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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 農林水産省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

(4)調査用自動車の取得台数の算定に当たり、交換基準を満たさない既存の調査用自動車の台数を控除することなどにより取得台数の削減を図るよう改善させたもの


会計名及び科目
一般会計 (組織)地方農政局 (項)地方農政局
部局等
農林水産本省、7農政局
調査用自動車の概要
農林水産物の流通監視や各種の統計調査業務等に使用されている自動車
調査用自動車の取得台数及び取得費
166台 1億6199万余円(平成25、26両年度)
上記のうち取得する際に交換基準を満たさない既存の調査用自動車の台数を控除することなどにより削減できた取得台数及び節減できた取得費相当額
43台 4275万円

1 調査用自動車の管理の概要

(1)調査用自動車の概要

農林水産省は、公用車等を多数保有して、管理及び運用を行っている。このうち、同省の地方支分部局である農政局、北海道農政事務所(以下、これらを総称して「農政局等」という。)及び地域センター(注1)が管理する小型貨物自動車及び軽貨物自動車(以下「調査用自動車」という。)は、農林水産物の流通監視や各種の統計調査業務等に使用されている。

(注1)
地域センター  農政局等の地域センター。ただし、農政局等が所在する道府県のうち農政局等の地域センターの管轄区域外の区域にあっては当該区域を管轄する農政局等

(2)減車計画への取組

農林水産省は、「地方農政事務所等のライトバンの配置台数の見直しについて」(平成20年1月)及び「調査用自動車第6次整備計画の見直しについて」(平成20年1月)(以下、これらを合わせて「減車計画」という。)に基づき、平成20年度から27年度までの間に計1,320台の調査用自動車を削減することとしている。

(3)調査用自動車の取得及び廃車等

農政局等は、国の所有に属する自動車等の交換に関する法律(昭和29年法律第109号)に基づく交換契約等により調査用自動車を取得している。既存の調査用自動車については、この交換契約により下取り(以下「廃車」という。)に出すほか、物品管理法(昭和31年法律第113号)等に基づき、廃棄、売払、管理換及び供用換(以下、これらを合わせて「廃車等」という。)を行っている。

また、調査用自動車の取得に当たって、農林水産本省(以下「本省」という。)は、農政局等及び地域センターが管理する調査用自動車の稼働状況等に基づき取得台数を決定し、農政局等に対して取得台数の割当てを行っている。

一方、調査用自動車の廃車等に当たって、本省は、毎年度交換契約による取得台数及び減車計画を勘案するなどして農政局等ごとに決定した台数を農政局等に対して通知するとともに、調査用自動車の経過年数、走行距離等により交換基準(25年度の交換基準は取得から8年を経過した調査用自動車であること、26年度の交換基準は取得から10年を経過又は10万キロを走行した調査用自動車であること)を設定して示している。そして、これを受けて農政局等は、調査用自動車の稼働状況等に基づいて管内の地域センターに対して廃車等台数を割り当てており、地域センター等はこれに基づき廃車等を行っている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、経済性等の観点から、調査用自動車の管理が適切に行われているかなどに着眼して、農政局等及び地域センターが管理する調査用自動車のうち、25年度に取得した67台(物品管理簿価格計7187万余円)、26年度に取得した99台(同計1億0135万余円)の計166台(同計1億7322万余円)及び25年度に廃車等をした220台(同計1億5874万余円)、26年度に廃車等をした147台(同計1億2147万余円)の計367台(同計2億8021万余円)を対象として検査した。

検査に当たっては、本省、8農政局等(注2)及び20地域センター(注3)において、交換契約書、車歴簿等の書類を確認するなどして会計実地検査を行うとともに、残りの45地域センターについては、交換契約書、車歴簿の写しなどの書類を本省から提出させた上で検査した。

(注2)
8農政局等  東北、関東、北陸、東海、近畿、中国四国、九州各農政局、北海道農政事務所
(注3)
20地域センター  函館、旭川、青森、盛岡、千葉、静岡、浜松、新潟、富山、豊橋、津、奈良、和歌山、鳥取、松江、山口、福岡、北九州、佐賀、長崎各地域センター

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

8農政局等は、本省から割り当てられた調査用自動車の取得台数を基に、交換契約等により、25年度に67台、26年度に99台の調査用自動車を取得していた。

一方、調査用自動車の廃車等に当たって、本省は、前記のとおり、交換契約等による取得台数及び減車計画に基づくなどして台数を決定し、農政局等は、これを受けて25年度に取得台数と同数の67台に減車計画を勘案した153台を加えた計220台、26年度に取得台数と同数の99台に減車計画を勘案した48台を加えた計147台を、それぞれ廃車等台数として管内の地域センターに対して割り当てていた。

しかし、廃車をした調査用自動車の中には、本省において、交換基準を満たしていない調査用自動車を減車計画により削減する台数に含めて取得台数を算定していたり、農政局において交換基準を満たしていない調査用自動車の廃車をしていたりしたため、7農政局において、交換基準を満たしていない調査用自動車が25年度2台、26年度41台の計43台含まれていた。

したがって、25、26両年度の交換契約等における取得台数67台、99台から交換基準を満たしていない調査用自動車の台数2台、41台を控除して取得台数を決定したとすれば、調査用自動車の取得台数はそれぞれ65台、58台となり、上記の2台、41台に係る取得費相当額25年度173万余円、26年度4102万余円の計4275万余円が節減できたと認められた。

なお、交換基準を満たしていないのに廃車をしていた計43台の調査用自動車について、車歴簿等により修理費等の維持費を確認したところ、廃車等の対象としていない調査用自動車に比べて多くの修理を要していたという事実は確認できなかったことから、安全性に問題がなく使用できたものと考えられる。

このように、調査用自動車を取得する際に、廃車等をすることとされた調査用自動車が交換基準を満たしていないのに、これを考慮していなかったため、調査用自動車の取得費の節減が図られていなかった事態は適切ではなく、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、本省において、調査用自動車の取得台数の算定に当たり、交換基準を満たしていない調査用自動車を減車計画等により削減する台数に含めないことや、農政局において、交換基準を満たしていない調査用自動車の廃車をせずに、取得及び廃車の台数を決定し、取得台数の削減を図ることの重要性について、理解が十分でなかったことによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、農林水産省は、27年9月に各農政局等に事務連絡を発して、今後、本省において、調査用自動車の取得台数を算定する際には、取得の対象となる交換基準を満たす調査用自動車の台数から、交換基準を満たしていない減車計画等による減車台数を控除することにより取得台数を算定して各農政局等へ通知することや、各農政局等において、交換基準を満たしていない調査用自動車の廃車等をせず、調査用自動車の保有状況、年式等を考慮した上で、取得台数を決定することとする旨の周知徹底を図るなどの処置を講じた。