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  • 平成26年度|
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  • (1) 設備の設計が適切でなかったもの

放射線監視等交付金事業により整備した太陽光発電型モニタリングポストの設計が適切でなかったもの[原子力規制委員会](384)


(1件 不当と認める国庫補助金 69,457,500円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(384) 原子力規制委員会 鹿児島県 放射線監視等交付金 24 69,457
(69,457)
69,457 69,457
(69,457)
69,457

この交付金事業は、鹿児島県が、放射線監視等交付金交付規則(昭和49年科学技術庁告示第6号)等に基づき、九州電力株式会社川内原子力発電所からおおむね30km圏内の区域において放射線を24時間連続して監視することを目的として、太陽光パネルで発電される電力により稼働し、空間放射線量率を測定して、その情報を伝送する装置(以下「太陽光発電型モニタリングポスト」という。)を計25局整備したものである(参考図参照)。

同県は、太陽光発電型モニタリングポストの仕様について、購入仕様書において、放射線を24時間連続して監視できること、電源を太陽光パネルと蓄電池とを組み合わせた自立型とすること、太陽光パネルの出力を95W以上とすること、蓄電池を太陽光パネルとの組合せで連続測定が可能となる容量とすることなどとしていた。そして、太陽光発電型モニタリングポストの製作、設置等については、設計を含めてその契約の受注者に行わせることとして、契約締結後に受注者から提出される内容確認仕様書等に同県が承認を与えることにより行うこととしていた。

しかし、同県は、受注者が提出した内容確認仕様書における電源に係る記載内容が購入仕様書と同一で、具体的な設計上の値が示されていないなどしているのに、24時間連続して放射線を監視するという機能の実現可能性について十分に審査、確認等を行うことなく内容確認仕様書に承認を与えていた。

その後、受注者は、出力120Wの太陽光パネル、容量210Ahの蓄電池等を備えた太陽光発電型モニタリングポストを設置し、同県は、これを検査した上で平成25年3月に引渡しを受けていたが、同年5月から、電圧の低下により空間放射線量率が測定できなくなる事態が頻繁に発生していた。このため、同県は、同月及び同年12月に、受注者が行った設計の妥当性について検証を行い、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(27年4月1日以降は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)がインターネット上で公開している日射量のデータベース閲覧システムにおいて地点を「川内」と選択したときに得られる月平均の斜面日射量の値を用いて太陽光パネルの発電電力量を317.32Wh/日と算出し、これが太陽光発電型モニタリングポストの消費電力量216Wh/日を上回ることなどから、設計上の問題はないとしていた。

しかし、上記の閲覧システムは、「川内」のほかにも30km圏内に分散して整備した太陽光発電型モニタリングポストの設置場所に近接する四つの地点を選択することができ、月平均だけでなく日ごとの斜面日射量の値を得ることもできるものとなっていた。また、太陽光発電型モニタリングポストの実際の設置状況をみたところ、全ての局に防護柵等が設置されており、局によっては樹木等がすぐ近くにあるため、これらの影が太陽光パネルに映り込む状況となっていた。

そこで、前記の閲覧システムで得られる五つの各地点における月平均の斜面日射量の値を用いるとともに、太陽光パネルに影が映り込むことなども考慮して、改めて太陽光パネルの発電電力量を計算したところ、「川内」を含めた3地点において、発電電力量が消費電力量216Wh/日を下回る結果となった。

さらに、前記の閲覧システムで得られる日ごとの斜面日射量の値を用いて日ごとの発電電力量を算出し、これと消費電力量とを比較して蓄電池の蓄電状況の推移を試算したところ、5地点全てにおいて、発電電力量が消費電力量を下回る日が連続して蓄電量が減少し、太陽光発電型モニタリングポストの稼働に必要な電力を確保することができない期間が生ずる結果となった。現に、全ての局において断続的に空間放射線量率を測定できない事態が発生しており、その時間は25局の合計で、25年度は3,421時間、26年度は3,816時間となっていて、中には、測定できない時間が月(744時間)の約3割に当たる222.8時間となっていた月がある局もあった。

したがって、同県が整備した太陽光発電型モニタリングポスト(事業費69,457,500円)は、安定した稼働に必要な電源に係る設計が適切でなかったため、放射線を24時間連続して監視する機能を維持することができない状態になっており、これに係る交付金69,457,500円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同県において、太陽光発電型モニタリングポストの安定した稼働に必要な電源を確保することについての検討が十分でなかったことなどによると認められる。

(参考図)

太陽光発電型モニタリングポストの概念図

太陽光発電型モニタリングポストの概念図の画像