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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 国土交通省|
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  • (1)工事の設計が適切でなかったなどのもの

函渠(かんきょ)の設計が適切でなかったもの[4県](347)-(350)


(4件 不当と認める国庫補助金 98,743,500円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(347) 山形県 寒河江市 社会資本整備総合交付金
(下水道)
23、24 147,924
(147,924)
73,962 138,062
(138,062)
69,031
(348) 栃木県 鹿沼市 24、25 46,756
(43,165)
21,582 21,583
(21,583)
10,791
(349) 兵庫県 神戸市 24、25 66,475
(29,353)
14,676 12,628
(12,628)
6,314
(350) 鳥取県 境港市 23、24 101,040
(95,146)
47,573 25,214
(25,214)
12,607
(347)―(350)の計 362,196
(315,589)
157,794 197,487
(197,487)
98,743

これらの交付金事業は、4市が、下水道事業の一環として、雨水管、マンホール等を整備するなどの工事を実施したものであり、このうち雨水管の整備は、道路を開削して函渠(かんきょ)を埋設し、その埋戻し、舗装の復旧等を行ったものである。

道路の構造については、道路法(昭和27年法律第180号)によれば、当該道路の交通状況等を考慮して、安全かつ円滑な交通を確保することができるものでなければならないことが原則とされており、舗装の構造については、「舗装の構造に関する技術基準・同解説」(社団法人日本道路協会編)によれば、道路管理者が、この原則に従って、道路に下水道管等を埋設しようとする事業者に対して路面の機能を損なわないよう指導する必要があるとされている。そして、本件工事に係る4道路管理者は、道路を開削した場合の復旧について、路面の機能を損なわないように開削前と同じ舗装厚とすることなどとしていた。

また、函渠の勾配については、「下水道施設計画・設計指針と解説」(社団法人日本下水道協会編。以下「指針」という。)によれば、適切な流速を確保するために必要な勾配としなければならないとされている。

4市は、函渠の設計に当たり、指針等に基づいて、適切な流速を確保するために必要な勾配が確保されるように函渠を埋設する深さを決定し、これにより施工していた。

しかし、4市は、函渠を埋設する深さの決定に当たり、土被り厚について開削前の道路の舗装厚を確保するようにしていなかったなどのため、函渠が舗装の一部である下層路盤、上層路盤等に入り込んでいて、開削前と同じ舗装厚を満たしていなかった。このため、函渠が下層路盤、上層路盤等に入り込んでいる箇所とそれ以外の箇所とでは舗装厚が異なっていて、舗装構造が一様でなく、不同沈下に伴う路面の不陸等が生じて路面の機能が損なわれるおそれがあるなどの状況となっていた。

したがって、前記の工事のうち雨水管の整備については、函渠の設計が適切でなかったため、路面の機能が損なわれて安全かつ円滑な交通が確保されないおそれがある状態になっており、舗装構造が一様でなくなった区間に係る交付金相当額計98,743,500円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、4市において、函渠の設計に当たり、函渠を道路に埋設する際に路面の機能を維持することについての理解が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

山形県寒河江市は、同市越井坂町地内において、市道南町4号線の車道(道路幅員7.2m、舗装厚37cm)及び市道新山本楯(しんざんもとたて)堤防線の車道(道路幅員7.7m、舗装厚37cm)を開削して、函渠(内空断面の幅2.2m、高さ1.9m、延長178.9m)を埋設し、舗装の復旧等を行っていた。そして、同市は、函渠を埋設する深さの決定に当たって、土被り厚を8cmから23cmまでとし、これにより施工していた(参考図参照)。

しかし、道路の舗装厚については、上記のとおり、土被り厚を8cmから23cmまでとしたため、函渠を埋設した全延長178.9mの区間において、函渠が舗装の一部である下層路盤又は上層路盤に入り込んでいて、開削前と同じ舗装厚37cmを満たしていなかった。そして、函渠を埋設した箇所の一部においては、函渠の頂版端部に沿って舗装に最大2.1mmのひび割れが生じていた。

したがって、本件函渠(工事費相当額138,062,000円、交付金相当額69,031,000円)は、設計が適切でなかったため、路面の機能が損なわれて安全かつ円滑な交通が確保されないおそれがある状態になっていた。

(参考図)

舗装断面概念図

舗装断面概念図の画像

縦断概念図

縦断概念図の画像