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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 国土交通省|
  • 平成25年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(5)国内広域から京浜、阪神両港へのコンテナ貨物の集約の促進に係る事業について


平成25年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

国土交通省は、国内広域から京浜港(東京、川崎、横浜各港)及び阪神港(大阪、神戸両港)へのコンテナ貨物の集約を促進するなどの施策を実施しており、その一環として、関東、近畿両地方整備局が荷主企業の工場等と大型コンテナ船が寄港する主要港湾のコンテナターミナルとの間の輸送を内航船により行う内航フィーダー輸送のための航路を新規開設等する内航船社等を対象として、平成21年度から25年度までの間に内航フィーダー輸送に係る運営業務を委託する事業等(以下「フィーダー機能強化事業」という。)を実施している。しかし、一部のフィーダー機能強化事業において、事業計画における目標輸送量に対する輸送実績の割合が事業実施期間の最終年度において50%を下回っていて、当該事業の事業計画の審査等に当たり、目標輸送量を設定した具体的な根拠や政策目標との整合性に関する十分な根拠を事業計画に記載させておらず、これらを十分に確認していなかったり、的確な事業評価等に資するための事業報告書の提出を求めていなかったりしている事態が見受けられた。

したがって、国土交通省において、フィーダー機能強化事業の実施状況を踏まえて、26年度以降、フィーダー機能強化事業に代わって、京浜、阪神両港の港湾運営会社に対して経費の一部を補助することにより実施される国際戦略港湾競争力強化対策事業が効果的に実施されるよう、事業の成果指標となる目標数量や政策目標との整合性等の具体的な根拠を事業計画に記載させるなどして事業計画の審査等を的確に行うことを検討したり、事業の実施状況等を十分把握できるような事業報告書を作成させることにより、事業の的確な評価や今後実施する事業の計画及び実施に反映することを検討したりするよう、国土交通大臣に対して26年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、国土交通省は、内航船社等の事業計画や事業報告書の内容等の検討については、国際戦略港湾競争力強化対策事業の補助事業者である港湾運営会社が実施することとし、本院指摘の趣旨に沿い、阪神港における港湾運営会社である阪神国際港湾株式会社に対して指導を行っていた。そして、これに基づき同会社は、同事業の一環として内航船社等への委託事業として実施する阪神港への貨物集約の促進に係る事業において、次のような処置を講じていた。

ア 事業の成果指標となる目標数量や政策目標との整合性等の具体的な根拠を事業計画に記載させるなどしてその審査等を的確に行うこととした。

イ 事業の実施状況等を十分把握できるような事業報告書を作成させて、事業の的確な評価や今後実施する事業の計画及び実施に反映することとした。

そして、京浜港については、27年9月末現在、港湾運営会社が設立されていないため、国際戦略港湾競争力強化対策事業は実施されていないが、国土交通省は、京浜港において、港湾運営会社が設立され、同会社が補助事業者となった場合は、阪神港と同様の処置を講ずることとした。