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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第5 法務省|
  • 不当事項|
  • 物件

サーバ上で稼働するソフトウェアが提供する機能をパーソナルコンピュータで利用するための権利の調達に当たり、既に保有している権利の状況を確認していなかったため、調達数量が過大となっていたもの[法務本省](16)


会計名及び科目
一般会計 (組織)矯正官署 (項)矯正管理業務費
部局等
法務本省
契約名
賃貸借契約(矯正総合情報通信ネットワークシステムグループウェアサーバ機器)
契約の概要
矯正総合情報通信ネットワークシステムで新しいグループウェアを利用するために必要な権利等を調達するもの
契約の相手方
日本電気株式会社
契約
平成23年8月 一般競争契約
支払
平成23年11月ほか
支払額
193,344,624円(平成23年度~27年度)
不当と認める支払額
26,196,732円(平成23年度~27年度)

1 契約等の概要

法務省は、法務本省(以下「本省」という。)や全国の矯正施設等にそれぞれ構築されている施設内LANを結ぶ矯正総合情報通信ネットワークシステム(以下「コーネット」という。)を構築し、多数のパーソナルコンピュータ(以下「コーネットPC」という。)をこれに接続して運用している。コーネットを構成するサーバ上で稼働するマイクロソフトコーポレーション製のグループウェア(注)等(以下「グループウェア等」という。)をコーネットPCで利用するには、そのための権利がコーネットPCの台数分必要となる。そして、本省は、平成23年8月に、コーネットで新しいグループウェア等を利用するために必要な権利であるExchange Server CAL(以下「ECAL」という。)及びWindows Server CAL(以下「WCAL」という。)各15,000ライセンス等を調達する契約を、日本電気株式会社と契約額190,920,240円(26年4月変更後の契約額193,344,624円)で締結していた。

本省が19年11月に各矯正施設等の長に対して発した「矯正情報ネットワークシステムの取扱要領について(通達)」(平成19年法務省矯総第6804号)によれば、各矯正施設等は、コーネットライセンス管理台帳を作成し、コーネットPC等に係る各種使用権の取得状況等を適正に管理することとされている。

(注)
グループウェア  メールや電子掲示板等によりグループ内で情報を共有したりコミュニケーションをとったりすることができるソフトウェア

2 検査の結果

本院は、経済性等の観点から、コーネットPCに係る権利やソフトウェア等の調達が適切に行われているかなどに着眼して、本件契約を対象として、本省において、契約書、仕様書、コーネットライセンス管理台帳等の関係書類を確認するなどして会計実地検査を行った。

検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

各矯正施設等は、従前のグループウェア等を利用するために必要なECAL及びWCALを保有しており、この中には新しいグループウェア等も利用することができるECAL2,555ライセンス及びWCAL6,643ライセンスが含まれていた。そして、各矯正施設等は、保有していたECAL及びWCALをコーネットライセンス管理台帳により管理していたことから、本省は、各矯正施設等が新しいグループウェア等も利用することができるECAL及びWCALを上記のとおり既に保有していたことを、コーネットライセンス管理台帳により確認することができる状況にあった。

しかし、本省は、本件調達に当たり、上記のような状況にあったにもかかわらず、コーネットライセンス管理台帳を確認することなく調達数量を決定して、前記のとおり、ECAL及びWCAL各15,000ライセンスを新たに調達していた。

したがって、前記のとおり、各矯正施設等が新しいグループウェア等も利用することができるECAL2,555ライセンス及びWCAL6,643ライセンスを既に保有していたことから、本件契約締結後に各矯正施設等がコーネットPCを増設したことによりECAL及びWCALが新規に必要となり各1,058ライセンスを活用したことを考慮しても、本件契約で調達したECAL及びWCALのうちECAL1,497ライセンス及びWCAL5,585ライセンスが過大に調達されていて、これに係る支払額26,196,732円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、本省において、ECAL及びWCALの調達に当たり、各矯正施設等が既に保有しているECAL及びWCALの状況を確認することの必要性について認識が欠けていたことなどによると認められる。