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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 第8 文部科学省|
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  • 補助金

(4)私立学校施設整備費補助金(教育装置)が過大に交付されていたもの[文部科学本省](27)(28)


2件 不当と認める国庫補助金 25,121,000円

私立学校施設整備費補助金(教育装置)は、私立大学等の教育研究の充実と質的向上を図ることを目的として、学校法人等に対して、教育装置の整備等に要する経費の一部を国が補助するものである。

この補助金の交付額は、私立学校施設整備費補助金(私立学校教育研究装置等施設整備費(私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費))交付要綱(昭和58年文部大臣裁定)等によれば、私立大学における教育装置については、装置の購入や設置工事に要する経費(以下「補助対象経費」という。)の2分の1以内の額とすることとされている。そして、当該教育装置を設置するために必要な工事費以外の経費及びソフトウェア(装置等と一体不可分であり、かつ、経費を区分できないものを除く。)の整備に係る経費は、補助の対象とならないこととされている。また、平成24年度当初予算以前の予算に係る補助金の交付については、補助対象経費が4000万円以上であることが要件とされていることから、下限額(4000万円)未満の場合は補助の対象とならないこととされている。

本院が、24学校法人において会計実地検査を行ったところ、2学校法人において、補助の対象とならない当該教育装置を設置するために必要な工事費以外の経費やソフトウェアの整備に係る経費を補助対象経費に含めていたことなどのため、国庫補助金計25,121,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、2学校法人において補助対象経費についての理解が十分でなかったこと、文部科学省において実績報告書等に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

学校法人東京電機大学は、平成24年度当初予算に係る事業として同年度に、教育装置「次世代建築設計教育支援システム」の整備を実施しており、パソコン、3Dプリンター等の教育装置の購入、教育装置の設置等に必要な教室の配線工事、システム調整等に係る経費を対象として、補助対象経費を58,800,000円(国庫補助金23,689,000円)と算定していた。

しかし、同法人は、補助の対象とならない当該教育装置を設置するために必要な工事費以外のシステム調整等に係る経費2,572,500円及びソフトウェアの整備に係る経費34,440,000円を補助対象経費に含めていた。

したがって、これらを除外すると、補助対象経費が4000万円未満となることから、本件補助事業は補助の対象とならず、国庫補助金23,689,000円が過大に交付されていた。

以上を事業主体別に示すと次のとおりである。

  部局等 事業主体 補助事業 年度 補助対象経費 左に対する国庫補助金交付額 不当と認める補助対象経費 不当と認める国庫補助金 摘要
          千円 千円 千円 千円  
(27) 文部科学本省 学校法人東京電機大学 次世代建築設計教育支援システム 24 58,800 23,689 58,800 23,689 補助の対象とならないソフトウェアの整備に係る経費等を除外すると補助対象経費が交付要件の下限額未満となるもの
(東京電機大学)
(28) 学校法人大阪医科大学 PBLチュートリアル教育と臨床技能実習充実のためのハードウェアの整備(アウトカム基盤型教育実施のための設備) 25 39,702 19,851 2,864 1,432 補助の対象とならないソフトウェアの整備に係る経費を補助対象経費に含めていたもの
(大阪医科大学)
(27)(28)の計 98,502 43,540 61,664 25,121