(1件 不当と認める国庫補助金 2,332,264円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(377) | 石川県 | 金沢市 | 社会資本整備総合交付金 (下水道) |
25 | 21,325 (21,325) |
10,662 | 4,664 (4,664) |
2,332 |
この交付金事業は、金沢市が、下水道事業の一環として、市道有松・四十万(しじま)線の車道部分に埋設する雨水管等の整備に伴い支障となる銅線、光ファイバ及びこれらを保護するためにマンホール間に設置された管路を移設するために、電気通信事業者に対し、代替の銅線、光ファイバ及び管路(以下、これらを合わせて「通信線路」という。)等の新設に要する費用として21,325,531円(交付金交付額10,662,765円)を補償したものである(参考図参照)。
「公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱」(昭和42年閣議決定)、「公共補償基準要綱の運用申し合せ」(昭和42年用地対策連絡会。以下、これらを合わせて「公共補償基準」という。)等によれば、公共事業の施行に伴い、既存公共施設等の管理者が、機能の廃止等が必要となる施設等と同等の代替施設を建設する場合には、当該公共施設等の建設に要する費用から既存公共施設等の機能廃止時までの財産価値の減耗分(以下「減価相当額」という。)等を控除して補償費を算定することとされている。一方で、鉄道の線路、電線路等の既存公共施設等の一部を移設する場合において、1管理区間のうち支障となる区間がごく僅かであり、移設後の当該代替施設が既存公共施設等の1管理区間全体の耐用年数の延長に寄与しないことが明らかである場合には、財産価値の向上につながらないことから、減価相当額の全部又は一部を控除しないで補償費を算定することができることとされている。
同市は、本件補償において、銅線及び光ファイバの1管理区間として電気通信事業者が接続点を起終点として設定した区間が1,200mであったことから、当該管理区間が管路にも該当するとして、銅線、光ファイバ及び管路の1管理区間を1,200mであるとしていた。そして、通信線路においては、当該1管理区間1,200mのうち、その一部である銅線108.1m、光ファイバ149.9m及び管路108.1mを移設するものであることから、新設される代替の通信線路が既存の通信線路の耐用年数の延長に寄与しないことが明らかな場合に該当するとして減価相当額を控除しないなどして補償費を算定していた。
しかし、通信線路のうち管路については、銅線及び光ファイバのように接続点を起終点として設定された1管理区間ではなく、マンホール間に設置されていることから、管路の1管理区間は、マンホールを起終点とした区間108.1mとなる。このため、管路については、1管理区間の一部を移設するものではなく、その区間全てを移設するものであることから、新設される代替の管路が既存の管路の耐用年数の延長に寄与することになり、本件補償に当たっては、公共補償基準等に従い、当該管路の移設に係る減価相当額を補償費から控除すべきであった。
したがって、管路の減価相当額5,196,425円を控除の対象とするなどして適正な補償費を算定すると16,661,002円となり、本件補償費21,325,531円はこれに比べて4,664,529円過大となっており、これに係る交付金相当額2,332,264円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において、補償費の算定に当たり、公共補償基準における減価相当額等の取扱いについての理解が十分でなかったことなどによると認められる。
通信線路等の移設状況概念図