3件 不当と認める国庫補助金 20,201,000円
情報通信技術地域人材育成・活用事業交付金は、地域の知恵と工夫をいかし、地域の人材を活用しながら、情報通信技術(以下「ICT」という。)を導入して活用することにより、地域雇用の創出とともに、地域における公共サービスの向上を図るなどのための事業を行う事業主体に対して、事業の実施に要する経費について、国が交付するものである。そして、その交付対象経費は、プログラム開発等役務費、ソフトウェア購入費(ライセンスの購入に要した経費を含む。)等のICT関連システムの設計・構築に要する経費等となっている。
本院が1市、2町、2連携主体、2第三セクター及び3特定非営利活動法人において会計実地検査を行ったところ、1町、1連携主体及び1第三セクターにおいて次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
部局等 | 交付金事業者 (事業主体) |
交付金事業 | 年度 | 交付対象事業費 | 左に対する交付金交付額 | 不当と認める交付対象事業費 | 不当と認める交付金相当額 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(10) | 総務本省 | 埼玉県入間郡毛呂山町 | 情報通信技術地域人材育成・活用事業交付金 | 22 | 98,127 | 98,127 | 11,646 | 11,647 | 補助の対象外、目的不達成 |
この交付金事業は、毛呂山町が、地域の活性化と児童の学力向上を図ることを目的として、毛呂山町内の小学校2校においてタブレット型パーソナルコンピュータでデジタル教材を使用するためのデスクトップ仮想化システム及び同2校間で児童がインターネットを通じて研究発表会等を行うためのウェブ会議システム(以下、両システムを合わせて「仮想化システム等」という。)の整備等を行ったものである。
同町は、本件交付金事業を平成23年3月31日に完了したとして、同日に実績報告書を提出し、交付対象事業費に、仮想化システム等に係る保守費1,480,500円並びにデスクトップ仮想化システムを使用するためのソフトウェア472本分のライセンス及びウィルス対策ソフトウェア200本分のライセンスの購入に要した経費計6,419,280円を含めていた。
しかし、仮想化システム等が、本件交付金事業の事業期間の最終日に納入されていたり、上記両ライセンスのサービスの開始が本件交付金事業の事業期間の最終日の翌日からとなっていたりしていた。これらのことから、上記の保守費及びライセンスの購入に要した経費は本件交付金事業の事業期間の最終日の翌日以降の維持管理に係る経費であり、交付対象事業費に含めることが認められない経費であった。さらに、毛呂山町内の小学校2校間での研究発表等に利用することとして3,746,400円で整備していたウェブ会議システムは、教職員等に対する周知不足等のため、全く利用されていない状況となっていた。
したがって、前記の保守費及びライセンスの購入に要した経費は交付の対象とならなかったり、上記のウェブ会議システムは補助の目的を達していなかったりしていて、これらに係る交付金相当額計11,647,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同町において本件交付金事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、総務本省において本件交付金事業の審査及び確認並びに同町に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
(11) | 同 | 連携主体(岐阜県高山市、同県大野郡白川村、株式会社飛騨高山テレ・エフエム) | 情報通信技術地域人材育成・活用事業交付金 | 22、23 | 116,540 | 116,540 | 5,542 | 5,543 | 過大受給 |
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(12) | 同 | 株式会社アミックスコム | 同 | 22 | 63,246 | 63,246 | 3,011 | 3,011 | 同 |
これらの交付金事業は、2事業主体が、地域雇用の創出とともに、地域における公共サービスの向上を図ることなどを目的として、地域へ災害情報等の提供を行うなどのためのデジタルサイネージ(注)等の設置等を行ったものである。そして、これらの交付金事業においては、交付対象事業費に本件交付金事業で取得した設備等に係る消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)額が含まれていた。
消費税は、消費税法(昭和63年法律第108号)等に基づき消費税の課税事業者が課税対象となる取引を行った場合に納税義務が生ずるが、生産及び流通の各段階の取引で重ねて課税されないように、確定申告において、課税売上げ(消費税の課税対象となる資産の譲渡等)に係る消費税額から課税仕入れ(消費税の課税対象となる資産の譲受け等)に係る消費税額を控除(以下「仕入税額控除」という。)する仕組みとなっている。
そして、消費税の課税事業者が、交付金の交付を受けて事業を実施するに当たり、設備を取得するなどした場合であって、確定申告の際に当該設備の取得等の課税仕入れに係る消費税額を仕入税額控除した場合には、これらに係る消費税額を実質的に負担していないことになる。
このため、交付金事業の事業主体は、情報通信技術地域人材育成・活用事業交付金交付要綱(平成22年総情地第94号)等によれば、交付金事業の完了後に消費税の確定申告により仕入税額控除した消費税額に係る交付金相当額が確定したときには、その額を速やかに報告するとともに、当該金額を返還しなければならないこととされている。
しかし、2事業主体は、消費税の確定申告の際に、本件交付金事業に係る消費税額計8,554,654円を仕入税額控除していたのに、これに係る交付金相当額計8,554,000円について報告及び返還を行っておらず、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2事業主体において交付金事業における消費税の取扱いについての理解が十分でなかったこと、総務本省において本件交付金事業における消費税の取扱いについての事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
(10)―(12)の計 | 277,914 | 277,913 | 20,200 | 20,201 |
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