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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成26年10月

復興木材安定供給等対策の実施状況等について


2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

林野庁は、27年度までの集中復興期間に、東日本大震災の被災地域だけでは賄いきれない復興に必要な木材を安定供給する体制を構築することを政策目標として、23年度第3次補正予算により45道府県に計1399億4550万円の国庫補助金を交付して、道府県において23年度から26年度までの期間、復興対策基金事業を実施している。

林野庁は、復興対策基金事業について、復興に必要な木材を全国的に安定供給する体制を構築することで間接的供給により被災地の木材需要を満たすことを想定していたが、被災地との関連が明確でないものについて使途を厳格化すべきではないかなどの議論を踏まえて、25年7月に使途厳格化通知を発出し、被災地における取組及び被災地以外において直接被災地に木材を供給する取組に使途を限定することとした。一方、被災地の復興は道半ばであり、林野庁は今後も引き続き東日本大震災からの復旧・復興のための事業を実施していくとしていることから、これまでに多額の国費を原資として実施されてきた復興対策基金事業の内容、成果、課題等を分析及び検証することは、今後実施する復興のための事業の計画及び実施に当たり重要であると考えられる。

そこで、会計検査院は、上記の検証を進めるべく、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、これまでに実施された復興対策基金の執行状況等を確認するとともに、復興対策基金事業が実施要綱等に基づき適切に実施されているか、被災地の現状を踏まえた、復旧・復興のために効率的かつ効果的なものとなっているかなどに着眼して検査した。

(2) 検査の対象及び方法

会計検査院は、林野庁から23年度に45道府県に交付された復興対策基金に係る計1399億4550万円の執行状況等について、林野庁において関係資料を徴するなどにより検査した。また、復興対策基金事業により、22道県(注3)並びに管内の260市町村(財産区を含む。)及び847法人等の1,107団体が23年度から25年度までの間に実施した間伐等8事業種目計3,324件、事業費計549億5632万余円(国庫補助金相当額計332億8957万余円)を対象として、22道県において、事業計画書、事業実施状況報告書、原木安定供給プラン等により会計実地検査を行った。

上記のほか、木材の流通状況等について、協力が得られた範囲内で原木市場及び製品市場202か所から調書の提出を受けるとともに、このうち119か所に赴くなどして調査を行った。

(注3)
22道県  北海道、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、新潟、山梨、長野、三重、奈良、和歌山、岡山、広島、山口、愛媛、高知、福岡、長崎、大分、宮崎、沖縄各県