2件 不当と認める国庫補助金 90,000,000円
地域経済循環創造事業交付金は、地域資源を活かした先進的で持続可能な事業化の取組を促進し、地域での経済循環を創造することを目的として、地域経済循環創造事業交付金交付要綱(平成25年総行政第29号)等に基づき、都道府県又は市町村(以下「交付金事業者」という。)が、地域の金融機関等と連携して、地域活性化に資する事業の事業化に取り組む民間事業者等(以下「助成対象事業者」という。)に事業化段階で必要となる経費の助成を行う場合に、その経費に対して、原則として1事業当たり50,000,000円を限度として、国が交付するものである。総務省は、同交付金の事業年度に助成対象事業者が事業に係るものとして支出する初期投資額を同交付金の交付対象事業費としている。そして、同交付金の交付申請に際して、助成対象事業者に、上記の初期投資額から自己資金、金融機関からの融資額等(以下、これらを合わせて「融資額等」という。)を差し引いて交付申請額を算出させ、交付金事業者はこれを同省に提出する実施計画書に記載することとしている。また、同省は、同交付金の額の確定に際して、助成対象事業者から提出された書類等に基づき、交付金事業者が作成し提出する実績報告書の添付書類である事業報告書を用いて、上記の実施計画書に記載された計画額に対応した実績額を確認するなどして交付金の額を確定している。
本院が4道県及び24市町村において会計実地検査を行ったところ、2市において、本件交付金事業の交付対象事業費に交付の対象とならない経費を含めるなどしていたため、交付金が過大に交付されていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、助成対象事業者において同交付金の制度等に対する理解が十分でなかったこと、2市において助成対象事業者に対する指導が十分でなかったこと、総務本省において本件交付金事業に係る交付金の額の確定時の審査及び2市に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
以上を助成対象事業者別に示すと次のとおりである。
部局等 | 交付金事業者 | 助成対象事業者 (事業主体) |
交付金事業 | 年度 | 交付対象事業費 | 左に対する交付金交付額 | 不当と認める交付対象事業費 | 不当と認める交付金相当額 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||||
(6) | 総務本省 | 岐阜県関市 | 奥長良川名水株式会社 | 地域経済循環創造事業交付金 | 26 | 158,598 | 50,000 | ― | 40,000 | 過大交付 |
この交付金事業は、奥長良川名水株式会社が更なる事業の拡大と地域経済の活性化及び地域の雇用創出に貢献するために小ロット生産ライン設備の設置等を行う「次世代ウォーターの開発と製造事業」に要する経費について、関市が助成したものである。
そして、同市は、同会社から提出された書類等を用いて、初期投資額として158,598,000円、融資額等として金融機関からの融資額90,000,000円を含む108,598,000円を計上した同交付金の実績報告書等を作成して総務本省に提出し、総務本省はこれを確認するなどして交付金の額を50,000,000円と確定して、同額を同市に交付していた。
しかし、実際には、同会社は、金融機関から当該事業に対して計130,000,000円の融資を受けていた。
したがって、融資額等は148,598,000円となることから、これにより適正な交付金の交付額を算定すると10,000,000円となり、交付金40,000,000円が過大に交付されていた。
(7) | 同 | 京都府福知山市 | シマフィルム株式会社 | 地域経済循環創造事業交付金 | 25 | 96,066 | 50,000 | 53,770 | 50,000 | 精算過大、補助の対象外 |
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この交付金事業は、シマフィルム株式会社が福知山市内外の交流人口増加のために多機能ホール等の複合施設の整備等を行う「複合施設による地域経済活性化事業」に要する経費について、福知山市が助成したものである。
そして、同市は、同会社から提出された書類等を用いて、初期投資額として複合施設の整備に要するなどした経費96,066,000円、融資額等として46,066,000円を計上した同交付金の実績報告書等を作成して総務本省に提出し、総務本省はこれを確認するなどして交付金の額を50,000,000円と確定して、同額を同市に交付していた。
しかし、同会社は、虚偽の領収書を作成して、上記の初期投資額に、実際には負担していなかった工事監理費等の経費及び同交付金の対象とならない交付金の事業年度終了後に支払われた改修工事の経費を含めていた。
したがって、実際に要した初期投資額は42,295,500円となり、融資額等の46,066,000円を下回ることから、本件交付金50,000,000円は交付の必要がなかった。
(6)(7)の計 | 254,664 | 100,000 | 53,770 | 90,000 |
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