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最先端・次世代研究開発支援プログラムに係る先端研究助成基金助成金の経理が不当と認められるもの[独立行政法人日本学術振興会](442)


科目
(先端研究助成業務勘定)先端研究助成基金助成金
部局等
独立行政法人日本学術振興会
補助の根拠
独立行政法人日本学術振興会法(平成14年法律第159号)
補助事業者
(事業主体)
1研究者
補助事業
最先端・次世代研究開発支援プログラムに係る先端研究助成基金助成
補助事業の概要
政策的及び社会的意義が特に高い先端的研究開発を行うもの
上記に対する助成金額
152,100,000円(平成22年度~25年度)
上記に対する国庫補助金交付額
152,100,000円
不当と認める助成金額
6,450,265円(平成22、23両年度)
上記に対する国庫補助金交付額
6,450,265円

1 最先端・次世代研究開発支援プログラムに係る先端研究助成基金助成金の概要

独立行政法人日本学術振興会(以下「振興会」という。)は、独立行政法人日本学術振興会法(平成14年法律第159号)等に基づき、平成21年度に国から交付された補助金により25年度末まで先端研究助成基金を設置して、同基金を財源として先端研究助成基金助成金を交付している。

この助成金のうち、最先端・次世代研究開発支援プログラムに係る先端研究助成基金助成金(以下「助成金」という。)は、中長期的な我が国の科学・技術の発展を図ることなどを目的として、「新成長戦略(基本方針)」(平成21年12月閣議決定)において掲げられた政策的及び社会的意義が特に高い先端的研究開発を行う若手研究者、女性研究者等を対象として交付されるものである。

「先端研究助成基金助成金(最先端・次世代研究開発支援プログラム)取扱要領」(平成22年規程第13号。以下「取扱要領」という。)等によれば、補助の対象となる経費は、物品費、旅費、謝金、人件費等の直接経費と同経費の30%に相当する間接経費とされており、補助事業者は、取扱要領等で認められている場合を除き助成金を補助事業に必要な経費にのみ使用しなければならないこと、助成金の公正かつ効率的な使用に努めることとされている。

そして、補助事業者は助成金の管理を所属する研究機関に行わせることとされており、当該研究機関は、物品費の適正な執行を図るために、購入品についての納品検査を確実に実施することなどとされている。

2 検査の結果

本院は、合規性等の観点から、交付された助成金が研究機関において取扱要領等に従って適切に管理されているかなどに着眼して、振興会及び6研究機関において会計実地検査を行った。そして、上記の研究機関に係る10補助事業者が行っている研究課題について、納品書、請求書等の書類を確認するなどして検査するとともに、助成金の管理が適切でないと思われる事態があった場合には、研究機関に報告を求めて、その報告内容を確認するなどの方法により検査した。

検査したところ、次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。

振興会は、22年度に公立大学法人大阪府立大学(以下「大阪府立大学」という。)に所属する研究者Aの研究課題を対象として交付決定を行い、22年度から25年度までの間に助成金計152,100,000円を研究者Aに交付していた。そして、大阪府立大学はこれらの助成金の管理を行っていた。

しかし、研究者Aは、22、23両年度に、業者に架空の取引を指示して虚偽の納品書、請求書等を作成させた上で、検収を担当する大阪府立大学の職員に指示して現物確認をすることなく納品書に押印させるなどして大阪府立大学に研究用物品の購入代金計4,961,742円を支払わせ、納品書、請求書等に記載された内容とは異なる研究作業の支払に充てていた。

したがって、上記の購入代金計4,961,742円は、取扱要領等に違反し補助の対象となる経費とは認められず、助成金計6,450,265円(直接経費計4,961,742円、間接経費計1,488,523円)が過大に交付されており、これに係る国庫補助金同額が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、研究者Aにおいて助成金の原資は税金等であるにもかかわらず事実に基づく適正な会計経理を行うという基本的な認識が欠けていたこと、大阪府立大学において研究用物品の納品検査等が十分でなかったこと、振興会において研究機関等に対して助成金の不正使用の防止について必要な措置の導入や指導を行っていたものの、その周知徹底が十分でなかったことによると認められる。