(1件 不当と認める国庫補助金 5,340,669円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(361) | 鹿児島県 | 鹿児島県 | 河川等災害復旧 | 24、25 | 36,127 (36,127) |
24,096 | 8,007 (8,007) |
5,340 |
この補助事業は、鹿児島県が、出水郡長島町の二級河川指江川において、豪雨により被災した護岸等を復旧するために、護岸工等を実施したものである。このうち、護岸工(高さ2.2m~4.4m、左右両岸の工事区間延長は合計355.0m)は、河岸を保護するために、石積護岸等を築造したものである。
本件護岸工の設計は、建設省河川砂防技術基準(案)同解説(社団法人日本河川協会編)等に準拠して同県が制定した「災害復旧事業の手引(技術編)」(以下「手引」という。)等に基づき行われている。手引によれば、岩線又は現況最深河床から護岸本体底面までの深さ(以下「根入れ深さ」という。)については、流水による河床の洗掘に対応するために、護岸の基礎部の位置する層の土質が軟岩(I)の場合は岩線から0.5m、岩以外の場合で河川の状況が標準である場合は現況最深河床高から1.0mを確保することとされている。
同県は、本件護岸工のうち延長合計114.0mについては、護岸の基礎部の位置する層の土質を軟岩(I)と判定して、根入れ深さを0.5mとするなどして設計していた。そして、同県は、本件護岸工の施工時に、護岸の基礎部の位置する層の土質を当初設計どおりの軟岩(I)であるとして、上記のとおり根入れ深さ0.5mで施工していた(参考図参照)。
しかし、現地において護岸の基礎部の位置する層の土質を確認したところ、上記の114.0mのうち100.5mについては、当初設計時に判定した軟岩(I)ではなくれき質土であり、護岸の基礎部の位置する層の土質が岩以外の場合で河川の状況が標準である場合に該当することから、設計を変更して根入れ深さを1.0m確保する必要があった。
このため、本件護岸工は手引により必要とされる根入れ深さ1.0mが確保されておらず、河床の洗掘が進行すると護岸等に損傷が生ずるおそれがある状況となっていた。現に、護岸の前面において河床に洗掘が生じており、その深さは設計時の現況最深河床高から最大で60cmとなっていた(参考図参照)。
したがって、本件護岸工のうち前記の100.5m(工事費相当額8,007,000円)は、設計が適切でなかったため、護岸等が河床の洗掘に対応できない構造となっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額5,340,669円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、護岸の基礎部の位置する層の土質が当初設計と異なっていた際に根入れ深さを再検討し、設計変更を行うなどの適切な処置を行うことに対する理解が十分でなかったことなどによると認められる。
護岸工の概念図