総務省は、委託事業等により、周波数帯を効率的に利用するための技術の研究開発や同省が定めた戦略的な重点研究開発目標を実現するための各種の研究開発等を多数実施しており、受託者等に対して同省が管理している物品を貸与して、必要に応じて当該物品に機能を追加して性能を向上させる改造を行わせるなどしている。物品管理法施行規則等によれば、物品管理官は、取得価格が50万円以上の機械等(以下「重要物品」という。)について、その性能を向上させる改造等を行った場合には、物品管理簿に記録された価格(以下「帳簿価格」という。)を改定することとされている。しかし、平成21年度から24年度までの間に、委託事業等により性能を向上させる改造等を行った重要物品について、帳簿価格を改定しておらず、物品管理簿、ひいては物品増減及び現在額報告書が重要物品の現況を正確に反映したものとなっていない事態が見受けられた。
したがって、総務省において、性能を向上させる改造等を行ったのに帳簿価格が改定されていない重要物品について、速やかに帳簿価格を改定するとともに、性能を向上させる改造等を行った重要物品について、適時かつ適正に帳簿価格を改定するための事務手続を明確に定めるなどして関係部局に周知徹底を図るよう、総務大臣に対して26年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。
本院は、総務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、総務省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 性能を向上させる改造等を行ったのに帳簿価格が改定されていない重要物品について、帳簿価格を改定した。
イ 性能を向上させる改造等を行った重要物品について、適時かつ適正に帳簿価格を改定するための事務手続を明確に定めて、27年2月に関係部局に対して通知を発して、周知徹底を図った。