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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 国土交通省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

(6)委託契約において受託者が取得し、委託契約終了後に国が返還を受けた物品のうち重要物品に該当するものについて、物品増減及び現在額報告書に計上する必要があることを周知するなどして、物品増減及び現在額報告書への計上を適正に行うよう改善させたもの


会計名
一般会計
社会資本整備事業特別会計(港湾勘定) (平成26年度以降は、一般会計)
社会資本整備事業特別会計(空港整備勘定) (平成26年度以降は、自動車安全特別会計(空港整備勘定))
部局等
5地方整備局
物品の概要
委託契約において受託者が取得し、委託契約終了後に国が返還を受けた物品
独立行政法人港湾空港技術研究所との委託契約による返還物品のうち重要物品に該当するものの数量及び価格
135個 5億6490万余円(平成25年度末)
上記のうち物品増減及び現在額報告書に計上されていなかった重要物品の数量及び価格
66個 3億2713万円

1 物品管理の概要

(1)委託契約において取得した物品の取扱いの概要

国土交通省は、毎年度、独立行政法人港湾空港技術研究所(平成27年4月1日以降は国立研究開発法人港湾空港技術研究所。以下「港空研」という。)その他の独立行政法人等と試験研究に関する委託契約を多数締結している。そして、委託契約において当該法人が取得した物品のうち契約終了時に残存価値があるものについては、国へ返還させることとしており(以下、委託契約において受託者が取得し国へ返還する物品を「返還物品」という。)、返還物品の引渡しを受けたときは、国の物品として物品管理簿に記録し、受託者における減価償却費相当額を控除した額を国の取得価格としている。

なお、当該法人が、委託契約終了後も返還物品を継続して試験研究等に利用する必要がある場合には、当該法人が年度ごとに貸付けの申請を行い、国土交通大臣等が、これを承認することにより、当該法人に対して無償で貸付けを行っている。

(2)国における物品の管理等

物品管理法(昭和31年法律第113号)等によれば、国の物品については、各省各庁の長が物品の取得、保管、供用及び処分(以下、これらを合わせて「管理」という。)を行い、各省各庁の長からその管理に関する事務の委任を受けた職員が物品管理官として当該事務を行うこととされている。

物品管理官は、物品管理簿を備えて、その管理する物品の分類及び品目ごとに、物品の増減等の異動数量、現在高その他物品の異動に関する事項等を記録することとされており、取得価格が50万円以上の機械及び器具(以下「重要物品」という。)については、その価格も記録しなければならないこととされている(以下、物品管理簿に記録された価格を「帳簿価格」という。)。

各省各庁の長は、重要物品について、毎会計年度末の物品管理簿の記録内容に基づき、物品増減及び現在額報告書を作成し、翌年度の7月31日までに財務大臣に送付することとされている(以下、各省各庁の長が作成する物品増減及び現在額報告書を「物品報告書」という。)。そして、財務大臣は、各省各庁の長から送付された物品報告書に基づき、物品増減及び現在額総計算書(以下「総計算書」という。)を作成することとされ、内閣は、総計算書に基づき、毎会計年度末における物品の現在額等について、国会に報告することとされている。

(3)国土交通省における物品の管理等

国土交通省は、国土交通省所管物品管理事務取扱規則(平成13年国土交通省訓令第63号)により、物品管理官として指定する官職及び委任する事務の範囲を定めており、前記の委託契約を締結している地方整備局等においては、地方整備局総務部総括調整官等が物品管理官に指定されて、返還物品等の管理を行うこととなっている。

また、国土交通省の物品管理官は、管理する物品のうち重要物品について、物品増減及び現在額報告書を作成し、国土交通大臣に提出することとされている(以下、物品管理官が作成する物品増減及び現在額報告書を「管理官報告書」という。)。そして、提出された管理官報告書に基づき、国土交通大臣が物品報告書を作成している。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、正確性、合規性等の観点から、返還物品のうち重要物品に該当するものが、物品管理簿に記録された内容に基づいて、適正に物品報告書に計上されているかなどに着眼して、国土交通省が25年度末において管理していた返還物品で重要物品に該当するものを対象として検査した。

検査に当たっては、国土交通本省及び7地方整備局等(注1)において、物品管理簿、管理官報告書等の関係書類を確認するなどして会計実地検査を行ったほか、管理官報告書の作成に係る調書の提出を受けて、その内容を確認するなどの方法により検査した。

(注1)
7地方整備局等  東北、関東、中部、中国、四国、九州各地方整備局、沖縄総合事務局

(検査の結果)

検査したところ、5地方整備局(注2)においては、港空研からの返還物品で重要物品に該当するもの135個(帳簿価格計5億6490万余円)のうち66個(帳簿価格計3億2713万余円)について、25年度の管理官報告書に計上していなかった。このため、国土交通大臣が作成する同年度の物品報告書においても計上されていなかった。

(注2)
5地方整備局  東北、関東、中部、中国、四国各地方整備局

このように、返還物品で重要物品に該当するものについて、管理官報告書に計上していなかったことにより、物品報告書が、国の物品の現況を正確に反映したものとなっていなかった事態は適切ではなく、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、5地方整備局において、返還物品であっても取得価格が50万円以上の機械及び器具については重要物品に該当することについての理解が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、国土交通省は、25年度の物品報告書に計上されていなかった重要物品に該当する返還物品について、26年度の管理官報告書及び物品報告書に計上した。そして、27年8月に、事務連絡を発して、返還物品のうち重要物品に該当するものについて、管理官報告書に確実に計上する必要があることを、地方整備局等に周知する処置を講じた。