた。

機構は、26年3月に前記の土地について具体的な処分計画を策定し、同年8月までに売却するための測量等を完了させて、国庫納付に向けた具体的な手続を開始した。

また、機構本部は、同月までに、各職業能力開発促進センター等に毎年7月現在における未利用地の状況等を報告させて、機構本部の担当部署において確認及び検討を行うこととする自主的な見直しを不断に行う体制を整備するとともに、各職業能力開発促進センター等に事務連絡を発して、自主的な見直しを不断に行うことや、具体的な処分計画又は利用計画を策定することについて周知徹底を図った。