1件 不当と認める国庫補助金 10,031,000円
緊急消防援助隊設備整備費補助金は、消防組織法(昭和22年法律第226号)に定める緊急消防援助隊(注)の設備の整備を促進することを目的として、緊急消防援助隊設備整備費補助金交付要綱(平成18年消防消第49号。以下「交付要綱」という。)等に基づき、市町村(特別区、一部事務組合等を含む。以下同じ。)が行う緊急消防援助隊の設備の整備に要した経費に対して、その一部を国が補助するものである。そして、交付要綱によれば、同補助金の補助率は「国が行う補助の対象となる緊急消防援助隊の施設の基準額」(平成16年総務省告示第281号。以下「総務省告示」という。)に定める基準額の2分の1とすることとされており、総務省告示において、緊急消防援助隊の施設の種類ごとの基準額(以下「告示基準額」という。)が示されるとともに、告示基準額が当該施設の整備に要する経費を超える場合においては、当該施設の整備に要する経費をもって基準額とすることとなっている。
本院が8県の12市村(一部事務組合等を含む。)において会計実地検査を行ったところ、1一部事務組合において次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
補助事業 | 年度 | 補助対象事業費 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象事業費 | 不当と認める国庫補助金相当額 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(15) | 岐阜県 | 可茂消防事務組合 | 緊急消防援助隊設備整備 | 24、25 | 279,483 | 139,741 | 20,063 | 10,031 | 精算過大 |
この補助事業は、可茂消防事務組合が、緊急消防援助隊の設備の整備の一環として、消防救急デジタル無線の整備を行ったものである。
そして、同組合は、本件消防救急デジタル無線の整備に係る告示基準額360,000,000円が、当該施設の整備に要する経費279,483,000円を超えるとして、基準額を279,483,000円とする実績報告書を岐阜県に提出し、その2分の1である139,741,000円の交付を受けていた。
しかし、上記の経費は、誤って、補助金の交付申請の際に概算で算出した事業費に基づいて算定したものであり、実際の消防救急デジタル無線の整備に要した経費は259,420,000円であった。
したがって、適正な基準額は259,420,000円となり、前記の279,483,000円との差額20,063,000円が過大に精算されており、これに係る国庫補助金相当額10,031,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同組合において補助金の算定方法等についての理解が十分でなかったこと、岐阜県において本件補助事業の審査が十分でなかったことなどによると認められる。