1件 不当と認める国庫補助金 6,236,293円
労働災害防止対策費補助金(以下「補助金」という。)は、労働災害防止団体法(昭和39年法律第118号)に基づき、労働災害の防止を図ることを目的として設立された団体に対して、労働災害の防止に関する技術的な事項についての指導及び援助を行うなどの労働災害防止対策事業(以下「補助事業」という。)の実施に要する経費(以下「補助対象経費」という。)の一部を国が補助するものである。
陸上貨物運送事業労働災害防止協会(以下「協会」という。)は、陸上貨物運送事業に係る労働災害の防止を図ることを目的として設立された団体であり、補助事業の実施に当たり国から補助金の交付を受けている。
本院が、協会において会計実地検査を行ったところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
年度 | 補助対象経費 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象経費 | 不当と認める国庫補助金相当額 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(205) | 厚生労働本省 | 陸上貨物運送事業労働災害防止協会 | 24~26 | 293,905 | 220,786 | 8,315 | 6,236 | 精算過大 |
協会は、平成24年度から26年度までの各年度の実績報告書の提出に当たり、24年度8人、25年度7人、26年度9人(実人数で計12人)の安全管理士等の職員(以下「安全管理士等」という。)が各年度の補助事業に専従していたとして、24年度から26年度までの安全管理士等に係る給与等の人件費を計167,648,421円とし、各年度にそれぞれの人件費の全額を補助対象経費に計上していた。
しかし、協会は、24年度から26年度までの各年度において、補助事業とは別に、厚生労働省から、同省が策定した安全対策ガイドライン普及のための研修会を実施するなどの事業(以下「委託事業」という。)を受託しており、補助事業に専従していたとしていた安全管理士等のうち、24年度6人、25年度6人、26年度7人(実人数で計9人)は、この委託事業にも従事していて、実際には補助事業に専従していなかった。そして、協会は、委託事業に係るこれらの安全管理士等の人件費相当額計9,183,760円を控除することなく補助対象経費に計上していた。
したがって、これらの安全管理士等の当該委託事業に係る人件費相当額を控除するなどして各年度の適正な補助対象経費を算出すると計285,590,719円となり、本件補助対象経費計293,905,779円との差額8,315,060円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金相当額計6,236,293円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、協会において補助事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、厚生労働本省において協会から提出された実績報告書等の審査及び確認並びに協会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。