(2件 不当と認める国庫補助金 11,142,532円)
農山漁村6次産業化対策事業費補助金は、農林漁業者等による6次産業化の取組を促進し、農山漁村における雇用の創出等を図ることを目的として、食品流通構造改善緊急対策事業等実施要領(平成4年4食流第2349号農林水産事務次官依命通知)等に基づき、農林水産省が公益財団法人食品流通構造改善促進機構(平成25年3月31日以前は財団法人食品流通構造改善促進機構。以下「機構」という。)に対して基金を造成させるために交付するものである。そして、基金を造成した機構は、農林水産物の生産、加工等のための施設の整備等の事業(以下「基金事業」という。)を実施する事業主体に対して、この基金を取り崩して助成金を交付している。
本院が、機構及び基金事業を実施した39事業主体において会計実地検査を行ったところ、2事業主体において、基金事業を実績報告書の事業費よりも低額で実施していたり、基金事業に必要のない機械に係る経費を事業費に含めていたりしており、取り崩された基金計11,142,532円(国庫補助金相当額同額)の使用が適切でなく、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2事業主体において基金事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、機構において実績報告書の審査、基金事業の実施及び事業費の支払の確認並びに2事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
以上を事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(227) | 農林水産本省 | 公益財団法人食品流通構造改善促進機構 | 株式会社いわき遠野らぱん (事業主体) |
農山漁村6次産業化対策 | 24、25 | 45,300 | 22,325 | 20,478 | 10,092 |
株式会社いわき遠野らぱん(福島県いわき市所在。以下「会社」という。)は、平成24、25両年度に、自社で栽培した野菜を活用した味付け乾燥野菜を新商品として製造及び販売するための加工場の建設、乾燥機械の設置等の工事を契約金額45,300,000円で施工業者に請け負わせて、本件基金事業を事業費45,300,000円で実施したとして、25年5月に、機構に対して実績報告書を提出し、助成金22,325,000円(国庫補助金相当額同額)の交付を受けていた。
しかし、会社は、助成金の交付を受けた後、これと同額の22,325,000円を支払ったのみで、残額の22,975,000円は支払っていなかった。そして、会社は、施工業者から残額等の支払を求める訴訟を提起され、契約で求めた機械等より性能が劣る機械が設置されていて支払う必要がないなどとして争った結果、27年10月に、施工業者に対して解決金を支払うこととして和解が成立していた。
したがって、上記解決金のうち本件工事に係る額2,496,370円を事業費に含めたとしても適正な事業費は上記の22,325,000円と2,496,370円の計24,821,370円となり、これに基づき適正な助成金額を算定すると12,232,468円となることから、助成金22,325,000円との差額10,092,532円(国庫補助金相当額同額)が過大に交付されていた。
(228) | 農林水産本省 | 公益財団法人食品流通構造改善促進機構 | 資源エコロジーリサイクル事業協同組合 (事業主体) |
農山漁村6次産業化対策 | 26 | 32,421 | 15,125 | 2,268 | 1,050 |
---|
資源エコロジーリサイクル事業協同組合(石川県加賀市所在。以下「組合」という。)は、平成26年度に、金時草を加工して販売するために、食品加工場改修工事や、洗浄、乾燥及び真空梱包に係る装置等の設置を行い、本件基金事業を事業費32,421,000円で実施したとして、27年3月に、機構に対して実績報告書を提出し、助成金15,125,000円(国庫補助金相当額同額)の交付を受けていた。
しかし、組合は、26年10月頃に金時草の加工品の出荷方法について販売予定先と協議を行った際に、真空梱包は必要ないとされたことから、真空梱包機(事業費2,268,000円)は本件基金事業の実施に必要なかったにもかかわらず、これに係る経費を含めて事業費を実績報告書に計上して、助成金の交付を受けていた。そして、当該真空梱包機は、会計実地検査を行った28年7月までの間、全く使用されていなかった。
したがって、適正な事業費は30,153,000円となり、これに基づき適正な助成金額を算定すると14,075,000円となることから、助成金15,125,000円との差額1,050,000円(国庫補助金相当額同額)が過大に交付されていた。
(227)(228)の計 | 77,721 | 37,450 | 22,746 | 11,142 |
---|