ページトップ
  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 予算経理

収穫調査に係る委託契約において、会計法令等に違反して公有林野等官行造林地に係る委託費を誤った歳出科目から支出していたもの[4森林管理署等](312)-(316)


会計名及び科目
一般会計 (組織)林野庁 (項)国有林野産物等売払及管理処分業務費
部局等
4森林管理署等
契約名
平成25年度会津森林管理署収穫調査業務委託(官行造林)等5契約(平成25、26両年度)
契約の概要
立木を売り払おうとするときに、立木の樹種、樹高、胸高直径、品質等の調査を委託するもの
契約の相手方
2指定調査機関
支出額
26,536,612円(平成25、26両年度)
上記のうち誤った歳出科目から支出した額
20,767,098円

1 収穫調査の概要等

国は、森林・林業基本法(昭和39年法律第161号)等に基づき、国有林野の管理及び経営の事業について、国土の保全その他国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るとともに、あわせて、林産物を持続的かつ計画的に供給することなどを旨としてその運営を行うこととなっている。そして、森林管理局は、国有林野の管理経営に関する計画を定め、森林管理署等は、当該計画に従い、立木の売払いなどの林産物の供給を行っている。また、森林管理署長等は、国有林野において立木を売り払おうとするときは、「国有林野の産物売払手続」(昭和25年農林省訓令第102号)等に基づき、農林水産大臣が指定する者(以下「指定調査機関」という。)等に、立木の樹種、樹高、胸高直径、品質等の調査(以下、この調査を「収穫調査」という。)を行わせなければならないこととなっている。そして、上記の手続は、公有林野等官行造林地(注1)(以下「官行造林地」という。)における立木の売払いについても同様となっている。

財政法(昭和22年法律第34号)において、歳出予算は、目的に従って項に区分しなければならないと規定され、また、各省各庁の長は、歳出予算等については、各項に定める目的の外にこれを使用することができないと規定されている。

また、会計法(昭和22年法律第35号)等において、支出負担行為担当官(分任支出負担行為担当官を含む。)は、法令又は予算の定めるところに従い、支出負担行為をしなければならないこととなっており、農林水産省会計事務取扱規程(昭和44年農林省訓令第9号)等において、森林管理局長が支出負担行為担当官に、森林管理署長等が分任支出負担行為担当官にそれぞれ指定されている(以下、財政法、会計法、農林水産省会計事務取扱規程等の法令等を合わせて「会計法令等」という。)。

林野庁は、指定調査機関による収穫調査を委託契約により実施しており、委託契約に係る経費(以下「委託費」という。)については、歳出科目に定められた目的に従って、国有林野における収穫調査に係る経費を(組織)林野庁(項)国有林野産物等売払及管理処分業務費から、また、官行造林地における収穫調査に係る経費を(組織)林野庁(項)森林整備・保全費からそれぞれ支出することとしている。

(注1)
公有林野等官行造林地  公有林野等官行造林法(大正9年法律第7号。昭和36年廃止)に基づき、国が地方公共団体の所有する森林、原野等に造林した土地

2 検査の結果

本院は、合規性等の観点から、収穫調査に係る委託費が予算の目的に応じた適正な歳出科目から支出されているかなどに着眼して、平成25、26両年度において森林管理局及び森林管理署等が締結した収穫調査に係る委託契約を対象として、7森林管理局(注2)及び29森林管理署等(注3)において、会計実地検査を行うとともに、7森林管理局から調書を徴したり、支出負担行為決議書等の書類の提出を受けたりするなどして検査した。

(注2)
7森林管理局  北海道、東北、関東、中部、近畿中国、四国、九州各森林管理局
(注3)
29森林管理署等  根釧西部、宗谷、十勝東部、岩手南部、会津、磐城、棚倉、茨城、日光、東信、南信、飛騨、東濃、島根、安芸、四万十、大分、宮崎南部、西都児湯、鹿児島、北薩、沖縄各森林管理署、東大雪、上小阿仁、最上、南会津各森林管理署支署、埼玉、千葉、香川各森林管理事務所

検査したところ、25、26両年度において関東森林管理局会津森林管理署及び同署南会津支署並びに九州森林管理局大分、熊本南部両森林管理署(以下「4森林管理署等」という。)が締結した計5件の委託契約における委託費の支出について、次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。

すなわち、分任支出負担行為担当官である4森林管理署等の署長は、上記の5契約における委託費計26,536,612円について、(組織)林野庁(項)国有林野産物等売払及管理処分業務費の歳出科目から支出する支出負担行為を行っており、関東、九州両森林管理局において、当該支出負担行為に基づき、委託費全額が上記の歳出科目から支出されていた。

しかし、5契約により実施した収穫調査は、その全部又は一部が官行造林地における収穫調査であったにもかかわらず、官行造林地に係る委託費が、(組織)林野庁(項)森林整備・保全費の歳出科目から支出されていなかった。

したがって、上記の5契約における委託費計26,536,612円のうち、官行造林地に係る委託費計20,767,098円については、会計法令等に違反して誤った歳出科目から支出されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、分任支出負担行為担当官等において、官行造林地における収穫調査に係る委託費の経理に当たり、適正な歳出科目から支出することに対する理解が十分でなかったこと、森林管理局において、森林管理署等に対する予算執行に関する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

これを契約別に示すと次のとおりである。

  森林管理署等名 年度 契約名 委託費支出額 支出すべき歳出科目 誤って支出した歳出科目 誤った歳出科目から支出した額
        千円     千円
(312) 関東森林管理局会津森林管理署 25 平成25年度会津森林管理署収穫調査業務委託(官行造林) 3,940 (項)森林整備・保全費 (項)国有林野産物等売払及管理処分業務費 3,940
(313) 関東森林管理局会津森林管理署南会津支署 25 平成25年度会津森林管理署南会津支署収穫調査業務委託(官行造林) 3,535 (項)森林整備・保全費 (項)国有林野産物等売払及管理処分業務費 3,535
(314) 26 平成26年度会津森林管理署南会津支署収穫調査業務委託(官行造林) 6,384 (項)森林整備・保全費 (項)国有林野産物等売払及管理処分業務費 6,384
(315) 九州森林管理局大分森林管理署 25 収穫調査委託 3,202 (項)森林整備・保全費
(項)国有林野産物等売払及管理処分業務費
(項)国有林野産物等売払及管理処分業務費 2,286
(316) 九州森林管理局熊本南部森林管理署 26 収穫調査委託 9,473 (項)森林整備・保全費
(項)国有林野産物等売払及管理処分業務費
(項)国有林野産物等売払及管理処分業務費 4,620
(312)―(316)の計 26,536     20,767