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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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(13)介護基盤緊急整備等臨時特例交付金等により造成した基金を活用して実施した事業において、仕入税額控除した消費税に係る交付金相当額が基金に返還されていなかったもの[厚生労働本省](190)-(195)


6件 不当と認める国庫補助金 10,182,392円

介護基盤緊急整備等臨時特例交付金及び介護支援体制緊急整備等臨時特例交付金(以下、これらを合わせて「交付金」という。)は、「平成21年度介護基盤緊急整備等臨時特例交付金の交付について」(平成21年厚生労働省発老0701第19号)、「平成22年度介護支援体制緊急整備等臨時特例交付金の交付について」(平成22年厚生労働省発老1222第1号)等に基づき、地域密着型サービスの拠点等の施設等を整備するために市町村(特別区を含む。以下同じ。)が策定する面的整備計画に基づく事業を支援することなどを目的として、都道府県に設置する介護基盤緊急整備等臨時特例基金(以下「基金」という。)の造成に必要な経費を国が交付するものである。

都道府県は、「平成21年度介護基盤緊急整備等臨時特例交付金の運営について」(平成21年老発0820第5号)等に基づき、管内の市町村が基金を活用して実施する事業(以下「特別対策事業」という。)に必要な経費を基金から取り崩し、市町村に交付することなどとなっており(以下、基金を取り崩して市町村に交付する資金を「県交付金」という。)、市町村は、県交付金を財源の全部又は一部として、民間事業者等に対して補助金(以下「市補助金」という。)を交付するなどしている(以下、市補助金の交付を受けた民間事業者等を「事業者」という。)。

なお、特別対策事業の実施期限は平成26年度末までとなっているが、27年12月末日までその期限を延長することができることとなっている。そして、特別対策事業を終了した場合には、基金を解散して、その時点で保有する残余額を国庫に返還しなければならないこととなっており、基金の解散後に特別対策事業に係る返還額が生じた場合には、これを国庫に返還しなければならないこととなっている。

消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)は、消費税法(昭和63年法律第108号)等に基づき消費税の課税事業者が課税対象となる取引を行った場合に納税義務が生ずるが、生産及び流通の各段階の取引で重ねて課税されないように、確定申告において、課税売上げ(消費税の課税対象となる資産の譲渡等)に係る消費税額から課税仕入れ(消費税の課税対象となる資産の譲受け等)に係る消費税額を控除(以下「仕入税額控除」という。)する仕組みとなっている。

そして、消費税の課税事業者である事業者が、市補助金の交付を受けて事業を実施するに当たり、建物を取得するなどした場合であって、確定申告の際に当該建物の取得等の課税仕入れに係る消費税額を仕入税額控除した場合には、これらに係る消費税額を実質的に負担していないことになる。

このため、事業者は、実績報告書の提出後に消費税の確定申告により仕入税額控除した消費税に係る市補助金相当額が確定したときには、市町村にその額を速やかに報告するとともに、当該金額を返還しなければならないこととなっている。また、市町村は、当該事業者から返還を受けたときには、当該金額に係る県交付金相当額を都道府県に返還しなければならないこととなっている。さらに、都道府県は、当該市町村から返還を受けたときには、当該金額を基金に積み立てるなどすることになっている。

本院が、5県及びこれらの5県から県交付金の交付を受けた136市町村のうち37市町において会計実地検査を行うとともに、それ以外の99市町村については5県を通じて上記の報告に関する書類の提出状況等について検査したところ、3県(注1)の6市(注2)において次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

(注1)
3県  福岡、長崎、鹿児島各県
(注2)
6市  北九州、柳川、長崎、西海、南島原、伊佐各市

6市がそれぞれ市補助金を交付した7事業者は、消費税の確定申告の際に特別対策事業に係る消費税額計29,949,773円を仕入税額控除しており、これに係る市補助金相当額が計10,182,392円(県交付金相当額同額)と確定していた。しかし、5市(注3)は、6事業者から市補助金相当額の報告及び返還を受けておらず、また、伊佐市は、1事業者から市補助金相当額についての報告を受けていたのに、当該事業者から返還を受けていなかった。このため、3県は、それぞれ当該市補助金相当額に係る県交付金相当額計10,182,392円(交付金相当額同額)の返還を受けておらず、当該県交付金相当額を基金に積み立てていなかったもので、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、5市において事業者に対して消費税の取扱いに関する指導、確認等が十分でなかったこと、福岡、長崎両県において5市に対して消費税の取扱いに関する指導、確認等が十分でなかったこと、鹿児島県において消費税の取扱いについての理解が十分でなく伊佐市に対する指導等が適切でなかったことなどによると認められる。

(注3)
5市  北九州、柳川、長崎、西海、南島原各市

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

長崎県西海市は、平成25年度に、特別対策事業として、小規模多機能型居宅介護事業所の整備事業を行う株式会社九州たまがわに対して県交付金を財源とする市補助金30,000,000円の交付決定を行っており、26年7月に実績報告書の提出を受けて、同額を交付していた。

しかし、同市は、同会社が実績報告書の提出後に行った消費税の確定申告の際に特別対策事業に係る消費税額2,942,844円を仕入税額控除しており、これに係る市補助金相当額が1,958,240円(県交付金相当額同額)と確定していたのに、同会社から当該金額の報告及び返還を受けていなかった。このため、同県は、当該市補助金相当額に係る県交付金相当額1,958,240円(交付金相当額同額)の返還を受けておらず、これを基金に積み立てていなかった。

以上を事業主体別に示すと次のとおりである。

  部局等 補助事業者 間接補助事業者等 補助事業 年度 基金使用額 左に対する交付金交付額 不当と認める交付金相当額
            千円 千円 千円
(190) 厚生労働本省 福岡県 北九州市
(事業主体)
介護基盤緊急整備等臨時特例基金 24、25 105,000 105,000 1,777
(191) 柳川市
(事業主体)
25 26,250 26,250 1,038
(192) 長崎県 長崎市
(事業主体)
23、24 60,000 60,000 2,415
(193) 西海市
(事業主体)
25、26 30,000 30,000 1,958
(194) 南島原市
(事業主体)
25、26 30,000 30,000 1,743
(195) 鹿児島県 伊佐市
(事業主体)
22 26,250 26,250 1,250
(190)―(195)の計 277,500 277,500 10,182