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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第84 日本郵便株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

(2)郵便局の劣化対策等工事の実施に当たり、実施方針等について定めた設計指針を改定するなどして、投資回収期間等を踏まえて点灯時間の長い箇所に設置されている照明器具を優先してLED化するよう改善させたもの


科目
固定資産、営業原価
部局等
日本郵便株式会社
契約名
電灯設備模様替工事 89契約
契約の概要
従前の蛍光管を使用した照明器具等をLED照明器具に交換するもの
契約の相手方
23会社
契約
平成26年10月~12月 指名競争契約
152郵便局で実施されたLED化に係る工事費
48億0134万余円(平成26年度)
上記のうち効率的にLED化を実施することができた工事費相当額
4億2680万円

1 劣化対策等工事等の概要

(1)劣化対策等工事の概要

日本郵便株式会社(以下「日本郵便」という。)は、郵政民営化法(平成17年法律第97号)等に基づき、日本郵政公社(平成19年10月1日解散)の郵便業務、窓口業務等を承継して実施しており、これらの業務を実施するために、全国に13の支社と支社管内に計2万を超える郵便局を設置している。

そして、日本郵便は、郵便局等の建物、建築設備等の維持管理を行っているが、19年10月1日の日本郵政公社の民営化以降、これらの機能保全を図るための大規模な修繕、更新等の工事を見送ってきた。

そこで、日本郵便は、日本郵政株式会社(以下「日本郵政」という。)が26年2月に策定した「日本郵政グループ中期経営計画~新郵政ネットワーク創造プラン2016~」に基づき、26年度から老朽化対策や顧客に魅力的な店舗作り等を目的として、郵便局等の建物、建築設備等の修繕、更新等を行う工事(以下「劣化対策等工事」という。)を実施することとし、その実施に当たり、設計・工事監理業務を委託する契約を26年6月に日本郵政と締結している。そして、日本郵便は、劣化対策等工事の実施方針等について日本郵政と協議するなどして定めた劣化対策工事設計指針(以下「設計指針」という。)に沿って、劣化対策等工事を実施している。

(2)劣化対策等工事で実施するLED化の概要

日本郵便は、設計指針において、劣化対策等工事で実施する照明器具の更新について、更新期間を20年とし、初期投資、維持管理に係る費用等の低減に配慮して実施することとしている。

また、日本郵便は、LED照明器具については電力使用量の削減効果(以下「省エネ効果」という。)による電気料金の節減等が期待できることから、電気料金の節減見込額等を試算して、当初の設計指針においては、上記の更新期間が経過している照明器具のうち、点灯時間の長い箇所に設置されている照明器具について、従前の蛍光管を使用した照明器具(以下「蛍光灯」という。)等からLED照明器具に交換(以下「LED化」という。)することとしていた。そして、その後、LED照明器具の市場の拡大等に伴う価格の低下等によって当初の想定よりも実際の工事費が割安となったことから、設計指針を改定して、原則として、点灯時間の短い箇所に設置されている照明器具を含めた全ての照明器具について、LED化することとしている。

そして、日本郵便は、26年度には、153郵便局(うち1郵便局については工事を中止)におけるLED化に係る請負契約89件を、指名競争契約により、23会社と契約金額計48億0272万余円で締結している。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

日本郵便は、前記のとおり、多数の郵便局を設置しており、今後も引き続きLED化を進めていくことを予定している。

そこで、本院は、効率性等の観点から、劣化対策等工事の実施に当たり、LED化が郵便局における照明器具の使用状況を踏まえて適切に実施されているかなどに着眼して検査した。

検査に当たっては、前記の89契約に基づいて152郵便局において実施されたLED化(工事費計48億0134万余円)を対象として、本社及び67郵便局において、契約書、特記仕様書、請負代金内訳明細書等の関係書類を確認するなどして会計実地検査を行った。また、残りの85郵便局についても、上記関係書類の提出を受けるなどして検査した。

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

日本郵便及び日本郵政では、前記のとおり、設計指針の作成の際に、LED化による省エネ効果で見込まれる電気料金の節減額を試算していた。しかし、照明器具の使用状況によって省エネ効果に差が生ずるのに、LED化に係る工事費を電気料金の節減見込額等により回収することができる期間(以下「投資回収期間」という。)等を踏まえた効率的なLED化の検討を十分に行っていなかった。

そこで、本院において、LED化に係る工事費、蛍光灯の更新等に係る工事費、LED照明器具と蛍光灯の電力使用量の差等を用いて、1日当たりの点灯時間別に、LED化による維持管理に係る工事費及び電気料金の節減見込額を求めるなどして、投資回収期間を試算した。試算の結果、1日当たりの点灯時間が10時間から20時間程度となる窓口や事務室等に設置されている照明器具は、LED化による省エネ効果が高く電気料金の節減見込額が大きくなるなどのため、投資回収期間が3年から5年程度となった。一方、点灯時間が2時間以下と短い箇所に設置されている照明器具は、投資回収期間が設計指針において照明器具の更新期間とされた20年を超えるため、更新期間内にはLED化に係る工事費を回収することができないことになった。

そして、前記の152郵便局における照明器具の設置状況をみたところ、これらの郵便局では計267,030台の照明器具をLED化しているが、このうち計23,674台(工事費相当額計4億2680万余円)は、倉庫や機械室等の点灯時間が1時間程度と短い箇所に設置されていた。

このように、郵便局における照明器具の使用状況を考慮すると、その更新に当たっては、上記152郵便局の点灯時間の短い箇所に設置されていてLED化に係る投資回収期間が20年を超える照明器具よりも、今後更新を予定している他の郵便局の点灯時間の長い箇所に設置されている照明器具を優先してLED化した方が効率的であったにもかかわらず、その検討を十分に行っていなかった事態は適切ではなく、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、日本郵便が、投資回収期間等を踏まえた効率的なLED化の検討を十分に行わないまま、設計指針において、原則として、20年が経過している全ての照明器具についてLED化することとしていたことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、日本郵便は、27年8月に設計指針を改定するなどして、今後は、投資回収期間等を踏まえて点灯時間の長い箇所に設置されている照明器具を優先してLED化することとする処置を講じた。