(1件 不当と認める国庫補助金 13,703,820円)
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(327) | 農林水産本省 | 千葉県 (事業主体) |
― | 農山漁村地域整備交付金等2事業 | 25 | 29,778 | 14,889 | 27,407 | 13,703 |
この交付金事業は、千葉県が、大網白里市堀川地区において、排水機場の機能を保全することなどを目的として、主ポンプ盤、コントロールセンター盤、補助継電器盤各1面(以下、これらの機器を合わせて「新規製作盤」という。)等の製作及び据付け並びに既設の主ポンプ盤、コントロールセンター盤各3面(以下、これらの機器を合わせて「移設盤」という。)の移動及び据付けなどを実施したものである。
本件新規製作盤及び移設盤の設計については、「電気設備計画設計技術指針(高低圧編)」(農林水産省農村振興局監修)、「建築設備耐震設計・施工指針」(財団法人日本建築センター編)等(以下、これらを「指針等」という。)に基づき行っている。指針等によれば、機器を据え付けるためのアンカーボルトは、必ずく体コンクリートに埋め込むこととされている。
請負人は、指針等に基づき、アンカーボルトについて耐震設計計算を行い、新規製作盤については、これを据え付けるための架台と床面とをアンカーボルト(埋込長さ50mm)計22本を使用して固定することとし、移設盤については、これを据え付けるための溝形鋼と床面とをアンカーボルト(埋込長さ90mm)計12本を使用して固定することとしていた。そして、耐震設計計算の結果や図面等を記載した耐震計算書(以下「設計図面等」という。)を同県に提出し、同県は、設計図面等を審査するなどした上で承認し、これにより施工していた。
しかし、前記のとおり、機器を据え付けるためのアンカーボルトは、必ずく体コンクリートに埋め込むこととなっているのに、誤って、新規製作盤については、主ポンプ盤を固定するためのアンカーボルト6本のうち片側の2本(参考図1参照)、コントロールセンター盤を固定するためのアンカーボルト8本のうち片側の4本及び補助継電器盤を固定するためのアンカーボルト8本全てを、建屋建設時に打設した厚さ30cmのラフコンクリート(注)に埋め込むこととしていた。また、移設盤についても同様に、移設盤を固定するためのアンカーボルト12本全てをラフコンクリートに埋め込むこととしていた(参考図2参照)。このため、本件工事でラフコンクリートに埋め込んだアンカーボルトは、地震時に生ずる引抜力に抵抗するための耐力が確保されていない状態となっていた。
したがって、新規製作盤及び移設盤(工事費相当額27,407,640円)は、設計が適切でなかったため、地震時に転倒するなどして破損するおそれがあり、地震時における機能の維持が確保されていない状態となっており、これに係る交付金相当額13,703,820円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、設計図面等に誤りがあったのに、これに対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。
片側のアンカーボルトがラフコンクリートに埋め込まれた据付概念図
全てのアンカーボルトがラフコンクリートに埋め込まれた据付概念図