2件 不当と認める国庫補助金 5,859,000円
放課後子どもプラン推進事業費補助金(放課後児童健全育成事業等に係る分)(以下「国庫補助金」という。)は、保護者が労働等により昼間家庭にいないおおむね10歳未満の小学校に就学している児童等(以下「放課後児童」という。)に対し、授業の終了後等に小学校の余裕教室、児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、放課後児童の健全な育成を図ることを目的として、政令指定都市及び中核市(以下、これらを「指定都市等」という。)並びにその他の市町村(特別区を含む。以下同じ。)が行う放課後児童クラブを運営等する事業について、その事業に要する費用の一部を指定都市等に対しては直接、その他の市町村に対しては都道府県を経由して、それぞれ国が補助するものである。
国庫補助金の交付額は、交付要綱等に基づき、次のとおり算定することとなっている。
所定の方法により算定した基準額と対象経費の実支出額(以下「実支出額」という。)から寄附金その他の収入額を控除した額とのいずれか少ない方の額を選定して、選定された額(以下「選定額」という。)に3分の1を乗じて得た額とする。
選定額に3分の2を乗じた額と都道府県が補助した額とを比較して少ない方の額に2分の1を乗じて得た額とする。
そして、前記の基準額については、ア、イいずれの場合も、放課後児童クラブに利用の登録をし、かつ、継続的に利用する放課後児童を対象に算出した年間平均児童数等により算定することとなっている。
本院が、5道県の11市町において会計実地検査を行ったところ、北海道苫小牧市において、基準額の算定に当たり、年間平均児童数を算出する際に、放課後児童クラブを休会するなどしていて継続的に利用していない放課後児童を含めていたり、岡山県倉敷市において、実支出額の算定に当たり、支払の事実や内容が確認できない経費を含めていたりしていた。このため、国庫補助金計5,859,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2市において交付要綱等の理解が十分でなかったことなど、厚生労働省及び北海道において実績報告書の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
倉敷市は、放課後児童健全育成事業等を複数の放課後児童クラブで実施しており、そのうちの1か所の放課後児童クラブの運営をA団体に委託していた。そして、同市は、A団体について支出額から保護者負担金を差し引いた額を実支出額として算定するなどして、平成21年度及び24年度に国庫補助金計196,587,000円の交付を受けていた。
しかし、A団体は、同市との委託契約において保存が義務付けられていた領収書等の証拠書類の相当数を紛失又は廃棄したとしていて、上記の実支出額には支払の事実や内容が確認できない経費が含まれていた。
したがって、支払の事実や内容が確認できない経費を実支出額から除くなどして適正な国庫補助金を算定すると計194,385,000円となることから、前記の国庫補助金との差額2,202,000円が過大となっていた。
以上を事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者 | 間接補助事業者 | 年度 | 国庫補助金交付額 | 不当と認める国庫補助金交付額 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | ||||||
(296) | 厚生労働本省 | 北海道 | 苫小牧市 (事業主体) |
22~24 | 73,500 | 3,657 | 基準額を過大に算定していたもの |
(297) | 同 | 倉敷市 (事業主体) |
― | 21、24 | 196,587 | 2,202 | 支払の事実や内容が確認できない経費を実支出額として算定していたもの |
(296)(297)の計 | 270,087 | 5,859 |