会計検査院は、特別会計に関する法律(平成19年法律第23号。以下「法」という。)第19条第2項の規定に基づき、平成25年11月8日に内閣から送付を受けた17府省庁等(注1)が所管する18特別会計(注2)の平成24年度特別会計財務書類について検査した。そして、同年12月20日に、内閣に対して、同書類の検査を行った旨を通知し、同書類を回付した。
内閣に通知した検査結果の概要は、次のとおりである。
平成24年度特別会計財務書類について、正確性、合規性等の観点から、法、特別会計に関する法律施行令(平成19年政令第124号)、特別会計の情報開示に関する省令(平成19年財務省令第30号)、同省令第1条の規定に基づき定められた特別会計財務書類の作成基準(平成24年財務省告示第104号。以下「作成基準」という。)等に従った適切なものとなっているかなどに着眼して検査した結果、作成基準等と異なる処理をするなどしていて、特別会計財務書類の計上金額等の表示が適切とは認められないものが、表1のとおり、17府省庁等が所管する5特別会計において8事項見受けられた。また、一部の科目の明細が表示されておらず、特別会計の財務情報の開示が十分とは認められないものが、表2のとおり、1省が所管する1特別会計において1事項見受けられた。
なお、上記の9事項については、全て7府省(注3)において所要の訂正が行われた。
表1 特別会計財務書類の計上金額等の表示が適切とは認められないもの
番号 | 特別会計名 (勘定名) |
所管 | 財務書類の科目等 | 事項 | |||
明細の表示 | 明細の適切な表示 | ||||||
1 | 交付税及び譲与税配付金 (交付税及び譲与税配付金) |
内閣府、総務省及び財務省 | 附属明細書
1 貸借対照表の内容に関する明細
(2) 負債項目の明細
① 借入金の明細 |
||||
(注) | 本年度増加額及び本年度減少額には、一時借入金(564,158百万円)は含んでいない。 | 本年度増加額及び本年度減少額には、一時借入金(601,576,197百万円)は含んでいない。 | ① | ||||
〈表示が適切とは認められない事項の説明〉
事項① 附属明細書の「借入金の明細」の欄外において歳入歳出決算に計上されない本会計年度内における一時借入金を表示するに当たり、誤って翌会計年度(平成25年度)の見込額等を基にしていたり、表示する金額の桁数を誤っていたりしたもの
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|||||||
2 | 外国為替資金 | 財務省 | 附属明細書
3 区分別収支計算書の内容に関する明細
(1) 運用収入の明細 |
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運用資産利回り | 2.18% | 2.12% | ③ | ||||
(注) | 運用資産利回りには、本年度における定期預け金利子及び外貨証券運用益の合計額(1,925,397百万円)から償還差額補填金の金額(26,793百万円)を控除した金額を、外貨預け金のうちの定期預け金及び外貨証券(取得原価)の合計の本年度末残高と前年度末残高の平均の金額(86,891,205百万円)で除した数値を掲記している。 | 運用資産利回りには、本年度における定期預け金利子及び外貨証券運用益の合計額(1,925,397百万円)から償還差額補填金の金額(26,793百万円)を控除した金額を、外貨預け金のうちの定期預け金及び外貨証券(取得原価)の合計の本年度末残高と前年度末残高の平均の金額(89,548,781百万円)で除した数値を掲記している。 | |||||
〈表示が適切とは認められない事項の説明〉
事項③ 附属明細書の「運用収入の明細」において運用資産に係る利回りを表示して、明細の欄外でその算定の説明を表示するに当たり、外貨預け金のうちの定期預け金及び外貨証券(取得原価)の合計の本年度末残高と前年度末残高の平均の金額(以下「平均額」という。)の計算を誤ったことから、これを用いて算定した運用資産に係る利回りの数値及び欄外での平均額の表示が誤っていたもの
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番号 | 特別会計名 (勘定名) |
所管 | 財務書類の科目等 | 事項 | ||||||
計上金額 (単位:百万円) |
適切な計上金額 (単位:百万円) |
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3 | 財政投融資 (投資) |
財務省及び国土交通省 | 資産・負債差額増減計算書 | IV 無償所管換等 | 本会計年度 | △0 | △5,200 | ④ | ||
V 資産評価差額 | 本会計年度 | 629,210 | 634,410 | |||||||
附属明細書
1 貸借対照表の内容に関する明細
(1) 資産項目の明細
⑥ 出資金の明細 |
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ア 出資金の増減の明細 | ||||||||||
日本電信電話株式会社 | 本年度減少額 | ― | 5,200 | ④ | ||||||
評価差額 (本年度発生分) |
1,552,998 | 1,558,198 | ||||||||
イ 市場価格のある出資金の時価等の明細 | ||||||||||
日本電信電話株式会社 | 取得原価 | 211,222 | 211,326 | ④ | ||||||
3 資産・負債差額増減計算書の内容に関する明細
(2) 無償所管換等の明細 |
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過年度計上額との調整 | (記載なし) | △5,200 | ④ | |||||||
(3) 資産評価差額の明細 |
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出資金 (市場価格のあるもの) |
本年度発生額 | 3,519,665 | 3,524,865 | ④ | ||||||
本年度増減額 | 597,539 | 602,739 | ||||||||
〈表示が適切とは認められない事項の説明〉
事項④ 資産・負債差額増減計算書の「資産評価差額」の算定に当たり、日本電信電話株式会社への出資金の取得原価を誤っていたもの
なお、上記に連動して、合算資産・負債差額増減計算書の関連箇所に誤りが生じていた。 |
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4 | 自動車安全 (保障) |
国土交通省 | 業務費用計算書 | 貸倒引当金繰入額 | 本会計年度 | △1,486 | △964 | ⑤ | ||
本年度業務費用合計 | 本会計年度 | 2,447 | 2,970 | |||||||
資産・負債差額増減計算書 | II 本年度業務費用合計 | 本会計年度 | △2,447 | △2,970 | ||||||
III 財源 | 本会計年度 | 4,409 | 4,932 | |||||||
1 自己収入 |
本会計年度 | 4,409 | 4,932 | |||||||
その他の財源 |
本会計年度 | 2,250 | 2,772 | ⑤ | ||||||
附属明細書
3 資産・負債差額増減計算書の内容に関する明細
(1) その他の財源の明細 |
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款 | 項 | 2,250 | 2,772 | ⑤ | ||||||
雑収入 | 雑収入 | |||||||||
〈表示が適切とは認められない事項の説明〉
事項⑤ 債権等に係る貸倒損失が発生した場合は、作成基準等により、貸倒引当金から貸倒損失の額を取り崩すなどすることとされているのに、誤って貸倒引当金の取崩しなどを行わず、資産・負債差額増減計算書の「その他の財源」から貸倒損失の額を控除しており、また、このことに伴い、業務費用計算書の「貸倒引当金繰入額」の計上金額が誤っていたもの
なお、上記に連動して、合算業務費用計算書及び合算資産・負債差額増減計算書の関連箇所に誤りが生じていた。 |
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番号 | 特別会計名 | 所管 | 財務書類の科目等 | 事項 | ||||||
計上金額等 (単位:百万円) |
適切な計上金額等 (単位:百万円) |
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5 | 東日本大震災復興 | 国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省及び防衛省 | 貸借対照表 | 有形固定資産 | 本会計年度 | 20,561 | 21,217 | |||
国有財産(公共用財産を除く) |
本会計年度 | 11,677 | 12,455 | |||||||
建設仮勘定 |
本会計年度 | 11,677 | 12,455 | ⑥ | ||||||
資産合計 | 本会計年度 | 3,286,775 | 3,287,372 | |||||||
退職給付引当金 | 本会計年度 | 3,427 | 3,529 | ⑦ | ||||||
負債合計 | 本会計年度 | 11,052,444 | 11,052,536 | |||||||
資産・負債差額 | 本会計年度 | △7,765,668 | △7,765,163 | |||||||
負債及び資産・負債差額合計 | 本会計年度 | 3,286,775 | 3,287,372 | |||||||
業務費用計算書 | 退職給付引当金繰入額 | 本会計年度 | 726 | 865 | ⑦ | |||||
庁費等 | 本会計年度 | 44,803 | 44,456 | ⑥⑧ | ||||||
本年度業務費用合計 | 本会計年度 | 1,917,020 | 1,916,805 | |||||||
資産・負債差額増減計算書 | II 本年度業務費用合計 | 本会計年度 | △1,917,020 | △1,916,805 | ||||||
IV 無償所管換等 | 本会計年度 | △9,790,469 | △9,790,179 | ⑥⑧ | ||||||
VII 本年度末資産・負債差額 | 本会計年度 | △7,765,668 | △7,765,163 | |||||||
区分別収支計算書 I 業務収支
2 業務支出
(1) 業務支出(施設整備支出を除く) |
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庁費等の支出 | 本会計年度 | △103,225 | △102,766 | ⑥⑧ | ||||||
業務支出(施設整備支出を除く)合計 | 本会計年度 | △2,081,923 | △2,081,464 | |||||||
(2) 施設整備支出 |
||||||||||
建物に係る支出 | 本会計年度 | △390 | △503 | ⑧ | ||||||
工作物に係る支出 | 本会計年度 | △4,608 | △4,125 | |||||||
建設仮勘定に係る支出 | 本会計年度 | △20,075 | △23,933 | ⑥ | ||||||
施設整備支出合計 | 本会計年度 | △44,360 | △44,819 | |||||||
附属明細書
1 貸借対照表の内容に関する明細
(1) 所管別の資産、負債及び資産・負債差額の明細 |
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国有財産(公共用財産を除く) |
内閣府 | ― | 677 | |||||||
国土交通省 | 551 | 702 | ||||||||
建設仮勘定 |
内閣府 | ― | 677 | ⑥ | ||||||
国土交通省 | 551 | 702 | ||||||||
退職給付引当金 | 総務省 | 20 | 23 | ⑦ | ||||||
厚生労働省 | 176 | 173 | ||||||||
環境省 | 641 | 742 | ||||||||
(2) 資産項目の明細
⑧ 固定資産の明細 |
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国有財産(公共用財産を除く) | 本年度増加額 | 18,475 | 23,380 | |||||||
本年度減少額 | 6,798 | 10,924 | ||||||||
本年度末残高 | 11,677 | 12,455 | ||||||||
行政財産 |
本年度増加額 | 18,475 | 23,380 | |||||||
本年度減少額 | 6,798 | 10,924 | ||||||||
本年度末残高 | 11,677 | 12,455 | ||||||||
建物 |
本年度増加額 | 298 | 503 | ⑧ | ||||||
本年度減少額 | 298 | 503 | ||||||||
工作物 |
本年度増加額 | 4,074 | 4,125 | ⑧⑨ | ||||||
本年度減少額 | 4,074 | 4,125 | ||||||||
船舶 |
本年度増加額 | 2,425 | 2,333 | ⑥ | ||||||
本年度減少額 | 2,425 | 2,333 | ||||||||
航空機 |
本年度増加額 | (記載なし) | 933 | ⑨ | ||||||
本年度減少額 | (記載なし) | 933 | ||||||||
建設仮勘定 |
本年度増加額 | 11,677 | 15,484 | ⑥ | ||||||
本年度減少額 | ― | 3,029 | ||||||||
本年度末残高 | 11,677 | 12,455 | ||||||||
物品 | 本年度増加額 | 29,377 | 33,823 | ⑨ | ||||||
本年度減少額 | 29,041 | 33,487 | ||||||||
(3) 負債項目の明細
③ 退職給付引当金の明細 |
||||||||||
退職手当に係る引当金 | 本年度増加額 | 3,434 | 3,536 | ⑦ | ||||||
本年度末残高 | 3,427 | 3,529 | ||||||||
(注) | 退職手当に係る引当金の本年度増加額3,434百万円のうち、2,708百万円は、平成24年度において一般会計等から東日本大震災復興特別会計に職員が異動したことによる増加額である。 | 退職手当に係る引当金の本年度増加額3,536百万円のうち、2,671百万円は、平成24年度において一般会計等から東日本大震災復興特別会計に職員が異動したことによる増加額である。 | ||||||||
2 業務費用計算書の内容に関する明細
(1) 所管別の業務費用の明細 |
||||||||||
退職給付引当金繰入額 | 厚生労働省 | 7 | 4 | ⑦ | ||||||
環境省 | 554 | 658 | ||||||||
庁費等 | 内閣府 | 4,844 | 4,167 | ⑥ | ||||||
国土交通省 | 2,516 | 2,458 | ||||||||
防衛省 | 3,366 | 3,756 | ⑧ | |||||||
3 資産・負債差額増減計算書の内容に関する明細
(1) 所管別の資産・負債差額の増減の明細 |
||||||||||
IV 無償所管換等 | 国土交通省 | △6,887 | △6,795 | ⑥ | ||||||
防衛省 | △32,682 | △32,312 | ⑧ | |||||||
(4) 無償所管換等の明細 |
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財産の無償所管換等(渡) | 国土交通省一般会計 | 工作物、船舶 | △2,207 | △2,115 | ⑥ | |||||
防衛省一般会計 | 建物 | △298 | △411 | ⑧ | ||||||
工作物 | △4,069 | △3,586 | ||||||||
4 区分別収支計算書の内容に関する明細
(1) 所管別の区分別収支の明細 |
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庁費等の支出 |
内閣府 | △9,080 | △8,402 | ⑥ | ||||||
国土交通省 | △3,215 | △3,063 | ||||||||
防衛省 | △4,689 | △5,060 | ⑧ | |||||||
建物に係る支出 |
防衛省 | △298 | △411 | |||||||
工作物に係る支出 |
防衛省 | △4,069 | △3,586 | |||||||
建設仮勘定に係る支出 |
内閣府 | ― | △1,504 | ⑥ | ||||||
国土交通省 | △7,790 | △10,144 | ||||||||
〈表示が適切とは認められない事項の説明〉
事項⑥ 建物、船舶、航空機等の国有財産のうち、引渡しを受けるまでの建設や製造等に係る支出額は、貸借対照表の「国有財産(公共用財産を除く)」の「建設仮勘定」に計上すべきであるのに、誤って、その一部の支出額を、本会計年度に発生した費用として業務費用計算書の「庁費等」に計上したり、一般会計に所管換した国有財産として資産・負債差額増減計算書の「無償所管換等」に計上したりしていたもの
事項⑦ 貸借対照表の「退職給付引当金」の算定に当たり、退職手当に係る退職給付引当金は、作成基準等により、勤続年数別の平均俸給月額に自己都合退職における退職手当の支給率を乗ずるなどした額を計上することとされているのに、一部の職員の退職手当に係る退職給付引当金の算定において、誤って勤続年数別の平均俸給月額に上記の支給率と異なる勤続年数の数値等を乗ずるなどした額を計上しており、また、このことに伴い、業務費用計算書の「退職給付引当金繰入額」の計上金額が誤っていたもの
事項⑧ 本特別会計により取得した後に一般会計に所管換される建物や工作物等の国有財産は、作成基準等により、資産・負債差額増減計算書の「無償所管換等」として計上することとされているのに、誤って、建物の取得に係る支出額の一部を本特別会計の業務費用計算書の「庁費等」に計上したり、国有財産の取得に係る支出とならない設計費等の一部を資産・負債差額増減計算書の「無償所管換等」に計上したりしていたもの
事項⑨ 固定資産の明細に係る本年度増加額及び本年度減少額の計上に際し、誤って一部の国有財産及び物品に係る増加額及び減少額を計上していなかったもの
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表2 特別会計の財務情報の開示が十分とは認められないもの
番号 | 特別会計名 | 所管 | 財務書類の科目等 | 事項 | |||||||
明細の表示 | 明細の適切な表示 | ||||||||||
1 | 外国為替資金 | 財務省 | 附属明細書
1 貸借対照表の内容に関する明細
(2) 負債項目の明細 |
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(記載なし) | (記載なし) | ② 仮受金の明細(単位:百万円) | ② | ||||||||
内容 | 相手先 | 本年度末残高 | |||||||||
IMF出資の評価換えに伴って生じた円出資部分に係る払込不足額等 | 249,921 | ||||||||||
合計 | 249,921 | ||||||||||
〈財務情報の開示が十分とは認められない事項の説明〉
事項② 本特別会計に固有の科目の一つである仮払金はその明細が表示されているが、仮受金はその明細が表示されておらず、その内容が明確にされていないため、特別会計の財務情報の開示が十分とは認められない。
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