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  • 平成25年度|
  • 第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等|
  • 第3節 特定検査対象に関する検査状況

第7 東日本大震災により発生した災害廃棄物等の処理について


検査対象
環境本省、東北地方環境事務所福島環境再生事務所、岩手県、宮城県、福島県
会計名
一般会計、東日本大震災復興特別会計
事業の概要
東日本大震災で発生した災害廃棄物等の処理を行うもの
災害廃棄物等の処理に係る事業費
1兆3202億円(平成23年度~25年度)

1 検査の背景

(1) 東日本大震災により発生した災害廃棄物等の処理

東日本大震災では、13道県(注1)239市町村において、災害廃棄物約2018万tに加えて、津波による土砂及び泥状物(以下「津波堆積物」という。)約1101万tが発生したと推計されており、災害廃棄物及び津波堆積物(以下「災害廃棄物等」という。)の計約3120万t(注2)について処理が必要とされた。

(注1)
13道県  北海道、青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、新潟、長野、静岡各県
(注2)
約3120万t  環境省の「東日本大震災に係る災害廃棄物及び津波堆積物の処理の進捗状況(13道県)」(平成25年度末現在)による。

環境省は、災害廃棄物等の中間処理・最終処分については、平成23年5月策定の「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)」等において、25年度末を目途に完了することとしており、福島県を除く12道県については25年度末で処理が完了している。その結果、13道県に係る25年度末時点での処理量は計2978万tで、推計量に対して95.4%となっている。

(2) 災害廃棄物等の処理に係る国の施策等

ア 市町村の処理に係る国庫補助

環境省は、災害廃棄物等の処理事業を行う市町村等に対して災害等廃棄物処理事業費補助金(以下「事業費補助金」という。)を交付している。また、特定被災地方公共団体(注3)に該当する市町村(以下「特定被災市町村」という。)が所在する道県に対して、事業費補助金の上乗せ分として、災害廃棄物処理促進費補助金(以下「促進費補助金」という。)を交付し、道県においてこれを原資に基金を造成している。そして、特定被災市町村に対して、事業費補助金に加えて基金を通じて促進費補助金、さらに、震災復興特別交付税を交付することから、国の負担が実質100%になっている。

(注3)
特定被災地方公共団体  都道府県については、青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉、新潟、長野各県、市町村については、災害救助法(昭和22年法律第118号)が適用され、かつ、住宅の全壊戸数が一定規模以上等の要件に該当する市町村をいう。

イ 福島県における国の直轄処理及び国の代行処理

国は、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(平成23年法律第110号)に基づいて、汚染廃棄物対策地域(注4)(以下「対策地域」という。)を指定して、対策地域内廃棄物処理計画を定めた上で、この計画に従って、対策地域内の災害廃棄物(対策地域内の災害廃棄物に限り帰還の準備に伴って生ずる家の片付けごみを含む。以下同じ。)の収集、運搬、保管及び処分(以下「国の直轄処理」という。)を行わなければならないこととなった。また、「東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法」(平成23年法律第99号)において、国が被害を受けた市町村に代わって災害廃棄物を処理(以下「国の代行処理」という。)できることとなった。このため、福島県では、市町村の処理と併せて、国の直轄処理及び国の代行処理が実施されている。

(注4)
汚染廃棄物対策地域  楢葉、富岡、大熊、双葉、浪江各町、葛尾、飯舘両村の全域並びに田村、南相馬両市、川俣町及び川内村の区域のうち平成23年12月28日の時点で警戒区域又は計画的避難区域であった区域

(3) 災害廃棄物等の処理事業に係る予算の概要

23年度から25年度までの間に実施された災害廃棄物等の処理事業に係る主な予算額は、表1のとおり、計1兆3202億余円となっている。

表1 災害廃棄物等の処理事業に係る予算の概要

(単位:千円)
区分 平成23年度 24年度 25年度
一般会計 東日本大震災復興特別会計 東日本大震災復興特別会計
災害等廃棄物処理事業費補助金 664,903,695 295,842,497 118,366,149 1,079,112,341
災害廃棄物処理促進費補助金 67,963,526 32,137,009 100,100,535
放射性物質汚染廃棄物処理事業費 26,882,405 52,826,160 34,238,154 113,946,719
災害等廃棄物処理事業費 4,769,000 16,068,039 6,289,379 27,126,418
764,518,626 396,873,705 158,893,682 1,320,286,013

2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

本院は、24、25両年次に、災害廃棄物等の処理について会計実地検査を行い、その結果を平成23年度決算検査報告及び平成24年度決算検査報告に掲記した。

26年次については、福島県を除く12道県における処理が25年度末で完了したことを踏まえて、合規性、有効性等の観点から、災害廃棄物等の処理事業に係る予算の執行は適切に行われたか、処理量が多い岩手、宮城、福島各県(以下「東北3県」という。)における災害廃棄物等の処理はどのようになっているか、災害廃棄物等の処理によって得られた知見等に今後活用可能なものはあるかなどに着眼して検査した。

(2) 検査の対象及び方法

23年度から25年度までの間に実施された災害廃棄物等の処理事業を対象に、環境本省、東北地方環境事務所福島環境再生事務所(以下「再生事務所」という。)及び東北3県において、災害廃棄物等の処理や国の直轄処理及び国の代行処理に係る関係書類、事業費補助金に係る実績報告書等の提出を受けるなどして会計実地検査を行った。

3 検査の状況

(1) 災害廃棄物等の処理事業に係る予算の執行状況

ア 国庫補助事業に係る予算(事業費補助金及び促進費補助金)

事業費補助金は、表2のとおり、3か年の支出済額が計9334億余円であり、歳出予算額計1兆0791億余円に対して86.5%となっている。25年度の翌年度繰越額707億余円は、主に東北3県に係るものであり、このうち、25年度で処理が完了している岩手、宮城両県については、仮置場の原状回復が残っていることによるものである。

表2 事業費補助金の予算の執行状況(平成23年度~25年度)

(単位:千円)
年度 会計 歳出予算額 歳出予算現額 支出済額 翌年度繰越額 不用額
平成23 一般会計 664,903,695 664,903,695 267,649,529 372,337,919 24,916,247
24 一般会計 372,337,919 276,958,862 88,393,835 6,985,222
東日本大震災復興特別会計 295,842,497 295,842,497 44,619,567 250,294,937 927,993
25 一般会計 88,393,835 58,428,130 29,965,705
東日本大震災復興特別会計 118,366,149 368,661,086 285,821,019 70,705,050 12,135,017
1,079,112,341 933,477,107 74,930,184

促進費補助金は、表3のとおり、3か年で計987億余円が10道県へ交付され、各道県において基金が造成されている。

表3 促進費補助金の予算の執行状況(平成23年度~25年度)

(単位:千円)
年度 会計 歳出予算額 歳出予算現額 支出済額 翌年度繰越額 不用額
平成23 一般会計 67,963,526 67,963,526 50,886,965 17,076,561
24 一般会計 17,076,561 17,076,561
東日本大震災復興特別会計 32,137,009 32,137,009 4,030,061 28,106,948
25 東日本大震災復興特別会計 28,106,948 26,767,633 1,339,315
100,100,535 98,761,220 1,339,315

また、市町村等へ交付された国庫補助金は、表4のとおり、3か年で計1兆0202億余円となっており、このうち東北3県が計1兆0012億余円と98.1%を占めている。

表4 市町村等への国庫補助金の交付額(平成23年度~25年度の計)

(単位:千円)
道県 災害等廃棄物処理事業費補助金(A) 災害廃棄物処理促進費補助金   市町村等へ交付された国庫補助金
(A)+(B)
構成割合(%)
基金から市町村へ交付された額(B)
  岩手県 234,963,532 20,004,669 18,622,322 253,585,854 24.9%
宮城県 601,070,199 57,958,153 54,379,313 655,449,512 64.2%
福島県 82,834,120 16,280,390 9,340,987 92,175,107 9.0%
東北3県計 918,867,851 94,243,212 82,342,622 1,001,210,473 98.1%
10道県(注) 14,609,256 4,518,008 4,403,045 19,012,301 1.9%
合計 933,477,107 98,761,220 86,745,667 1,020,222,774 100.0%
(注)
北海道、青森、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、新潟、長野、静岡各県

イ 国の直轄処理に係る予算(放射性物質汚染廃棄物処理事業費)

国の直轄処理に係る放射性物質汚染廃棄物処理事業費は、表5のとおり、3か年の支出済額が計149億余円であり、歳出予算額計1139億余円に対して13.1%となっていて低調な執行率となっているが、これは、処理の進捗が遅れていることによるものである。

表5 放射性物質汚染廃棄物処理事業費の予算の執行状況(平成23年度~25年度)

(単位:千円)
年度 会計 歳出予算額 歳出予算現額 支出済額 翌年度繰越額 不用額
平成23 一般会計 26,882,405 26,882,405 18,842 26,862,628 934
24 一般会計 26,862,628 2,142,278 50,283 24,670,065
東日本大震災復興特別会計 52,826,160 52,826,160 604,024 51,563,199 658,936
25 一般会計 50,283 49,431 851
東日本大震災復興特別会計 34,238,154 85,801,353 12,105,840 34,216,485 39,479,027
113,946,719 14,920,417 64,809,815

ウ 国の代行処理に係る予算(災害等廃棄物処理事業費)

国の代行処理に係る災害等廃棄物処理事業費は、表6のとおり、3か年の支出済額が計88億余円であり、歳出予算額計271億余円に対して32.5%となっていて低調な執行率となっているが、これも、イと同様に処理の進捗が遅れていることによるものである。

表6 災害等廃棄物処理事業費の予算の執行状況(平成23年度~25年度)

(単位:千円)
年度 会計 歳出予算額 歳出予算現額 支出済額 翌年度繰越額 不用額
平成23 一般会計 4,769,000 4,769,000 4,769,000
24 一般会計 4,769,000 4,371,796 397,203
東日本大震災復興特別会計 16,068,039 16,068,039 1,612,006 14,289,543 166,489
25 東日本大震災復興特別会計 6,289,379 20,578,922 2,828,239 6,019,791 11,730,891
27,126,418 8,812,043 12,294,583

(2) 岩手県内の処理状況等

ア 処理体制、県内の処理状況

(ア) 処理体制

岩手県内で災害廃棄物等の処理のために国庫補助金の交付を受けた19市町村等のうち、沿岸部の12市町村(注5)は、自ら処理を行うことが困難であるなどとして、処理の一部の事務を同県に委託している。また、県内で処理しきれない災害廃棄物については、県外での処理(以下「広域処理」という。)を行っている。

(注5)
12市町村  宮古、大船渡、久慈、陸前高田、釜石各市、大槌、山田、岩泉、洋野各町、田野畑、普代、野田各村
(イ) 県内の処理状況

12市町村の処理量は583万tであり、このうち土木資材等へ再資源化されたものは510万tで、再資源化率は87.5%と高くなっていた。再資源化されたものは、主にコンクリート殻や津波堆積物であるが、そのほか処理の拠点とされた太平洋セメント株式会社大船渡工場(以下「太平洋セメント」という。)において可燃物及び不燃物等をセメント原燃料化して最終処分場への埋立てを抑制したことで、再資源化率の上昇が図られ、25年度末までの処理完了につながった。

また、計画段階では最終処分場が十分確保できていない状況となっていたが、上記のセメント原燃料化等により最終処分量を極力圧縮するとともに、県内処理施設や広域処理を活用したことにより、全ての処理先を確保することができた。

イ 災害廃棄物等の処理に係る事業費等

(ア) 災害廃棄物等の処理に係る国庫補助金等

12市町村における災害廃棄物等の処理に係る国庫補助金の交付額は計2610億余円となっており、岩手県全体の交付額計2630億余円の99.2%を占めている。そして、12市町村の国庫補助金額に対応する事業費は表7のとおりであり、この事業費を災害廃棄物等の処理量で除して1t当たり事業費を試算したところ、32,593円から56,871円までとなっていた。

表7 12市町村に係る事業費、国庫補助金等(平成23年度~25年度の計)

市町村名 災害廃棄物等の処理量(千t) 事業費(千円)
(B)
国庫補助金(千円) 1t当たり事業費(円)
(B/A)
(A) 災害廃棄物 津波堆積物
宮古市 802 601 200 37,216,685 34,671,611 46,398
大船渡市 853 623 229 48,517,622 47,030,957 56,871
久慈市 90 76 14 4,469,310 4,050,895 49,549
陸前高田市 1,682 1,077 604 79,648,054 78,974,672 47,337
釜石市 945 753 192 40,531,568 38,192,658 42,873
大槌町 659 452 206 24,503,507 23,344,292 37,165
山田町 482 423 59 21,618,869 20,562,439 44,832
岩泉町 64 30 34 2,117,995 1,899,305 32,593
田野畑村 55 36 18 2,341,408 2,201,559 42,199
普代村 14 14 535,119 496,791 37,560
野田村 167 120 46 9,202,473 8,837,973 54,993
洋野町 20 17 2 844,537 752,587 42,077
5,836 4,228 1,608 271,547,152 261,015,739 46,521
注(1)
事業費は、平成23年度から25年度までの実績報告書及び25年度の交付申請書に記載されている事業費である。
注(2)
国庫補助金額は、出納整理期間を含む平成25年度末時点の額であり、支出済額から国庫返納額を控除した額及び26年度への繰越額の計である。
(イ) 災害廃棄物等の処理に係る事業費の内訳

災害廃棄物等の種類や量と事業費の関係をみると、可燃物及び不燃物は基本的に焼却、埋立てなどの処理を必要とすることから、これらの処理が不要なコンクリート殻及び津波堆積物より1t当たり事業費が高くなる傾向にある。そこで、災害廃棄物等の発生量及び事業費が多い大船渡、陸前高田、釜石各市(以下「3市」という。)について、災害廃棄物等の処理の実績を種類別にみたところ、表8のとおりとなっており、可燃物及び不燃物の割合が高い大船渡市は、コンクリート殻及び津波堆積物の割合が高い陸前高田、釜石両市に比べて1t当たり事業費が高くなっていた。

表8 3市における災害廃棄物等の種類別処理実績

市名 柱材・角材 可燃物 不燃物 津波堆積物 コンクリート殻 金属くず 漁具・漁網 その他
大船渡市 処理量(t) 7,951 159,030 125,948 229,542 268,247 34,133 5,042 23,212 853,110
割合(%) 0.9 18.6 14.8 26.9 31.4 4.0 0.6 2.7 100.0
陸前高田市 処理量(t) 19,642 122,742 300,880 604,592 589,750 36,899 3,228 4,820 1,682,556
割合(%) 1.2 7.3 17.9 35.9 35.1 2.2 0.2 0.3 100.0
釜石市 処理量(t) 12,294 86,404 71,988 192,279 541,120 36,324 3,257 1,709 945,380
割合(%) 1.3 9.1 7.6 20.3 57.2 3.8 0.3 0.2 100.0

また、表9のとおり、3市における事業費を災害廃棄物等の処理工程に応じて四つに区分したところ、コンクリート殻及び津波堆積物の割合が高い陸前高田、釜石両市において「中間処理」の区分が高い割合を占めていた。これは、主に処理に係る費用が、仮置場での破砕や分別等の処理に係る「中間処理」の区分で発生していることによるものである。

表9 事業費の内訳、1t当たり事業費

(単位:円、%)
市名 事業費(計) 解体・撤去・収集 中間処理 処理・処分 その他
仮置場までの撤去・運搬 仮置場の造成、仮置場での処理 焼却・埋立て・リサイクル、仮置場からの運搬 事務費、放射線測定費、施工管理、調査費
  割合   割合   割合   割合   割合
大船渡市 48,517,622,489 100.0 10,825,252,764 22.3 13,827,138,480 28.5 22,871,430,737 47.1 993,800,508 2.0
1t当たり事業費
56,871 12,689 16,207 26,809 1,164
陸前高田市 79,648,054,339 100.0 10,173,173,791 12.8 37,494,812,096 47.1 31,224,513,077 39.2 755,555,375 0.9
1t当たり事業費
47,337 6,046 22,284 18,557 449
釜石市 40,531,568,888 100.0 8,537,708,206 21.1 16,521,727,336 40.8 14,737,320,133 36.4 734,813,213 1.8
1t当たり事業費
42,873 9,030 17,476 15,588 777

さらに、主に焼却や埋立てなどの処理に係る「処理・処分」の区分についてみたところ、大船渡、陸前高田両市は、可燃物の大半及び不燃物の全てを太平洋セメントにおいてセメント原燃料化や焼却処理を行っており、太平洋セメントにおける処理に費用を要したことから、当該区分に占める太平洋セメントに関連する費用の割合が大船渡、陸前高田両市でそれぞれ78.7%、87.0%と高くなっていた。

(3) 宮城県内の処理状況等

ア 処理体制、県内の処理状況

(ア) 処理体制

宮城県内で災害廃棄物等の処理のために国庫補助金の交付を受けた市町村は34市町村ある。そして、沿岸部の15市町(注6)のうち仙台市及び利府町を除いた13市町は、自ら処理を行うことが困難であるなどとして、処理の一部の事務を同県に委託(以下「県事務委託」という。)している。

県事務委託では、緊急を要する撤去等の処理を行うとともに、主に中間処理から最終処分までの一貫した処理について、複数の事業者から広く技術提案を募り、優れた提案を行った事業者と随意契約を締結することによる処理(以下「プロポーザル処理」という。)を行っていて、宮城県における処理の大きな特色となっている。また、災害廃棄物の一部については、広域処理を行っている。

(注6)
15市町  仙台、石巻、塩竈、気仙沼、名取、多賀城、岩沼、東松島各市、亘理、山元、松島、七ヶ浜、利府、女川、南三陸各町
(イ) 県内の処理状況

県事務委託による処理量は計971万tであったが、このうち、土木資材等へ再資源化された災害廃棄物等は805万tで、焼却灰の造粒固化物(注7)として再資源化された42万tを加えると計847万tの災害廃棄物等が再資源化されており、その再資源化率は87.3%と高くなっていた。

(注7)
焼却灰の造粒固化物  焼却灰(主灰)をふるいに掛けて金属等を取り除いた後、セメントや不溶化剤等を添加して、混合することにより、再資源化されたもの。

また、処理施設の改造を行うなどしたことにより、計画段階で77万tの最終処分量を35万tに圧縮して県内処理又は広域処理を行っていた。なお、市町村が自ら処理する災害廃棄物等も、全て処理を完了している。

イ 災害廃棄物等の処理に係る事業費等

(ア) 災害廃棄物等の処理に係る国庫補助金等

15市町における災害廃棄物等の処理に係る国庫補助金の交付額は3か年で計6693億余円となっており、宮城県全体の交付額計6832億余円の98.0%を占めている。そして、15市町の国庫補助金額に対応する事業費は、表10のとおりであり、この事業費を災害廃棄物等の処理量で除して1t当たり事業費を試算したところ、18,880円から64,388円までとなっていた。

表10 15市町に係る事業費、国庫補助金等(平成23年度~25年度の計)

市町名 災害廃棄物等の処理量(千t) (Aのうちプロポーザル処理) 事業費(千円)
(C)
国庫補助金(千円) 1t当たり事業費(円)
(C/A)
(A) 災害廃棄物 津波堆積物 プロポーザル処理量(千t)(B) B/A(%)
仙台市 2,716 1,361 1,354 84,108,031 70,824,251 30,959
石巻市 4,118 3,256 862 2,882 70.0 194,715,444 192,057,787 47,273
塩竈市 247 235 12 96 38.9 15,938,136 14,964,992 64,388
気仙沼市 2,015 1,113 901 1,656 82.2 114,600,603 108,709,272 56,853
名取市 963 741 222 771 80.0 31,839,857 30,345,644 33,031
多賀城市 340 229 110 35 10.4 15,248,793 14,458,207 44,808
岩沼市 626 464 162 622 99.4 25,879,508 24,435,700 41,297
東松島市 3,096 936 2,160 124 4.0 58,470,236 56,936,365 18,880
亘理町 855 475 380 838 98.1 47,979,247 46,698,022 56,093
山元町 1,641 708 933 1,640 99.9 43,888,314 43,668,870 26,729
松島町 64 62 1 2,137,366 2,045,326 33,241
七ヶ浜町 532 221 310 198 37.3 16,688,403 15,611,147 31,355
利府町 18 18 466,274 371,453 25,025
女川町 729 729 21 2.9 17,801,382 16,444,329 24,406
南三陸町 723 551 171 659 91.1 33,125,715 31,771,569 45,786
18,691 11,107 7,584 9,547 51.1 702,887,316 669,342,934 37,603
注(1)
事業費は、平成23年度から25年度までの実績報告書及び25年度の交付申請書に記載されている事業費である。
注(2)
国庫補助金額は、出納整理期間を含む平成25年度末時点の額であり、支出済額から国庫返納額を控除した額及び26年度への繰越額の計である。
(イ) 災害廃棄物等の処理に係る事業費の内訳

表10のうち、災害廃棄物等の発生量が多い仙台、石巻、気仙沼、東松島各市(以下「4市」という。)について、災害廃棄物等の処理の実績を種類別にみたところ、表11のとおりとなっており、津波堆積物の割合が高い東松島市で1t当たり事業費が低くなっていた。

表11 4市における災害廃棄物等の種類別処理実績

市名 木くず 可燃物 不燃物 津波堆積物 コンクリート殻 金属くず その他
仙台市 処理量(t) 98,794 261,993 117,172 1,354,999 776,569 74,297 32,899 2,716,723
割合(%) 3.6 9.6 4.3 49.9 28.6 2.7 1.2 100.0
石巻市 処理量(t) 73,004 519,914 598,220 862,634 1,855,579 93,684 115,846 4,118,884
割合(%) 1.8 12.6 14.5 20.9 45.1 2.3 2.8 100.0
気仙沼市 処理量(t) 72,634 172,970 85,491 901,762 627,344 56,769 98,754 2,015,728
割合(%) 3.6 8.6 4.2 44.7 31.1 2.8 4.9 100.0
東松島市 処理量(t) 358,784 123,658 335 2,160,800 425,719 25,854 1,691 3,096,845
割合(%) 11.6 4.0 0.0 69.8 13.8 0.8 0.1 100.0
(注)
石巻、東松島両市については、環境省からの提供資料に宮城県の資料を加味して、本院において算出している。

また、表12のとおり、4市における事業費を災害廃棄物等の処理工程に応じて三つに区分したところ、プロポーザル処理に係る事業費の割合が高い石巻市(1224億余円、84.8%)及び気仙沼市(751億余円、85.2%)で仮置場の造成以降の処理に係る「中間処理~処理・処分」の割合が高くなっていた。特に、気仙沼市において1t当たり事業費が43,755円と高くなっているが、これは、プロポーザル処理に係る処理期間が約1年と短期間となったこと、処理施設が2か所に分散したことなどによるものと思料される。

表12 事業費の内訳、1t当たり事業費

(単位:円、%)
市名 事業費(計) 解体・撤去・収集 中間処理~処理・処分 その他
仮置場までの撤去・運搬 仮置場の造成、仮置場での処理、焼却・埋立て・リサイクル 事務費、放射線測定費、施工管理、調査費
  割合   割合   割合   割合
仙台市 84,108,031,740 100.0 39,478,877,222 46.9 43,766,017,550 52.0 863,136,968 1.0
1t当たり事業費
30,959 14,531 16,109 317
石巻市 194,715,444,011 100.0 47,230,013,861 24.3 144,366,377,414 74.1 3,119,052,736 1.6
1t当たり事業費
47,273 11,466 35,049 757
気仙沼市 114,600,603,459 100.0 25,208,756,881 22.0 88,198,209,305 77.0 1,193,637,273 1.0
1t当たり事業費
56,853 12,506 43,755 592
東松島市 58,470,236,931 100.0 34,109,743,925 58.3 24,227,904,447 41.4 132,588,559 0.2
1t当たり事業費
18,880 11,014 7,823 42
(注)
プロポーザル処理については「中間処理」と「処理・処分」に区分することができないため、三つの区分としている。

一方、仙台、東松島両市においては基本的に市による処理が行われており、特に、東松島市の1t当たりの事業費が低くなっているが、これは同市が、過去の震災の経験から仮置場に持ち込まれる災害廃棄物等の分別を徹底して行ったこと、また、表11のとおり災害廃棄物等に占める津波堆積物の割合が多く、その1t当たり事業費(収集、運搬を除く。)を試算したところ1,413円と低額であったことが要因と思料される。

ウ プロポーザル処理

(ア) 契約の状況

宮城県は、県事務委託を受けた13市町のうち、松島町を除いた12市町の災害廃棄物等の処理を行うために、市町の枠を超えた八つの地域ブロック又は処理区(以下「ブロック等」という。)を設定して、ブロック等ごとに選定した共同企業体との間で契約を締結しており、その契約額は、当初、計4136億余円であったのに対して、変更契約(25年度末時点)では438億円減額して、計3698億余円となっていた。

そして、当初契約と変更契約の直接業務費の内訳はのとおりとなっており、「災害廃棄物等の収集・運搬、処理等に係る費用」が計1220億円の減額となっていた。これは、主にプロポーザル処理により行うとされていた災害廃棄物等の処理対象量が計1686万tから計955万tに43.3%減少したことによるものである。なお、焼却処理量等に応じて整備された仮設焼却炉はおおむね9割程度で稼働していた。

図 直接業務費の推移

直接業務費の推移

(イ) 減容化や再資源化のために導入された技術等

宮城県は、当初の処理対象量に対応した最終処分場の確保が困難であるなどのため、全てのブロック等において災害廃棄物等の処理方法を見直して、最終処分量を削減する減容化や再資源化の処理に必要な様々な技術を導入するなどしている。特に、焼却灰の造粒固化処理技術は、焼却灰を再資源化して最終処分量を削減する技術であることなどから、全てのブロック等において導入されたものであり、これに係る費用は、のとおり、25年度末時点の変更契約で計95億円となっていた。そして、同県は、焼却灰の造粒固化物について、技術試験を行い安全性が確保されることを確認した上で、土木資材として活用している。

このように、焼却灰の造粒固化処理技術は、同技術が全てのブロック等において導入されたことにより、焼却灰の再資源化が促進されて最終処分量が削減されることになり、当初の目標であった25年度末までの処理完了に寄与したものと思料される。

(4) 福島県内の処理状況等

ア 災害廃棄物等の処理に係る支出済額等

福島県内における国の直轄処理、国の代行処理及び市町村による処理について、3か年の支出済額等は、表13のとおり、計1182億余円となっている。

表13 福島県内の災害廃棄物等の処理に係る支出済額等(平成23年度~25年度の計)

(単位:千円)
処理区分 市町村数 放射性物質汚染廃棄物処理事業費 災害等廃棄物処理事業費 災害等廃棄物処理事業費補助金 災害廃棄物処理促進費補助金 比率
国の直轄処理 11市町村 14,920,417 14,920,417 12.6%
国の代行処理 4市町 8,812,043 8,812,043 7.5%
市町村による処理 39市町村 85,131,805 9,343,264 94,475,069 79.9%
46市町村 14,920,417 8,812,043 85,131,805 9,343,264 118,207,529 100.0%
注(1)
国庫補助金額は、出納整理期間を含む平成25年度末時点の額であり、支出済額から国庫返納額を控除した額及び26年度への繰越額の計である。
注(2)
市町村による処理が実施されている39市町村には、国の直轄処理が実施されている4市町村、国の代行処理が実施されている4市町が含まれており、また、単独事業により処理が実施されている4町村が含まれている。

イ 進捗状況等

災害廃棄物等の処理が実施されている46市町村に係る26年5月末現在の災害廃棄物等の処理の進捗状況は、表14のとおりである。環境省は、25年9月に「福島県の災害廃棄物等の処理進捗状況についての総点検」(以下「総点検」という。)を公表し、福島県の災害廃棄物等の処理完了の目標を26年度以降へ延長している。

表14 福島県内における災害廃棄物等の処理の状況(平成26年5月末現在)

区分 市町村名 事業区分 推計量(t) 処理量(t) 処理率 処理状況
災害廃棄物 津波堆積物 災害廃棄物 津波堆積物 災害廃棄物 津波堆積物
対策地域 国の直轄処理
(11市町村) 注(1)
◎ 田村市 注(2)注(3)
1,300 未確定 未確定 未完了
11市町村
◎ 南相馬市 注(2)
247,000 0 0.0%
◎ 川俣町 注(2)
860 0 0.0%
楢葉町 62,000 0 0.0%
富岡町 91,000 0 0.0%
◎ 川内村 注(2)
1,200 0 0.0%
大熊町 3,400 0 0.0%
双葉町 13,000 0 0.0%
浪江町 263,000 0 0.0%
葛尾村 660 0 0.0%
飯舘村 660 0 0.0%
対策地域外 市町村による処理
(39市町村)
(補助事業35市町村単独事業4町村)
  沿岸部 いわき市 補助 664,626 157,407 661,468 74,081 99.5% 47.1% 未完了
5市町 注(7)
国の代行処理 相馬市 注(4)注(5) 補助 231,738 522,089 232,619 345,788 100.4% 66.2%
(◎)南相馬市 注(4)
補助 654,908 1,025,342 290,623 474,595 44.4% 46.3%
広野町 注(4) 補助 55,320 25,000 28,632 0 51.8% 0.0%
新地町 注(4) 補助 125,861 24,071 125,436 24,071 99.7% 100.0%
  内陸部 郡山市 補助 351,899 296,159 84.2%
(◎)川俣町 注(6)
補助 16,326 16,326 100.0%
(◎)川内村
補助 4,950 2,743 55.4%
27市町村
(◎田村市)
補助 690,716 690,716 100.0% 完了
30市町村 注(8)
4町村 単独 102 102 100.0%
46市町村 3,480,526 1,753,909 2,344,824 918,535 67.4% 52.4% 未完了
16市町村
完了
30市町村
注(1)
国の直轄処理に係る災害廃棄物推計量には帰還の準備に伴って生ずる家の片付けごみを含まない。
注(2)
国の直轄処理が実施されている11市町村のうち4市町村(◎)は対策地域外の範囲があり、市町村による処理も実施されている。
注(3)
田村市の国の直轄処理は、既存の処理施設において処理を行い、家屋解体ごみの一部等を除き処理を完了させているが、処理量は未確定となっている。
注(4)
国の代行処理が実施されている4市町は市町村による処理が実施されており、当該推計量及び処理量は、その両方の分を一括計上している。
注(5)
相馬市は、災害廃棄物推計量よりも災害廃棄物処理量の方が上回り災害廃棄物処理率が100.4%となっているが、災害廃棄物の処理は完了していない。
平成26年7月末時点の災害廃棄物の残量は約46,000tである。
注(6)
川俣町の市町村による処理の災害廃棄物処理率が100.0%となっているが、処理困難物を保管しており、処理は完了していない。
注(7)
国の直轄処理と重複の3市町村を除く。
注(8)
国の直轄処理と重複の田村市を除く。

ウ 国の直轄処理

(ア) 対策地域内廃棄物処理計画の改定状況

環境省は、総点検を踏まえて、国の直轄処理に係る対策地域内廃棄物処理計画を25年12月に改定しており、この中で、帰還の妨げとなる災害廃棄物の仮置場への搬入を優先して、その搬入完了目標を市町村ごとに25年度から27年度までの間に設定している。

(イ) 契約実績

国の直轄処理は、仮置場の確保、災害廃棄物の搬入、選別及び処理を行うもので、これに係る支出済額は3か年で計149億余円となっており、このうち、環境本省及び再生事務所が、工事、業務等として締結した契約は計339件、支払額は計142億余円となっている。

(ウ) 処理の実施状況

対策地域内の仮置場は、設置が予定されている全25か所のうち、17か所において26年6月末までに供用が開始されて、災害廃棄物の搬入が進められている。そして、帰還の妨げとなる災害廃棄物の仮置場への搬入完了目標を25年度としていた4市町村のうち、楢葉、大熊両町及び川内村については目標どおり搬入を完了していたが、南相馬市については搬入を継続していた。

そして、田村市を除く10市町村については、26年6月末時点で、仮設処理施設を建設中又は準備中であることなどから、いずれも焼却等の処理には至っていなかった。なお、田村市は仮置場を設置していないが、既存の焼却処理施設において処理を行ったことにより、家屋解体ごみの一部等を除き、処理を完了させていた。

また、放射性物質を含む焼却灰等を貯蔵して、処分するための中間貯蔵施設及び最終処分場については、関係者との協議を進めているが、26年6月末時点において調整中となっていて、確保できていない状況となっていた。

エ 国の代行処理

(ア) 契約実績

国の代行処理は、収集・選別された災害廃棄物のうち、可燃物の焼却及び焼却灰の最終処分を行うもので、これに係る支出済額は3か年で計88億余円となっており、このうち、環境本省及び再生事務所が締結した契約は計15件、支払額は計72億余円となっていて、その内容は主に仮設処理施設の整備に係るものとなっている。

(イ) 処理の実施状況

4市町のうち新地町は、25年度末で焼却処理が完了している。一方、相馬市は、26年度中の処理完了を目標として焼却処理を継続して行っており、広野町は、27年4月から焼却処理を開始する予定として25年度から用地造成工事を実施している。南相馬市は、28年4月から焼却処理を開始する予定としている。

また、焼却処理を行った相馬市及び新地町において発生した焼却灰は、25年度末時点で、相馬市で約1.5万t、新地町で約0.7万tとなっており、仮設処理施設の隣接地等に保管されているが、中間貯蔵施設及び最終処分場については、国の直轄処理と同様、確保できていない状況となっていた。

オ 市町村による処理

39市町村による25年度末時点の災害廃棄物等の処理の進捗状況についてみたところ、31市町村では処理が完了しているが、残りの8市町村では放射性物質による影響や、災害廃棄物等の処理量が多いことなどにより処理が完了していない。なお、8市町村のうち6市町村については、26年度中に全て処理が完了する見込みとなっているが、残りの2市町については、28年度及び29年度完了の見込みとなっている。

このほか、焼却処理により発生した焼却灰が、放射性物質の影響により埋立処分が困難であるとして保管されたままとなっているものがある。

(5) 災害廃棄物対策指針の策定等

環境省は、東日本大震災で発生した災害廃棄物等の処理により得られた経験や知見を踏まえ、阪神・淡路大震災の教訓から旧厚生省(13年1月6日以降は環境省)が10年に策定した「震災廃棄物対策指針」と環境省が17年に策定した「水害廃棄物対策指針」を統合して、26年3月に新たに「災害廃棄物対策指針」を策定している。災害廃棄物対策指針においては、収集運搬体制の整備に当たっての検討事項や災害廃棄物等の種類ごとの処理方法・留意事項等が提示されており、地方公共団体は、本指針に基づいて、都道府県地域防災計画及び市町村地域防災計画と整合を図りつつ、災害廃棄物処理計画の策定、確認又は見直しを行うことになる。なお、環境省では、今後、起こり得る巨大災害に備えて「巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会」を設置して、巨大災害への対応を考慮した総合的な災害廃棄物対策の検討に着手している。

4 本院の所見

(1) 検査の状況の概要

東日本大震災で発生した災害廃棄物等の処理は、福島県を除く12道県において、当初の目標どおり25年度で処理を完了した。災害廃棄物等の処理に要した予算は3か年で計1兆3202億余円となっており、予算の大半を占める国庫補助金の状況についてみたところ、13道県内の市町村等に対して交付された額は1兆0202億余円に上っており、このうち東北3県が98.1%を占めていた。

東北3県のうち、25年度末で処理が完了した岩手、宮城両県は、最終処分場の制約等から、災害廃棄物等の減容化や再資源化の措置等を講じており、特に、岩手県におけるセメント原燃料化や宮城県における焼却灰の造粒固化等の技術を活用した処理を大規模に実施したことが、両県の25年度末の処理完了に寄与しているものと認められた。

一方、福島県内の市町村による処理については、焼却灰の処分を除き26年度末で処理に一定のめどがつく見込みとなっているが、国の直轄処理及び国の代行処理については、処理完了までに相当の期間を要することが予想される。

(2) 所見

ア 福島県内の処理

福島県内の災害廃棄物等の処理は、国の直轄処理等において、焼却等の処理に至っていなかったり、焼却灰等を処分する最終処分場等が確保できていなかったりするなどの状況にあることから、処理完了までに相当の期間を要することが予想される。これは、災害廃棄物等の処理に係る単独の問題ではなく、放射性物質の影響による複合的な問題であることから、放射性物質に係る国の他の施策との連携も含めた施策が必要であると認められる。

イ 災害廃棄物等の処理によって得られた技術及び知見の今後への活用等

今般の災害廃棄物等の処理に当たっては、減容化や再資源化に係る技術の導入や民間企業の活用等が行われたが、これらの技術や知見を整理することが、今後、類似の事態が生じた際のより迅速な処理に重要となる。また、災害廃棄物等の発生状況や処理方法の違いなどにより事業費に差が生ずることから、これらの状況に応じた費用の情報を蓄積させることが、今後の処理方法の選択に当たって有益であると思料される。

環境省は、東日本大震災で得られた知見等を踏まえ災害廃棄物対策指針を策定して、また、巨大災害への対応を考慮した総合的な災害廃棄物対策の検討に着手しているところであるが、今後の対策の検討や体系的な整理に際しては、今回採用された処理方法、技術及び知見について、安全性、有効性等を踏まえた検証が望まれる。

本院としては、東日本大震災に係る災害廃棄物等の処理について、福島県における処理が完了していないことなどから、今後とも注視していくこととする。