総務省は、地上デジタルテレビ放送への移行に伴い、従来、地上アナログテレビ放送を受信できた地区において生じている地上デジタルテレビ放送を受信できない状況(以下「新たな難視」という。)を解消するために、平成20年度から、社団法人デジタル放送推進協会(25年4月1日以降は一般社団法人デジタル放送推進協会)に、新たな難視を解消するためのケーブルテレビ幹線対策事業(以下「対策事業」という。)を行う事業主体に対する経費の一部の補助等を実施させており、これに要する経費に対して、無線システム普及支援事業費等補助金(21年度以前は電波遮へい対策事業費等補助金)を交付している。しかし、対策事業の対象となる新たな難視となっている世帯(以下「対象世帯」という。)のケーブルテレビへの過半数の加入が確保されておらず、対策事業により整備した幹線設備が十分有効に活用されていなかったり、総務省がその原因を把握しておらず、効果が十分に発現していない対策事業において加入促進のための対策を講ずるよう事業主体に対して適切な指導及び助言を行っていなかったりしている事態が見受けられた。
したがって、総務省において、事業主体に対象世帯ごとのケーブルテレビに加入していない原因を報告させることなどによりその実態を十分に把握するとともに、その報告内容を分析した上で対象世帯の意思を尊重しつつ27年3月末までに暫定的難視聴対策事業等の関連補助事業が終了することを周知するなどの効果的な加入促進方策を策定したり、事業主体に早急な事態の改善に向けて、加入促進方策を反映した取組計画を策定させた上でその取組状況等について必要に応じて事業主体に指導及び助言を行ったりするよう、総務大臣に対して26年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、総務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、総務省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 事業主体から定期的に加入状況や加入していない原因等の報告を受けて、これらを分析するなどした上で、26年9月に、関連補助事業が終了する旨を記載した加入促進文書の配布、世帯訪問等の加入促進方策を策定した。
イ 事業主体に対して、アの加入促進方策を実施するための取組計画を策定させ、26年9月以降、その取組状況等を報告させるなどした上で当該取組等について指導及び助言を行った。