1件 不当と認める国庫補助金 2,254,000円
情報通信利用環境整備推進交付金は、公共分野における利活用を前提とした超高速ブロードバンド基盤の整備を促進することを目的として、地理的な制約から民間事業者の投資による超高速ブロードバンド基盤の整備が困難な市町村等に対して、事業の実施に要する経費の一部について、国が交付するものである。そして、その交付対象経費は、光ファイバケーブル(以下「光ケーブル」という。)等の線路設備及び局舎施設等の施設・設備の設置に要する経費とされている。
本院が1市及び4町において会計実地検査を行ったところ、1町において次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
部局等 | 交付金事業者 (事業主体) |
交付金事業 | 年度 | 交付対象事業費 | 左に対する交付金交付額 | 不当と認める交付対象事業費 | 不当と認める交付金相当額 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(11) | 総務本省 | 高知県安芸郡東洋町 | 情報通信利用環境整備推進交付金 | 23、24 | 454,245 | 151,415 | 6,761 | 2,254 | 精算過大、補助の対象外 |
この交付金事業は、東洋町が、同町内の全域に超高速ブロードバンド環境を整備するために、光ケーブル等の敷設、光ケーブル同士を接続処理するための設備である光成端架の設置等を同町の単独事業である地上デジタルテレビ放送等の再送信設備の整備と併せて行ったものである。
そして、同町は、上記光成端架の整備費の全額を交付対象事業費として実績報告を行っていた。また、同町は、光成端架内の放送専用の光ケーブル(以下「放送ケーブル」という。)の整備費を交付対象事業費に含めていた。
しかし、光成端架は、交付対象設備である光ケーブルと交付対象設備とはならない単独事業の光ケーブルとで共用されていたことから、交付対象事業費とする光成端架の整備費については、交付金事業と単独事業のそれぞれで使用する光ケーブルの心数等の割合により案分して算定する必要があった。さらに、放送ケーブルの整備費は単独事業に係る経費であり、交付対象事業費に含めることが認められない経費であった。
したがって、上記光成端架の整備費を事業別にそれぞれで使用する光ケーブルの心数等の割合により案分したり、放送ケーブルの整備費を除いたりするなどして、適正な交付対象事業費を算定すると447,483,860円となり、本件交付対象事業費454,245,000円との差額6,761,140円が過大に精算されるなどしていて、これに係る交付金相当額2,254,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同町において本件交付金事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、総務本省において本件交付金事業の審査及び確認並びに同町に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。