ページトップ
  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 国土交通省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

(6)共同溝における公益物件の収容状況等を踏まえて、共同溝整備計画において公益物件の収容時期をより具体的に定めるなどして公益物件の収容状況等を適切に確認できるようにするための方策を講じたり、収容を促すなどするための検討を行ったりなどして共同溝の有効利用がより図られるよう意見を表示したもの


会計名及び科目
社会資本整備事業特別会計(道路整備勘定) (平成19年度以前は、道路整備特別会計) (項)道路事業費
部局等
5地方整備局
事業の根拠
共同溝の整備等に関する特別措置法(昭和38年法律第81号)
事業主体
8国道事務所等
共同溝事業の概要
道路の構造の保全と円滑な道路交通の確保を図ることを目的として共同溝の整備を実施するもの
8国道事務所等が管理している共同溝の箇所数及び事業費(1)
330か所 4798億6647万余円(昭和38年度~平成25年度)
(1)のうち建設完了後20年以上を経過して公益物件の収容が整備計画と比較して遅れている共同溝の箇所数及び事業費(2)
214か所 1419億4222万円(昭和38年度~平成6年度)
(1)のうち建設完了後5年以上20年未満を経過して公益物件が全て未収容となっている共同溝の箇所数及び事業費(3)
5か所 50億1707万円(平成13年度~18年度)
(2)及び(3)の計
219か所 1469億5929万円(背景金額)
(昭和38年度~平成6年度、13年度~18年度)

【意見を表示したものの全文】

共同溝の有効利用等について

(平成27年10月26日付け 国土交通大臣宛て)

標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり意見を表示する。

1 共同溝事業の概要等

(1)共同溝事業の概要

貴省は、共同溝の整備等に関する特別措置法(昭和38年法律第81号。以下「共同溝法」という。)に基づき、道路の構造の保全と円滑な道路交通の確保を図ることを目的として、共同溝の整備を実施している。

共同溝は、2者以上の電気通信事業者、電気事業者、ガス事業者、水道事業者、公共下水道管理者等(以下、これらを合わせて「公益事業者」という。)が設置する電線、ガス管、水管又は下水道管(以下、これらを総称して「公益物件」という。)を収容するために、国、都道府県等の道路管理者が道路の地下に設ける施設であり、公益事業者が個別に整備している複数の公益物件を集約することにより、交通が著しくふくそうしている道路等で路面掘削を伴う道路の占用に関する工事が頻繁に行われることを防止したり、震災発生時等におけるライフラインの機能の保全が図られたりすることなどの効果が期待されている。

国土交通大臣は共同溝の整備に当たって、共同溝法等によれば、共同溝を整備すべき道路を指定するとともに、道路管理者は共同溝の建設を希望する公益事業者から提出された申出が相当であると認められるときに、当該共同溝の建設を行うこととされている。共同溝の建設を希望する公益事業者は、共同溝の建設に当たって、公益物件の種類及び構造のほか、収容時期や収容のために必要となるスペース等を記載した計画書(以下「敷設計画書」という。)を添付して申出を行い、道路管理者は、公益事業者から提出された複数の公益物件を収容するために必要な規模及び構造となるよう共同溝を建設している。

そして、道路管理者は、共同溝の建設完了後、直ちに、共同溝の占用許可を申請した公益事業者(以下「占用申請者」という。)に占用を許可するとともに、共同溝法等により75年間と見込まれている期間にわたって共同溝を管理することになっている。

また、共同溝法等によれば、国が道路管理者として共同溝を整備する場合の本工事費、附帯工事費等の事業費については、占用申請者もその事業費の一部を負担しなければならないこととされている。

(2)共同溝事業における整備計画等

道路管理者は、共同溝を建設しようとするときは、共同溝の位置及び名称並びに構造、占用申請者別の占用部分及び公益物件の収容の概要等を記載した共同溝整備計画(以下「整備計画」という。)を作成しなければならないこととなっており、共同溝の建設完了後等に整備計画を変更しようとする場合は、当該共同溝の占用許可を受けた者(以下「占用許可者」という。)等の意見を徴することとなっている。整備計画には、公益事業者が提出した敷設計画書等に基づき公益物件の種類、構造、将来の需要分も含めた数量、収容時期、必要な収容スペース等を記載することとなっており、公益物件の収容時期は、共同溝の建設完了後20年未満と20年以降とに区分等して明示することになっている。

また、共同溝法等においては、占用許可者等以外の公益事業者は、共同溝の占用許可に係る権利及び義務について占用許可者等から譲渡を受けることにより、公益物件を収容することができることとなっている。

2 本院の検査結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、有効性等の観点から、建設完了後の共同溝に公益物件が整備計画どおりに収容され有効に利用されているかなどに着眼して、共同溝法が施行された昭和38年度から平成25年度までの間に整備された共同溝のうち、26年度末現在、5地方整備局(注1)管内の8国道事務所等(注2)が管理している計330か所の共同溝、延長計311.1km、事業費(占用申請者の負担費用を除く。以下同じ。)計4798億6647万余円を対象として、公益物件の収容状況等について、整備計画等の関係書類及び現地の状況を確認するなどして会計実地検査を行った。

(注1)
5地方整備局  関東、中部、近畿、中国、九州各地方整備局
(注2)
8国道事務所等  千葉、東京、相武、名古屋、大阪、兵庫、岡山各国道事務所、熊本河川国道事務所

(検査の結果)

(1)整備計画における公益物件の収容状況

8国道事務所等が管理している計330か所の共同溝について、共同溝の建設完了後の経過年数をみると、表1のとおり、26年度末現在、建設完了後の経過年数が20年以上の共同溝が231か所(延長計179.4km)、20年未満の共同溝が99か所(同131.7km)となっている。

表1 国道事務所等別、経過年数等別の共同溝の箇所数(平成27年3月末現在)

地方整備局名 国道事務所等名 建設完了後の経過年数
20年以上 20年未満
(箇所) 40年以上(昭和49年度以前) 30年以上40年
未満(50年度~59年度)
20年以上30年未満(60年度~平成6年度) (箇所) 10年以上20年未満(7年度~16年度) 10年未満(17年度~26年度)
関東 千葉 8 0 3 5 3 0 3 11(23.6)
東京 156 40 69 47 27 11 16 183(117.3)
相武 10 0 8 2 7 3 4 17(11.0)
中部 名古屋 28 5 12 11 26 16 10 54(87.5)
近畿 大阪 12 0 3 9 18 13 5 30(38.9)
兵庫 13 0 5 8 8 7 1 21(13.1)
中国 岡山 2 0 0 2 9 3 6 11(14.9)
九州 熊本河川 2 0 0 2 1 1 0 3(4.5)
231 45 100 86 99 54 45 330(311.1)
(179.4)       (131.7)    
(注)
計欄の括弧書きは、延長をkmで示している。また、表示単位未満を切り捨てているため各国道事務所等の延長を合計しても計欄の延長とは一致しない。

ア 整備計画と比較した公益物件の収容状況

整備計画においては、前記のとおり、公益物件は共同溝の建設完了後20年未満と20年以降とに区分して収容時期が明示されている。そこで、前記330か所の共同溝のうち建設完了後の経過年数が20年以上の231か所について、公益物件が整備計画どおりに収容されているか検査したところ、建設完了後20年未満の間に収容することとして整備計画に記載された公益物件が全て収容されている共同溝は、4国道事務所(注3)が管理している計17か所のみとなっており、7国道事務所等(注4)が管理している214か所の共同溝(延長計171.7km、事業費計1419億4222万余円)については、公益物件の一部の収容が整備計画と比較して遅れている。

また、前記231か所の共同溝の建設完了後の経過年数を10年ごとに区分して、経過年数別に公益物件の収容状況についてみると、表2のとおり、整備計画どおりに公益物件が収容されている共同溝の箇所数の割合は、20年以上30年未満で8.1%、30年以上40年未満で9.0%、40年以上50年未満で2.2%、50年以上で0%となっており、年数の経過に伴い公益物件の収容が進むなどの傾向は見受けられなかった。

表2 建設完了後の経過年数が20年以上の共同溝における公益物件の収容状況(平成27年3月末現在)

建設完了後の経過年数 建設完了後の経過年数が20年以上の共同溝
(A)
  公益物件が整備計画どおりに収容されている割合
(=(B)/(A))
公益物件が整備計画どおりに収容されている共同溝
(B)
公益物件の一部の収容が整備計画と比較して遅れている共同溝
箇所数
(箇所)
延長
(km)
箇所数
(箇所)
延長
(km)
箇所数
(箇所)
延長
(km)
箇所数
(%)
延長
(%)
20年以上~30年未満 86 69.8 7 4.5 79 65.3 8.1 6.4
30年以上~40年未満 100 65.6 9 2.5 91 63.1 9.0 3.8
40年以上~50年未満 44 43.2 1 0.6 43 42.5 2.2 1.3
50年以上 1 0.6 0 0 1 0.6 0 0
231 179.4 17 7.7 214 171.7 7.3 4.2
(注)
延長は表示単位未満を切り捨てているため計欄は一致しない。

そして、公益物件が整備計画どおりに収容されている箇所数の割合は、建設完了後20年以上を経過してもいずれも10%未満と低いままとなっており、このように公益物件の収容が進まない事態は、75年間と見込まれている期間にわたって、今後も長期間継続するおそれがあると認められる。

上記について事例を示すと、次のとおりである。

<事例1>

東京国道事務所が管理している「品川(6)共同溝(大森中1~大森中1)」(建設着手昭和53年度、建設完了55年度、延長160m、事業費2億0530万円)は、整備計画によれば、4者の占用許可者が建設完了後20年未満の間に、①A社の通信線70条、②B社の電線32条、③C社の通信線6条及び④D社のガス管2本(延長18m及び160m)の四つの公益物件を収容するとともに、建設完了後20年以降には更にA社が通信線70条を追加して収容するとしている。しかし、同共同溝は、平成26年度末現在、建設完了後30年以上経過しているにもかかわらず、整備計画作成時の見込みほど需要が増加していないことなどにより、D社のガス管の一部(延長18m及び延長160mのうち18m)が収容されているだけで、他の公益物件は全延長にわたり未収容となっていて、整備計画と比較して収容が大幅に遅れている。

(注3)
4国道事務所  千葉、東京、相武、名古屋各国道事務所
(注4)
7国道事務所等  千葉、東京、名古屋、大阪、兵庫、岡山各国道事務所、熊本河川国道事務所

イ 占用許可者別又は公益物件別の収容状況

占用許可者別又は公益物件別の収容状況をみると、次のとおりとなっていた。

(ア)建設完了後の経過年数が20年以上の共同溝

建設完了後20年以上を経過して公益物件の収容が整備計画と比較して遅れている前記214か所の共同溝について、占用許可者別の公益物件の収容状況をみると、複数の占用許可者のうち、少なくとも1者以上の占用許可者に係る公益物件が全延長にわたり未収容となっている共同溝が、52か所で見受けられた(表3参照)。また、52か所の共同溝の整備計画における占用許可者数についてみると、表4のとおり、3者から6者までとなっており、複数の者に係る公益物件が全延長にわたり未収容となっている共同溝が11か所あり、中には4者のうち3者に係る公益物件が全延長にわたり未収容となっている共同溝も見受けられた。

表3 1者以上の占用許可者に係る公益物件が全延長にわたり未収容となっている52か所の共同溝(平成27年3月末現在)

地方整備局名 国道事務所等名 箇所数
(箇所)
共同溝名
関東 千葉 1 谷津~幕張(2)
東京 43 日本橋、日本橋、保木間(西保木間1~西保木間2)、保木間(西保木間2~西保木間2)、保木間(西保木間2~西保木間3)、馬喰町、本田(四ツ木5~四ツ木5)、本田(四ツ木5~白鳥2)、青戸~金町、金町(2)(金町4~金町5)、金町(2)(金町5~金町6)、東小松川(松島1~中央2)、東小松川(中央2~中央2)、東小松川(中央2~西一之江2)、銀座、品川(6)(大森中1~大森中1)、東六郷、志村、志村(その3)、四谷(四谷1~四谷1、四谷3~四谷4)、四谷(四谷1~四谷2)、四谷(四谷2~四谷2)、四谷(四谷2~四谷2、四谷2~四谷3)、四谷(四谷2~四谷2)、四谷(四谷3~四谷3)、四谷(四谷3~四谷3)、四谷(四谷4~内藤町)、新宿御苑~角筈(内藤町~内藤町)、新宿御苑~角筈(内藤町~新宿4)、新宿御苑~角筈(新宿4~西新宿)、本郷(本郷2~本郷2)、本郷(本郷2~本郷2)、本郷(本郷2~本郷1)、本郷(本郷1~本郷4)、本郷(本郷4~本郷4)、本郷~大塚(供給管)(春日2~小日向4)、本郷~大塚(供給管)(小日向4~小日向4)、本郷~大塚(春日2~春日2)、本郷~大塚(春日2~小日向4)、本郷~大塚(小日向4~小日向4)、葛西(臨海町4~臨海町1)、葛西(臨海町1~臨海町1)、砂町(その2)
中部 名古屋 2 大治、名東(I)
近畿 大阪 4 第1次福島、第1次福島(その3)、第1次福島(その4)、第2次福島供給管
九州 熊本河川 2 熊本(I期)、熊本(II期)
52  
(注)
共同溝名には、同名の箇所が含まれる。

表4 52か所の共同溝の占用許可者数別の公益物件の収容状況(平成27年3月末現在)

区分 1者に係る公益物件が全延長にわたり未収容となっている共同溝
(箇所)
複数の者
(箇所)
 
2者に係る公益物件が全延長にわたり未収容となっている共同溝 3者に係る公益物件が全延長にわたり未収容となっている共同溝
占用許可者が3者の共同溝 8 7 7 0 15
占用許可者が4者の共同溝 27 4 3 1 31
占用許可者が5者の共同溝 1 0 0 0 1
占用許可者が6者の共同溝 5 0 0 0 5
41 11 10 1 52

また、前記214か所の共同溝について、公益物件の種類別の収容状況をみると、表5のとおり、整備計画と比較して、水管は95.0%、下水道管は94.1%が収容されている一方、電線は19.4%と収容が遅れている。さらに、前記52か所の共同溝についてみると、複数の占用許可者のうち、1者以上の占用許可者に係る公益物件が全延長にわたり未収容となっている公益物件の種類は、いずれも電線又はガス管となっている(表5(D)参照)。

表5 公益物件の種類別の収容状況(平成27年3月末現在)

公益物件の種類 214か所の共同溝の占用許可者別の公益物件数(A)   複数の占用許可者のうち、1者以上に係る公益物件が全延長にわたり未収容となっている52か所の共同溝の占用許可者別の公益物件数(C)  
整備計画どおりに収容されている公益物件数(B) 整備計画どおりに収容されている公益物件数の割合
(=(B)/(A))
整備計画どおりに収容されている公益物件数(D) 整備計画どおりに収容されている公益物件数の割合
(=(D)/(C))
(件) (%) (件) (%)
電線(電力線及び通信線) 595 116 19.4 149 106 71.1
ガス管 105 79 75.2 35 14 40.0
水管 40 38 95.0 13 13 100
下水道管 17 16 94.1 6 6 100
757 249 32.8 203 139 68.4
(イ)建設完了後の経過年数が20年未満の共同溝

建設完了後の経過年数が20年未満の99か所の共同溝について、公益物件が整備計画どおりに収容されているか検査したところ、建設完了後20年未満の間に収容するとして整備計画に記載された公益物件が全て未収容となっている共同溝が10か所見受けられたが、このうち建設完了後の経過年数が5年以上の共同溝が5か所(延長計4.9km、事業費計50億1707万余円)となっており、その未収容の公益物件はいずれも電線となっている(表6参照)。

表6 建設完了後の経過年数が5年以上20年未満の共同溝のうち公益物件が全て未収容となっている5か所の共同溝(平成27年3月末現在)

地方整備局名 国道事務所名 箇所数(箇所) 共同溝名
関東 相武 4 調布・府中、国立~日野、国立~日野(2)、国立~日野(4)
近畿 兵庫 1 神戸長田
5  

上記について事例を示すと、次のとおりである。

<事例2>

相武国道事務所が管理している「国立~日野共同溝」(建設着手平成7年度、建設完了14年度、延長1,686.5m、事業費10億1716万余円)及び「国立~日野(2)共同溝」(同11年度、同14年度、同512m、同3億7623万余円)は、整備計画によれば、3者の占用許可者が建設完了後20年未満の間に、①E社の電線20条、②F社の通信線30条及び③G社の通信線6条の三つの公益物件を収容することとしている。しかし、両共同溝は、26年度末現在、建設完了後10年以上経過しているが、公益物件が全て未収容となっていた。

(2)国道事務所等による共同溝の利用のための取組

8国道事務所等は、整備計画と比較して公益物件の収容が遅れている占用許可者に対して収容を促すとともに、共同溝法等において、占用許可に係る権利及び義務の譲渡を行うことができるとなっていることから、当該公益物件に係る占用許可者からの権利及び義務の譲渡に関する相談を受け付けるなどの対応を行っているとしている。そして、8国道事務所等によると、公益物件の収容が整備計画と比較して遅れていることなどについて、その主な理由は、整備計画作成時の見込みほど需要が増加してないため公益物件を収容するまでに至らなかったり、需要が増加したとしても通信技術等の進歩により既存幹線ケーブル等で対応できたりしていることなど、占用許可者の事情等としている。

しかし、国道事務所等は、整備計画における公益物件の収容時期を共同溝の建設完了後20年で区分していることなどから、占用許可者等に対して、公益物件の具体的な収容時期について十分に確認しておらず、占用許可に係る権利及び義務について他の公益事業者への譲渡についても積極的に働きかけてはいなかった。

共同溝は占用申請者が提出した敷設計画書等に示された複数の公益物件を収容するために必要な規模及び構造として整備されており、整備計画どおりに公益物件が収容されなければ、整備した収容スペースが有効に利用されないこととなる。一方、未収容となっている当該スペースを将来の事業の用に供するなどのために保有し続ける必要があるなどとして他の公益事業者への権利及び義務の譲渡等が進んでいないこともあることなどから、国道事務所等は、建設完了後も公益物件の収容状況を十分に確認するなどして、他の公益事業者への権利及び義務の譲渡を働きかけるなどより積極的に共同溝の有効利用を図る必要がある。

(改善を必要とする事態)

多くの共同溝において整備計画と比較して電線やガス管等の公益物件の収容が遅れていたり公益物件の一部又は全てが未収容となっていたりしているにもかかわらず、共同溝の利用を促すための取組を十分に行っていなかったことなどにより、共同溝の一部が長期間にわたって有効に利用されていない事態は適切ではなく、改善の要があると認められる。

(発生原因)

このような事態が生じているのは、次のことなどによると認められる。

  • ア 貴省において、公益物件の収容状況等を踏まえて、公益物件の収容状況等を適切に確認するための方策や、整備計画と比較して公益物件の収容が遅れている場合に収容を促したり他の公益事業者への権利及び義務の譲渡を働きかけたりなどするための検討が十分でなく、国道事務所等に対してより積極的に共同溝の有効利用を図るための指導が十分でないこと
  • イ 国道事務所等において、整備計画の作成に当たり、公益事業者から提出された敷設計画書等における具体的な収容時期の確認が十分でなく、また、公益物件の収容状況等を踏まえて、収容を促したり他の公益事業者への権利及び義務の譲渡を働きかけたりすることを十分に行っていないこと

3 本院が表示する意見

貴省は、これまでに多額の国費を投じて共同溝の整備を実施してきており、今後も引き続き共同溝を整備していくこととしている。そして、共同溝は、複数の公益物件を交通が著しくふくそうしている道路下に集約して管理するとともに、震災発生時等におけるライフラインの機能の保全という防災の観点からも重要な施設であり、共同溝は長期間にわたって利用されていくものであることから、公益物件が早期に収容されることなどにより、有効に利用されることが求められている。

ついては、貴省において、今後の共同溝の整備が適切に実施されるとともに、共同溝の有効利用がより図られるよう、次のとおり意見を表示する。

  • ア 公益物件の収容状況等を踏まえて、整備計画における公益物件の収容時期をより具体的に定めるなどして公益物件の収容状況等を適切に確認できるようにするための方策を講ずること、整備計画と比較して公益物件の収容が遅れている場合において収容を促したり他の公益事業者への権利及び義務の譲渡を働きかけたりなどするための検討を行うこと
  • イ 国道事務所等に対して、アを踏まえて、公益物件の収容状況や具体的な収容時期等を公益事業者に提示させるなどして十分確認させるとともに、より積極的に、収容を促したり他の公益事業者への権利及び義務の譲渡を働きかけたりなどさせるよう指導すること