外務本省(以下「本省」という。)は、本省から在外公館に発送する外交貨物、外交行嚢及びその他貨物の梱包業務に係る役務の提供を受けるために、平成23年度から27年度までの各年度に一般競争入札を実施している。この結果、会計法(昭和22年法律第35号)第29条の6の規定に基づき、入札において予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもって申込みをした者を契約の相手方として、23年度から25年度までの間は株式会社日成(以下「日成」という。)と、また、26、27両年度は日本通運株式会社(以下「日通」という。)とそれぞれ単価契約を締結している。そして、これらの5契約に基づく支払額は計254,488,730円となっている。
本省は、当該梱包業務に係る一般競争入札を実施するに当たり、入札公告等において、入札書に記載する金額は、木箱の大きさなどの梱包種別等ごとに定められた梱包に要する諸費用単価(以下「梱包単価」という。)にそれぞれの見込数量を乗じて得た額の総額を契約金額の見積りとして、この金額の108分の100(25年度までは105分の100)に相当する額としていた。
そして、本省は、日成又は日通が提出した入札書の記載金額の8%(25年度までは5%)に相当する額を消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)相当額として入札書の記載金額に加えた額を落札価格とし、また、日成又は日通が入札時に入札書と合わせて提出していた入札内訳書に記載された梱包単価を契約単価としていた。
本院は、合規性等の観点から、入札内訳書に記載された梱包単価が契約に適切に反映されているかなどに着眼して、本件契約を対象として、本省において契約関係書類を確認するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
本省は、本件契約において、23年度から25年度までの間は、契約単価に実績数量を乗ずるなどした額に消費税を加えた額を支払額とすることを契約書に記載しており、また、26、27両年度においては、契約書には記載していないものの同様の取扱いとすることとしていた。そして、本省は、これらの契約書に基づくなどして、日成又は日通が毎月提出することとなっている実績数量等が記載されている請求書の内容を確認した上で、契約書に記載されている契約単価に当該実績数量を乗ずるなどした額に、消費税を加えた額を支払っていた。
しかし、前記のとおり、日成又は日通の落札価格は消費税相当額を既に含んだ額であり、この落札価格は、日成又は日通が提出していた入札内訳書に記載された梱包単価にそれぞれの見込数量を乗じて得た額の総額となっていた。そのため、これらの梱包単価には既に消費税相当額が含まれていることとなるのに、本省は、本件契約の締結に当たり、上記の梱包単価を契約単価とするなどして算定した額に、更に消費税を加えて支払うこととしていた。
したがって、加える必要がなかった消費税額を除くなどして23年度から27年度までの間の適正な支払額を算定すると計238,666,245円となり、前記の支払額との差額15,822,485円が過大となっていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、本省において、契約の締結に当たり、入札内訳書に記載された梱包単価に消費税相当額が含まれていることの確認を十分に行っていなかったことなどによると認められる。