(1件 不当と認める国庫補助金 14,793,975円)
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(231) | 林野庁 | 兵庫県 | 山東町森林組合 (事業主体) |
森林環境保全整備等5事業 | 22~25 | 75,813 | 22,896 | 48,803 | 14,793 |
これらの補助事業等は、山東町森林組合(兵庫県朝来市所在。以下「組合」という。)が、森林の有する多面的機能の維持・増進を図るなどのために間伐等の森林の整備を実施したものである。
間伐等の事業に対しては、森林環境保全整備事業実施要領(平成14年13林整整第885号林野庁長官通知。以下「整備事業要領」という。)等により、林野庁から都道府県を通じて森林環境保全整備事業等4事業(以下、これらの事業を「整備事業等」という。)の補助金等が交付されるなどしている。また、森林整備加速化・林業再生事業費補助金実施要綱(平成21年21林整計第83号農林水産事務次官依命通知)等により、都道府県が林野庁から補助金の交付を受けて造成した基金を取り崩して、補助金(以下、この補助金を「基金補助金」といい、基金補助金を受けて実施される事業を「基金事業」という。)が交付されている。そして、整備事業要領等によれば、整備事業等の対象とする間伐等の事業は、森林所有者等が市町村の長の認定を受けて策定する森林経営計画等に定められた伐採率(注)を満たすこと、間伐においては伐採木の搬出を一定量以上行うことなどの要件を満たすものとされており、これに係る補助金等の交付額は、事業ごとに定められた標準単価に事業量を乗ずるなどして算出した整備事業等対象事業費に、補助率を乗じて算定することとされている。
組合は、平成22年度から25年度までの間に、整備事業等により、施業面積計221.5haの間伐等の事業を整備事業等対象事業費計75,049,176円で実施したとして、兵庫県に交付申請書を提出し、国庫補助金等計22,514,696円の交付を受けていた。また、組合は、24年度に、基金事業により、施業面積3.0haの間伐の事業を事業費764,220円(基金事業対象事業費同額)で実施したとして、同県に実績報告書を提出し、基金補助金519,669円(国庫補助金相当額382,110円)の交付を受けていた。
しかし、上記の整備事業等を実施したとする221.5haのうち91.6haは、実際は間伐等を実施していなかったり、森林経営計画等に定められた伐採率の要件を満たしていなかったり、伐採木の搬出を行っていなかったりなどしていて、補助の対象とならないものであった。また、上記の91.6haを除いた残りの129.9haのうち99.7haは、施業面積を実際に間伐等を実施した面積よりも過大に算出するなどしていて、補助金等の交付額の算定が適切でなかった。さらに、基金事業を実施したとする上記の3.0haは、実際は間伐を実施していなかった。
したがって、整備事業等について、実際の施業面積に基づくなどして適正な整備事業等対象事業費を算定すると計27,009,591円となり、前記の整備事業等対象事業費計75,049,176円との差額48,039,585円が過大に算出されており、また、基金事業について、実際には事業は実施されておらず、取り崩された基金519,669円の使用が適切でなく、これらに係る国庫補助金相当額計14,793,975円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、組合において整備事業等及び基金事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、同県において組合に対する指導監督及び検査並びに交付申請書、実績報告書等の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。