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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第12 防衛省|
  • 不当事項|
  • 予算経理

警衛業務に従事する非常勤隊員に休日勤務を命じた場合において、休日給に相当する給与のみを支給すべきであったのに、これに基本給日額を加算していたため、その支給が過大となっていたもの[航空自衛隊第3輸送航空隊](387)


会計名及び科目
一般会計 (組織)防衛本省 (項)武器車両等整備費
部局等
航空自衛隊第3輸送航空隊
非常勤隊員に支給する給与の概要
行政職俸給表に基づき算定する非常勤隊員の基本となる給与の日額のほか勤務の実績に応じて常勤隊員に支給される休日給等に相当する給与を支給するもの
警衛業務に従事する非常勤隊員に対する給与の支給額
91,459,150円(平成23年度~26年度)
上記のうち過大となっていた支給額
4,198,400円

1 警衛非常勤隊員等に係る給与等の概要

航空自衛隊第3輸送航空隊(以下「第3輸空隊」という。)は、輸送機による物資等の空中輸送業務のほか、航空自衛隊美保基地の会計、警備等の基地業務を任務としている。そして、このうち基地正門の警戒、出入者の監視等を行う警衛業務については、平成23年度から同業務に従事させるために非常勤隊員(以下「警衛非常勤隊員」という。)を採用して行わせている。

非常勤隊員の給与は、防衛省の職員の給与等に関する法律(昭和27年法律第266号)によれば、「一般職に属する非常勤の職員の例により、給与を支給する」こととされている。そして、一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号。以下「一般職給与法」という。)によれば、「常勤を要しない職員については、各庁の長は、常勤の職員の給与との権衡を考慮し、予算の範囲内で、給与を支給する」こととされている。

そして、航空幕僚監部は、航空自衛隊における警衛非常勤隊員に係る給与の支給に関してその運用の統一を図るために、「非常勤の隊員に係る給与の支給について(通達)」(平成23年空幕厚第84号例規)及び「警衛業務従事者(非常勤隊員)の採用について(通達)(登録外報告)」(平成23年空幕運第157号。以下、これらを合わせて「給与通達等」という。)をそれぞれ発して、原則として一般職給与法別表第一に掲げる行政職俸給表に基づき基本となる給与の日額(以下「基本給日額」という。)を算定して支給することなどを示している。

給与通達等によれば、警衛非常勤隊員の1日の勤務時間は7時間45分以内とされ、7時間45分のフルタイム勤務を行った場合には、行政職俸給表に基づき基本給日額を8,200円と算定して、この額に勤務地に応じた地域手当相当額を加算した額を、毎月、勤務日数に応じて支給することとされている。

また、警衛非常勤隊員に常勤隊員であれば休日給が支給される勤務(以下「休日勤務」という。)を命じた場合には、給与通達等によれば、警衛非常勤隊員に休日給を支給することはできないが、常勤隊員との均衡を考慮し、予算の範囲内で休日給に相当する給与の額(以下「休日給相当給与」という。)を実績に応じて給与として支給することができることとされている。そして、休日給相当給与は、基本給日額に休日勤務の割増率を乗ずるなどした額から休日勤務1時間当たりの金額を求め、実際に休日勤務を行った時間数を乗じて算定することとされている。

2 検査の結果

本院は、合規性等の観点から、警衛非常勤隊員に対する給与は適正に算定されているかなどに着眼して、第3輸空隊において、23年度から26年度までの間に警衛非常勤隊員計16人に対して支給された給与計91,459,150円を対象として、出勤簿、支給調書等の関係書類を確認するとともに、航空幕僚監部において、給与通達等の解釈を聴取するなどして会計実地検査を行った。

検査したところ、次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。

第3輸空隊は、警衛非常勤隊員に休日勤務を命じた場合において、給与通達等に基づき休日給相当給与のみを支給すべきであったのに、これに基本給日額を加算して支給していた。

したがって、23年度から26年度までの間に第3輸空隊の警衛非常勤隊員に対して支給された給与計91,459,150円のうち、休日給相当給与に加算して支給された計512日分の基本給日額計4,198,400円は過大に支給されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、第3輸空隊において、警衛非常勤隊員に休日勤務を命じた場合における給与の支給に関して給与通達等の理解が十分でなかったことによると認められる。