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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 不当事項|
  • 工事

無停電電源設備の蓄電池更新工事の施行に当たり、共通費の積算を誤ったため、契約額が割高となっていたもの[特許庁](337)


会計名及び科目
特許特別会計 (項)事務取扱費
部局等
特許庁
工事名
無停電電源設備の蓄電池更新工事
工事の概要
蓄電池が期待寿命を経過した無停電電源設備の性能維持を目的として、蓄電池を更新するもの
契約額
151,200,000円(平成26年度)
請負人
三菱電機ビルテクノサービス株式会社
契約
平成26年9月 一般競争契約
支払
平成26年11月
割高となっていた契約額
980万円(平成26年度)

1 工事等の概要

特許庁は、蓄電池が期待寿命を経過した無停電電源設備の性能維持を目的として、平成26年9月に、無停電電源設備の蓄電池更新工事契約を一般競争契約により、三菱電機ビルテクノサービス株式会社と契約額151,200,000円で締結して、蓄電池の更新等の工事(以下「本件工事」という。)を施行している。

特許庁は、本件工事の予定価格の積算に当たり、蓄電池の更新等の直接工事費を、業者から見積りを徴するなどして111,269,900円と算定していた。また、共通仮設費、現場管理費及び一般管理費等(以下「共通費」という。)については、官庁営繕関係基準類等の統一化に関する関係省庁連絡会議において統一基準とされた「公共建築工事共通費積算基準」(以下「積算基準」という。)に基づいて計算された共通仮設費率、現場管理費率及び一般管理費等率の主なものが掲載されている市販の積算参考資料(以下「積算参考資料」という。)を基に、直接工事費に共通仮設費率を乗じて共通仮設費を3,694,160円、直接工事費と共通仮設費を合計した純工事費に現場管理費率を乗じて現場管理費を18,405,746円、純工事費と現場管理費を合計した工事原価に一般管理費等率を乗じて一般管理費等を12,870,186円と算定していた。そして、工事原価と一般管理費等を合計した工事価格に消費税等相当額を加えて工事費を157,939,191円と算定していた。

2 検査の結果

本院は、経済性等の観点から、予定価格の積算が適切に行われているかなどに着眼して、本件工事を対象として、特許庁において、予定価格の積算内訳書等の書類を確認するなどして会計実地検査を行った。

検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

すなわち、特許庁が本件工事の予定価格を積算した26年8月時点より前の同年3月には積算基準が26年版に改定されていたことから、特許庁は、26年版の積算基準を基に共通費を算定すべきであったのに、誤って、この改定に対応していない積算参考資料を用いていた。また、積算基準によれば、共通費は算定式を用いて算定することとされているが、特許庁は、算定式を用いずに、積算参考資料に掲載されている直接工事費等の金額区分別の主な率から、例えば共通仮設費率については、実際の直接工事費が111,269,900円であるのに直接工事費区分「9百万円」の率を選定するなど、実際の直接工事費等の額とは異なる金額に係る率を誤って選定して、共通仮設費率、現場管理費率及び一般管理費等率をそれぞれ3.32%、16.01%、9.65%として、共通費を算定していた。

したがって、26年版の積算基準に基づいて計算した正しい共通仮設費率1.53%、現場管理費率6.08%及び一般管理費等率9.28%により、共通費を修正計算すると、共通仮設費は1,702,429円、現場管理費は6,868,717円、一般管理費等は11,058,954円となる。そして、これらを含めた工事費の総額は141,372,000円となることから、本件契約額151,200,000円はこれに比べて約980万円割高となっていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、特許庁において、積算基準に対する理解が十分でなかったこと並びに本件工事の予定価格の積算に対する審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。