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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第1 国会(国立国会図書館)|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

外国逐次刊行物の購入に当たり、公正性、競争性等を確保するために、複数の取次業者が取り扱っているものについては、外国逐次刊行物を新聞、雑誌等の種類別に一括するなどして一般競争契約とするよう改善させたもの


会計名及び科目
一般会計 (組織)国立国会図書館 (項)国立国会図書館
部局等
国立国会図書館東京本館、同関西館
外国逐次刊行物の購入の概要
外国新聞、外国において定期的に発行されている雑誌等を購入するもの
外国逐次刊行物の購入誌数及び支払額
3,946誌 9億5492万余円(平成26年度)
一般競争契約とすることなく少額随契により購入していた誌数及び支払額
3,680誌 9億3173万円(平成26年度)

1 外国逐次刊行物の購入等の概要

(1) 外国逐次刊行物の購入の概要

国立国会図書館(以下「図書館」という。)は、国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)に基づく納本制度により国内で発行される全ての出版物を網羅的に収集しているほか、外国の出版物についても、図書館が定めた「資料収集方針書」(平成25年国図収1307014号)に基づき、毎年度策定される収集計画により選書して、購入等により重点的に収集している。

図書館において購入している外国の出版物には、外国新聞、外国において定期的に発行されている雑誌(以下、これらを合わせて「外国逐次刊行物」という。)等があり、図書館東京本館(以下「東京本館」という。)及び図書館関西館(以下「関西館」という。)が、主に国内の書店、代理店等の取次業者(以下「取次業者」という。)から暦年分を購入することにより収集している。

(2) 国の物品調達契約の事務

国の物品・役務調達契約の事務は、会計法(昭和22年法律第35号)、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)等の会計法令等に従って執行され、このうち契約の締結については、原則として競争に付することとなっている。一方、契約に係る予定価格が160万円を超えない財産を買い入れるときなどは、随意契約によることができることとなっている(以下、予定価格が160万円を超えないことを理由とした随意契約を「少額随契」という。)が、「公共調達の適正化について」(平成18年財計第2017号)によれば、随意契約であっても特に合理的な理由なく分割されているもの等については、これらを一括するなどして一般競争入札に付することとしなければならないとされている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、合規性、経済性等の観点から、外国逐次刊行物の購入契約が会計法令等に照らして適切に行われ、公正性、競争性等を確保したものになっているかなどに着眼して、東京本館及び関西館において平成26年度に購入した外国逐次刊行物3,946誌、支払額計9億5492万余円(東京本館分371誌、計6083万余円。関西館分3,575誌、計8億9409万余円)を対象として、契約書類等を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。

(検査の結果)

検査したところ、図書館は、購入予定の外国逐次刊行物のうち前年に引き続き購入するものについては前年に購入した取次業者から購入することにし、また、新規に購入するものについては、外国逐次刊行物ごとに複数の取次業者の見積合わせを行った上で、一番安価な価格を提示した業者から購入することにしていたが、いずれの場合も個々の契約は、購入する外国逐次刊行物を価格によって組み合わせたり、同一の外国逐次刊行物を半年ごとの期間に分割したりして、全て少額随契となっていた。

このような状況となっている理由について、図書館は、外国の各分野にわたる外国逐次刊行物を発行する出版社と取引のある取次業者が限られていることなどから、前年に購入実績のある取次業者等から少額随契で購入することが最も安定的かつ確実であるためなどとしている。

しかし、本院が、図書館において購入実績のある科学技術関係の外国逐次刊行物等について26年度当時における複数の取次業者による取扱いの有無を確認したところ、その相当数について複数の取次業者による取扱いがあることが判明した。そこで、上記の結果を踏まえて、本院が、26年度の購入実績に基づき、取次業者の当時の取扱状況を確認した結果、前記の3,946誌、支払額計9億5492万余円のうち、取次業者が1社のみであるなどの理由から、当該取次業者から購入せざるを得なかったものは、266誌、支払額計2319万余円に過ぎなかった。そのため、これらを除いた3,680誌、支払額計9億3173万余円(東京本館分330誌、計5110万余円。関西館分3,350誌、計8億8062万余円)については、外国逐次刊行物を新聞、雑誌等の種類別に一括するなどして、複数の取次業者から参考見積を徴する方法や購入価格の実績により予定価格を算出して、一般競争に付すことができたと認められた。

このように、外国逐次刊行物は、相当数のものについて複数の取次業者が取り扱っていることから、契約を分割等する合理的な理由がないのに、160万円を超えないように価格によって組み合わせるなどして、個々の契約を少額随契としていた事態は、国の会計法令等に照らして適切ではなく、公正性、競争性等を確保する面からみても改善の必要があると認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、図書館において、外国逐次刊行物の購入に当たり、購入する予定の外国逐次刊行物を新聞、雑誌等の種類別に一括するなどして一般競争に付すことの重要性に対する理解が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、図書館は、28年8月に、29年度に契約を予定している外国逐次刊行物の購入について、官報に入札公告(公示)予定の公示を掲載するなど、一般競争に付すための手続を開始するとともに、同年9月に関係部署に対して通知を発し、外国逐次刊行物の購入契約について、公正性、競争性等を確保するために、複数の取次業者における外国逐次刊行物の取扱いの有無を確認するなどした上で、購入する予定の外国逐次刊行物を新聞、雑誌等の種類別に一括するなどして一般競争に付すこととする処置を講じた。