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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • (1)補助の対象とならないもの

青年就農給付金の給付要件を満たしていない者に給付するなどしていて補助の対象とならないもの[農林水産本省、2農政局](318)(319)


(2件 不当と認める国庫補助金 5,500,000円)

  部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(318) 東北農政局 宮城県 栗原市
(事業主体)
青年就農給付金 24 10,500 10,500 1,500 1,500
  農林水産本省 全国農業会議所 25 11,360 11,360 250 250
        小計   21,860 21,860 1,750 1,750
(319) 九州農政局 宮崎県 日向市
(事業主体)
24 18,230 18,230 750 750
  農林水産本省 全国農業会議所 25 21,800 21,800 3,000 3,000
        小計   40,030 40,030 3,750 3,750
(318)(319)の計 61,890 61,890 5,500 5,500

これらの補助事業は、2事業主体が、青年の就農意欲の喚起と就農後の定着を図り、青年就農者の大幅な増大を図るために、経営の不安定な就農初期段階の者(以下「新規就農者」という。)に対して、原則として年間1,500,000円の青年就農給付金(以下「給付金」という。)を給付する事業に要した経費について、平成24年度に2農政局から国庫補助金を、25年度に農林水産本省が交付した国庫補助金を財源として資金を造成している全国農業会議所から補助金を、それぞれ交付したものである。

新規就農・経営継承総合支援事業実施要綱(平成24年23経営第3543号農林水産事務次官依命通知)等によれば、給付金の給付要件は、新規就農者本人が農地の所有権又は利用権を有しており、原則として本人の所有と親族以外からの貸借が主であること、本人が農業法人の代表者であるなど農業経営に関する主宰権を有していることなどとされている。そして、事業主体は、主宰権の有無について農業法人の登記に係る履歴事項全部証明書等により確認することとされている。また、事業主体は、新規就農者の前年の繰越控除前の総所得(注)が250万円以上であった場合には、当年度分の給付金の給付を停止することとされている。

2事業主体は、新規就農者計26名に対して給付金を給付するなどして本件補助事業を事業費計61,890,000円で実施したとして、2県に実績報告書を提出し、これにより同額の国庫補助金の交付を受けていた。

しかし、栗原市は、新規就農者1名について、本人の経営部門に係る農地が親族からの貸借のみとなっていた期間があったのに、この期間に係る給付金を給付していた。また、日向市は、新規就農者1名について、本人が履歴事項全部証明書において農業法人の代表者となっておらず主宰権を有していないのに給付金を給付していたり、別の新規就農者1名について、農業経営開始後の24年の繰越控除前の総所得が250万円以上となっていたのに、25年度分の給付金の給付を停止していなかったりしていた。

したがって、2事業主体が給付要件を満たしていない新規就農者に給付するなどした給付金計5,500,000円(栗原市分1,750,000円、日向市分3,750,000円)は補助の対象とは認められず、これらに係る国庫補助金相当額計5,500,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、2事業主体において給付金の給付に当たっての審査及び確認が十分でなかったこと、2県において2事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

(注)
繰越控除前の総所得  地方税法(昭和25年法律第226号)に定められた合計所得金額をいい、同法の規定による純損失等の繰越控除前の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額を指す。