ページトップ
  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第48 独立行政法人地域医療機能推進機構|
  • 不当事項|
  • 予算経理

病院等の運営に当たり、支出を行わないこととしているレクリエーション経費を支出していたもの[独立行政法人地域医療機能推進機構滋賀病院](447)


科目
設備関係費
部局等
独立行政法人地域医療機能推進機構滋賀病院
契約名
土地賃貸借契約
契約の概要
テニスコート等用地として使用するために、地権者と土地の賃貸借契約を締結したもの
契約
平成26年4月 随意契約
支払
平成26年4月~27年2月
支払額
3,300,000円(平成26年度)
不当と認める支払額
3,300,000円(平成26年度)

1 独立行政法人のレクリエーション経費に係る支出等の概要

(1)社会保険病院等の運営の経緯

独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(以下「旧機構」という。)は、一連の社会保険庁改革により、社会保険庁が設置し、その運営を社団法人全国社会保険協会連合会(平成26年4月1日以降は一般社団法人全国社会保険協会連合会。以下「全社連」という。)等の運営委託法人に委託していた社会保険病院等(病院の附属施設である介護老人保健施設及び看護師養成施設を含む。以下「病院等」という。)について、20年10月及び24年4月に国から現物出資を受け、同庁と同様に、運営委託法人に対して病院等の運営を委託していた。その後、26年4月1日の独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法の一部を改正する法律(平成23年法律第73号)の施行に伴い、旧機構は独立行政法人地域医療機能推進機構(以下「機構」という。)に改組され、旧機構がそれまで運営委託法人に運営を委託していた病院等について、機構が直接運営を行うこととなった。

(2)独立行政法人のレクリエーション経費に係る支出の概要

国におけるレクリエーション経費(注)(以下「レク経費」という。)の取扱いについては、20年度以降、その支出を原則廃止することとしており、独立行政法人のレク経費についても、国に準じた取扱いを行う必要があることから、総務省は、20年8月以降、各府省に対して、所管の独立行政法人のレク経費に係る支出の見直しを繰り返し要請している。そして、社会保険庁は、21年11月に、旧機構に対して事務連絡を発出して、レク経費の廃止等を要請している。

また、本院は、病院等が社会保険料を財源として設置された公的病院であること、機構への改組により、いわゆる「公設民営」の病院から「公設公営」の病院となることから、その運営については円滑かつ健全なものとすることが強く求められているとして、25年10月に、旧機構理事長に対して、レク経費を含む病院等の運営に係る支出等の在り方についての方針を検討して、これらの方針を運営委託法人に指示するとともに、改組後の機構の運営に反映する措置を講ずるよう、会計検査院法第36条の規定により意見を表示している。これを受けて、旧機構は、同月に、運営委託法人理事長等及び社会保険病院長に対して、病院等の運営に係る支出等の在り方に関する通知を発出し、今後、病院等におけるレク経費に係る支出を行わないこととしている。

そして、機構は、前記の総務省による要請、上記の旧機構が発出した通知等に基づいて、レク経費に係る支出は行わないこととし、26年5月に、各病院長に対して「法定外福利厚生費の見直しについて」の事務連絡を発出して、病院等におけるレク経費に係る支出を行わないことについて再度周知徹底を図っている。

(注)
レクリエーション経費  職員の厚生施策のうち、研修、健康の保持増進等の厚生に関する事項を除く文化・教養活動、体育活動等のための経費

2 検査の結果

本院は、合規性等の観点から、機構が直接運営を行うこととなった病院等の会計経理が適正に行われているかなどに着眼して、機構本部及び機構滋賀病院において、総勘定元帳等の会計帳簿等を確認したり、現地を確認したりするなどして会計実地検査を行った。

検査したところ、次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。

全社連が運営を行っていた社会保険滋賀病院(26年4月1日以降は機構滋賀病院)は、従前職員用の駐車場用地として使用していた近隣の土地1,017m2について、テニスコート等用地として使用するために、11年8月1日に、同日から31年7月31日までの期間で、当該土地の地権者と賃貸借契約を月額300,000円(翌月の賃借料を当月末までに支払)で締結し、同病院は当該土地にテニスコートを設置していた。そして、26年4月1日の機構への改組に伴い、機構が直接、同病院の運営を行うこととなったことから、機構滋賀病院は、改めて同日から31年7月31日までの期間で、上記の契約と同内容の賃貸借契約を締結し、その賃借料の支出について地代家賃(駐車場土地使用料)として経理処理していた。

しかし、当該テニスコートは、専ら病院職員がクラブ活動で使用するためのものであり、本件土地の賃貸借契約に係る賃借料の支出はレク経費に該当するものとなっていた。

したがって、機構は、レク経費に係る支出を行わないこととしているのに、機構滋賀病院は、テニスコート等用地として本件土地の賃貸借契約を継続してレク経費に該当する賃借料の支出を行っており、これに係る26年4月から27年2月までの支払額計3,300,000円が不当と認められる。

なお、機構滋賀病院は、本院の指摘を受けて、地権者と交渉し、27年3月31日をもって本件土地の賃貸借契約を終了している。

このような事態が生じていたのは、機構滋賀病院において、レク経費に係る支出を行わないこととした通知等に対する認識が欠けていたことなどによると認められる。