2件 不当と認める国庫補助金 10,300,000円
放課後子どもプラン推進事業費補助金(放課後児童健全育成事業費等に係る分)(以下「補助金」という。)は、保護者が労働等により昼間家庭にいないおおむね10歳未満の小学校に就学している児童等(以下「放課後児童」という。)に対し、授業の終了後等に小学校の余裕教室、児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、放課後児童の健全な育成を図ることを目的として、政令指定都市及び中核市(以下、これらを「指定都市等」という。)並びにその他の市町村(特別区を含む。以下同じ。)が行う放課後児童クラブの運営等を行う事業について、その事業に要する費用の一部を指定都市等に対しては直接、その他の市町村に対しては都道府県を経由して、それぞれ国が補助するものである。
補助金の交付額は、「放課後子どもプラン推進事業の国庫補助について」(平成19年18文科生第586号、厚生労働省発雇児第0330019号。以下「交付要綱」という。)等に基づき、次のとおり算定することとなっている。
所定の方法により算定した基準額と対象経費の実支出額(以下「実支出額」という。)から寄附金その他の収入額を控除した額とのいずれか少ない方の額を選定して、選定された額(以下「選定額」という。)に3分の1を乗ずるなどして得た額とする。
選定額に3分の2を乗じた額と、都道府県が補助した額とを比較して少ない方の額に2分の1を乗ずるなどして得た額とする。
本院が、2道府の22市町において会計実地検査を行ったところ、補助金の交付額の算定に当たり、札幌市において、誤って支出見込額を実支出額に計上するなどしていたり、大阪府門真市において、同市の委託先が放課後児童クラブの運営等のために当該年度に実際には支出していない額を実支出額に含めていたりしていた。このため、補助金計10,300,000円が過大に交付されていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2市において交付要綱等の理解が十分でなかったことなど、厚生労働省及び大阪府において実績報告書の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
大阪府門真市は、社会福祉法人A等に32か所の放課後児童クラブの運営等を委託しており、当該放課後児童クラブの運営等の委託に要した経費と同市が支払った経費を実支出額に計上するなどして大阪府に実績報告書を提出していた。そして、大阪府は平成23年度から25年度までに補助金計147,316,000円の交付を受けていた。
しかし、同市が大阪府に提出した実績報告書に記載されていた本件事業の実支出額には、社会福祉法人A等が放課後児童クラブの運営等のために当該年度に実際には支出しておらず、翌年度への繰越金等としていた額が含まれていた。
したがって、上記の額を実支出額から除くなどして、これに基づき適正な補助金を算定すると計139,683,000円となることから、前記の補助金との差額7,633,000円が過大となっていた。
以上を事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者 | 間接補助事業者 | 年度 | 国庫補助金交付額 | 不当と認める国庫補助金交付額 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | ||||||
(206) | 厚生労働本省 | 札幌市 (事業主体) |
― | 25 | 401,655 | 2,667 | 支出見込額を実支出額に計上するなどしていたもの |
(207) | 同 | 大阪府 | 門真市 (事業主体) |
23~25 | 147,316 | 7,633 | 委託先が当該年度に実際には支出していない額を実支出額に計上していたもの |
(206)(207)の計 | 548,971 | 10,300 |