成田国際空港株式会社(以下「成田会社」という。)は、一定金額以上の産品及びサービスの調達(以下「特定調達」という。)を行うに当たっては、世界貿易機関(WTO)の下で運用されている政府調達に関する協定(以下「協定」という。)等及び協定等を遵守した契約事務を行うために成田会社が定めた「物品等又は特定役務の調達手続に関する細則」(以下「細則」という。)に従った契約手続を実施することとなっている。そして、我が国の電気及びガスの小売市場は自由化が進められており、制度上、国内外の事業者が広く参入できるような状況となっている。しかし、電気及びガスの調達契約について、特定調達の対象となる要件を満たしているにもかかわらず、一般競争に付するなどの特定調達に係る契約手続が実施されていない事態が見受けられた。
したがって、成田会社において、協定の趣旨を十分に理解した上で、これを関係部局に周知徹底し、電気及びガスの調達契約について、特定調達の対象となる要件を満たす場合には、特定調達に係る契約手続を協定等及び細則に基づいて実施するよう、成田国際空港株式会社代表取締役社長に対して平成26年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、成田会社本社において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、成田会社は、本院指摘の趣旨に沿い、26年11月に関係部局に対して通知を発して、特定調達の対象となる要件を満たす場合には、特定調達に係る契約手続を協定等及び細則に基づいて実施するよう周知徹底するとともに、同月に、特定調達の対象となる要件を満たす電気の調達契約について、上記の手続を踏まえて、官報に入札公告を掲載して一般競争に付し、今後契約手続を実施するガスの調達契約についても、同様の手続をとることとする処置を講じていた。