1件 不当と認める国庫補助金 18,925,000円
情報通信技術地域人材育成・活用事業交付金は、地域の知恵と工夫をいかし、地域の人材を活用しながら、情報通信技術(以下「ICT」という。)を導入して活用することにより、地域雇用の創出とともに、地場産業の活性化を図るなどのための事業を行う事業主体に対して、事業の実施に要する経費について、国が交付するものである。そして、その交付対象経費は、プログラム開発等役務費、ソフトウェア購入費等のICT関連システムの設計・構築に要する経費等とされている。
本院が5市、1村、2第三セクター、2一般財団法人及び4特定非営利活動法人において会計実地検査を行ったところ、1第三セクターにおいて次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
部局等 | 交付金事業者 (事業主体) |
交付金事業 | 年度 | 交付対象事業費 | 左に対する交付金交付額 | 不当と認める交付対象事業費 | 不当と認める交付金相当額 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(10) | 総務本省 | 山口ケーブルビジョン株式会社 | 情報通信技術地域人材育成・活用事業交付金 | 22 | 64,997 | 64,997 | 18,925 | 18,925 | 目的不達成 |
この交付金事業は、上記の事業主体が、地域コミュニティ強化による地場産業の活性化を図ることを目的として、山口市内の動画等を共有できるようにするための地域映像コンテンツ共有システムや、リアルタイムで映像を閲覧しながら特産物等を購入できるようにするための撮影システム等の整備等を行ったものである。
事業主体は、本件交付金事業とは別に、高齢者が遠隔地の家族等とコミュニケーションをとることなどを目的として、各家庭のテレビでテレビ電話を利用するための専用端末(以下「テレビ電話端末」という。)を高齢者世帯に設置し、無償で貸与するサービス(以下「サービス」という。)を単独事業として既に実施していた。そして、事業主体は、上記の地域映像コンテンツ共有システムをテレビ電話端末やパソコン等へ、また、上記の撮影システムをテレビ電話端末へそれぞれ接続し、利用することとしていた。
しかし、事業主体は、テレビ電話端末の操作が高齢者には難しいことなどからサービスを継続するには課題があるとして、サービスを平成23年3月31日に終了することを本件交付金事業が完了する以前の同年2月15日に決定していた。そして、サービスが終了したことにより、地域映像コンテンツ共有システムのうちのテレビ電話端末への接続に係る機能と撮影システムとが、同年4月1日から利用できない状況となっていた。
したがって、上記地域映像コンテンツ共有システムのうちのテレビ電話端末への接続に係る機能及び撮影システムは、本件交付金事業の目的を達しておらず、これに係る交付金相当額18,925,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、事業主体において本件交付金事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、総務本省において事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。