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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 国土交通省|
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  • (1)工事の設計が適切でなかったなどのもの

水路工の設計が適切でなかったもの[長崎県](360)


(1件 不当と認める国庫補助金 5,951,400円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(360) 長崎県 長崎県 社会資本整備総合交付金
(道路)
25 27,188 
(27,188)
19,032 8,502
(8,502)
5,951

この交付金事業は、長崎県が、一般国道382号道路改良事業の一環として、対馬市上県町佐須奈地内において、バイパス整備に伴い既設の土水路の機能を確保するなどのために、水路工及び地下排水工を実施したものである。

このうち水路工は、工場で製作されたL型ブロック(高さ1.4m、幅0.6m)を左右に配置して側壁及び底版の一部とし、その間を鉄筋で連結した上でコンクリートを打設して底版の一部(厚さ0.15m、幅0.7m。以下「底版コンクリート」という。)とするなどした水路(内空断面の幅1.7m、延長85.5m。以下「L型ブロック水路」という。)等を築造するものである。

同県は、L型ブロック水路の設計を「土地改良事業計画設計基準・設計「水路工」」(農林水産省農村振興局制定。以下「設計基準」という。)等に基づき行っている。そして、設計基準等によれば、鉄筋コンクリートにおいては、土圧等の外力に対して鉄筋とコンクリートが一体となって働く必要があるため、鉄筋端部同士の接合は極めて重要であり、完全に行われなければならないとされており、鉄筋端部を重ね合わせて接合する場合、重ね合わせる長さは鉄筋の径の30倍以上を確保しなければならないこととされている。

同県は、底版コンクリートの鉄筋の配置について、左右に設置するL型ブロックの底版には、あらかじめ径13mmの張出鉄筋がそれぞれ水路の横断方向に突出するように埋め込まれていて、左右の張出鉄筋の端部を水路の中央で重ね合わせ、これに水路の縦断方向に径13mmの配力鉄筋を配置すれば、L型ブロック水路に作用する土圧等に対して安全であるとして、これにより施工していた(参考図参照)。

しかし、底版コンクリートの鉄筋の配置についてみると、左右に設置したL型ブロックの底版から突出している張出鉄筋の長さはそれぞれ420mmとなっていて、それらを水路の中央で重ね合わせる長さは140mmとなり、径13mmの張出鉄筋の端部を重ね合わせて接合する際に必要な長さの390mm以上に比べて著しく不足した状態となっていた。このような状態では、鉄筋とコンクリートが一体となって働くことができず、底版コンクリートは土圧等の外力に対応できないものとなっていた。

したがって、L型ブロック水路(工事費相当額8,502,000円)は、底版コンクリートの鉄筋の設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額5,951,400円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。

(参考図)

L型ブロック水路概念図

L型ブロック水路概念図の画像