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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 国土交通省|
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  • 補助金|
  • (1)工事の設計が適切でなかったなどのもの

函渠(かんきょ)の基礎の設計が適切でなかったもの[山形県](359)


(1件 不当と認める国庫補助金 22,799,000円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(359) 山形県 酒田市 社会資本整備総合交付金
(下水道)
23、24 110,400
(109,177)
54,588 45,598
(45,598)
22,799

この交付金事業は、酒田市が、下水道事業の一環として、同市東泉町地内において、雨水管及び集水桝を整備するなどの工事を実施したものである。

このうち雨水管の整備は、主要な市道間を接続する道路である市道東泉町二丁目11号線の車道(車道幅員6.1m~7.4m)を開削して、軟弱地盤の地盤改良を兼ねた基礎として、こま型ブロック計1,365個及び間詰砕石(以下、これらを合わせて「函渠(かんきょ)の基礎」という。)を地中に敷設するなどし、その上に函渠(内空断面の幅800mm~1,400mm、高さ800mm~1,400mm、延長233.5m)を設置して、その埋戻し、舗装の復旧等を行ったものである(参考図参照)。

同市は、本件函渠及び函渠の基礎の設計を、「道路土工 カルバート工指針」(社団法人日本道路協会編)、「地盤改良工法便覧」(日本材料学会土質安定材料委員会編)(以下、これらを合わせて「設計指針」という。)等に基づいて行っている。そして、同市は、函渠の基礎の設計に当たり、本件函渠を埋設する市道が道路構造令(昭和45年政令第320号)に定める普通道路(注1)に当たるものの、計画交通量が少なく、大型自動車の通行も少ないとして、設計自動車荷重を14tとした上で、函渠の基礎に作用する鉛直荷重(注2)を83.18kN/m2と算出し、許容鉛直支持力度(注2)84.64kN/m2を下回ることなどから設計計算上安全であるとして、これにより施工していた。

しかし、道路構造令及び設計指針によれば、普通道路に函渠等を埋設する場合、基礎に作用する鉛直荷重の算定に当たって用いるべき設計自動車荷重は25tとされている。そして、本件函渠を埋設する市道は、計画交通量が少ないとはいえ、主要な市道間を接続する道路であり、実際に大型自動車の通行が見込まれる普通道路であることから、函渠の基礎の設計に当たっては、大型自動車の通行量の多寡にかかわらず設計自動車荷重を25tとして設計すべきであった。

そこで、改めて設計自動車荷重を25tとして函渠の基礎に作用する鉛直荷重を算出したところ、125.72kN/m2となり、前記の許容鉛直支持力度84.64kN/m2を大幅に上回っているなどしていて、設計計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。

したがって、本件函渠及び函渠の基礎等(工事費相当額計45,598,000円)は、函渠の基礎の設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額計22,799,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において、函渠の基礎の設計に当たり、函渠を大型自動車の通行が見込まれる普通道路に埋設する場合に用いるべき設計自動車荷重についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。

(注1)
普通道路  小型道路(長さ6.0m以下、幅2.0m以下等の自動車等及び歩行者又は自転車のみの通行の用に供する道路)以外の道路をいう。
(注2)
鉛直荷重・許容鉛直支持力度  「鉛直荷重」とは、構造物の自重等が地盤に対し鉛直方向に働く単位面積当たりの力をいい、鉛直荷重を基礎底面地盤が支えることのできる設計上許される単位面積当たりの限度を「許容鉛直支持力度」という。

(参考図)

函渠設置概念図

函渠設置概念図の画像