横浜港埠頭株式会社(以下「会社」という。)は、平成25年度に、(本牧)HD―4号220M区間レール等設置工事契約を随意契約により、東亜・五洋特定建設工事共同企業体と契約額209,006,853円で締結して施行している。
本件工事は、埠頭群荷さばき施設等整備事業の一環として、横浜港において、本牧埠頭の本牧D―4号岸壁の耐震化工事に伴い、レール敷設工、側溝設置工等を実施するものである。このうち、レール敷設工については、荷役機械の走行用レール(延長計451m)等を設置するもので、レールを岸壁のコンクリート舗装に固定するベースプレートを含めたレール敷設工の延長は計456mとなっている。
会社は、本件工事の予定価格の積算に当たって、レール敷設工に係る労務費等については業者から見積書を徴し、また、レールを敷設する場合に必要となる機械経費については横浜市制定の積算基準を準用するなどして、レール敷設工に係る費用(以下「敷設工費」という。)を算出した上で、敷設工費をレール敷設工の延長で除して敷設工費の1m当たりの単価(以下「単価」という。)を算出することとしていた。そして、これにレールの延長計451mを乗じて、敷設工費の積算額を18,100,885円としていた。
本院は、経済性等の観点から、予定価格の積算が適切に行われているかなどに着眼して、本件工事を対象として、会社において、契約書、設計書等の書類を確認するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、会社は、敷設工費6,582,300円をレール敷設工の延長計456mで除して単価を14,434円と算出すべきところ、誤って、本件工事とは別のレール等設置工事の積算で計上されたレール敷設工の延長164mで除して単価を40,135円と算出していた。
したがって、上記の適正な単価14,434円を用いて修正計算すると、レール敷設工の延長に係る積算過小を考慮しても、敷設工費は6,581,904円となり、これにより適正な工事費の総額を算定すると197,809,500円となることから、本件契約額209,006,853円はこれに比べて約1110万円割高となっていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、会社において、本件工事の予定価格の積算に対する審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。