（4）私立学校施設整備費補助金（研究装置及びICT活用推進事業）が過大に交付されていたもの［文部科学本省］（27）－（30）

私立学校施設整備費補助金（研究装置及びICT活用推進事業）は、私立の大学、短期大学、高等専門学校（以下、これらを合わせて「私立大学等」という。）及び専修学校の教育研究の充実と質的向上を図ることを目的として、学校法人等に対して、研究装置の整備、ICT活用推進事業等に要する経費の一部を国が補助するものである。

この補助金の交付額は、私立学校施設整備費補助金（私立学校教育研究装置等施設整備費（私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費））交付要綱（昭和58年文部大臣裁定）等によれば、私立大学における研究装置の整備については当該研究装置の購入や設置工事に要する経費を、私立大学等におけるICT活用推進事業については音声映像装置等のICT装置の購入やこれに伴い実施される施設の改造工事等に要する経費を、それぞれ補助対象経費として、これらに補助率2分の1以内を乗じて算定することとされている。

そして、同要綱等によれば、研究装置の整備については、ソフトウェア（装置等と一体不可分であり、かつ、経費を区分できないものを除く。）の整備に係る経費は補助の対象とならないこととされており、また、ICT活用推進事業については、設置後修業年限に相当する年数（大学においては原則4年）を経過していない学科（以下「未完成学科」という。）等に係る経費や、新増改築施設に係る工事費等は補助の対象とならないこととされている。

本院が、28学校法人において会計実地検査を行ったところ、4学校法人において、研究装置の整備について、補助の対象とならないソフトウェアの整備に係る経費を補助対象経費に含めていたり、ICT活用推進事業について、補助の対象とならない未完成学科に係る経費や新築施設に係る工事費等を補助対象経費に含めていたりしていたため、国庫補助金計11,085,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、学校法人において補助対象経費についての理解が十分でなかったこと、文部科学省において実績報告書等に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

以上を事業主体別に示すと次のとおりである。