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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 経済産業省|
  • 平成25年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1)中小企業海外展開支援事業の効果について


平成25年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

中小企業庁は、複数の中小企業等が連携して世界に通用するブランド力の確立を目指す取組(以下「プロジェクト」という。)に要する経費の一部を補助することにより、地域中小企業の海外販路の拡大を図ることなどを目的として、戦略事業(戦略策定段階に係る事業)及びブランド事業(海外市場開拓段階に係る事業)から構成される中小企業海外展開支援事業(JAPANブランド育成支援事業)(以下「海外展開事業」という。)を実施しており、中小企業等の事業主体に対して国庫補助金を交付している。しかし、プロジェクト採択時の審査において、当初の事業計画が十分に検討されていない計画不備等を事前に把握するための事業主体に対する基本的な適格性の審査が十分でなかったり、ブランド事業終了後のフォローアップが十分でなかったりなどしていて、多くの事業主体において海外販路の拡大がなされておらず、海外展開事業の効果が十分に発現していなかったり、成果実績を適切に把握していなかったりしている事態が見受けられた。

したがって、中小企業庁において、各プロジェクトについて、長期的な事業展開の見通しに係る審査や計画不備等を事前に把握することができるような審査を行うこと、審査の視点ごとに設けた審査項目の評価を明確に示すなどして審査過程を事後的に検証して今後の審査に反映できるようにすることなどの採択時の審査方法の見直しを行ったり、ブランド事業終了後におけるフォローアップについて、海外販路の拡大状況の実態を把握するとともに、必要に応じて事業主体に対する指導、助言等を行い、事業主体が適時適切に公的機関等による更なる支援を受けられるようにするなどして、体制を整備したり、成果実績の適切な把握について、海外展開事業の事務処理要領に具体的な指標を明記するなどして、調査方法が実態を反映するものとなるよう十分に検討したりするよう、中小企業庁長官に対して平成26年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

本院は、中小企業庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、中小企業庁は、本院指摘の趣旨に沿い、27年3月にふるさと名物応援事業補助金(JAPANブランド育成支援事業)に係る交付要綱等を改正し、次のような処置を講じていた。

ア 長期的な事業展開の見通しや計画不備等を事前に把握するために、事業主体が提出する国庫補助金の交付申請書にブランド事業を実施するための自己負担分の資金調達方法を記載させるなどして審査に活用したり、海外市場における関税、輸送費用等の把握等の状況を審査項目に追加したり、審査過程を事後的に検証し今後の審査に反映できるようにするために審査の視点ごとに審査委員の意見を付したりすることとして、採択時の審査方法の見直しを行った。

イ ブランド事業終了後のフォローアップのために、交付要綱に定める事業化状況報告書に海外販路の拡大状況の実態を把握するための成約件数等を記載する欄を新たに設けて、補助事業終了後に事業主体から提出させるとともに、経済産業局が事業主体に対して必要に応じて指導、助言等を行ったり、事業主体が公的機関等による更なる支援を受けられるようにしたりすることを事務処理要領に明記して、体制を整備した。

ウ 成果実績の適切な把握のために、交付要綱に定める実績報告書の様式に商談及び成約の件数等を記載する様式を加えて、補助事業終了後に事業主体から提出させることとした。