(1件 不当と認める国庫補助金 16,005,988円)
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(238) | 農林水産本省、東海農政局 | 愛知県 (事業主体) |
― | 地域自主戦略交付金等3事業 | 25、26 | 60,170 | 30,085 | 32,011 | 16,005 |
この補助事業等は、愛知県が、パイプライン設置工事等に伴い支障となる3水道事業者(注)所有の既存の水道管(プラスチック管、鋼管及び鋳鉄管)等の移設に要する費用として、各水道事業者に対し、計60,170,455円(国庫補助金等交付額計30,085,227円)を補償したものである。
「公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱」(昭和42年閣議決定)、「公共補償基準要綱の運用申し合せ」(昭和42年用地対策連絡会。以下、これらを合わせて「公共補償基準」という。)等によれば、公共事業の施行に伴い、既存公共施設等の機能の廃止又は休止が必要となり、その機能の回復を代替施設の建設により行う場合には、当該代替施設の建設に必要な費用から既存公共施設等の機能廃止時までの財産価値の減耗分(以下「減耗分」という。)を控除するなどして移設補償費を算定することとされている。ただし、地方公共団体等が管理する既存公共施設等であって、当該施設等の管理・運営に係る決算が継続的に赤字状況にあるなど、減耗分相当額を調達することが極めて困難な場合等やむを得ないと認められるときは、減耗分の全部又は一部を控除しないことができることとされている。
同県は、減耗分相当額を調達することが極めて困難な場合に該当するとして減耗分を控除しないで移設補償費を算定していた。
しかし、3水道事業者の水道事業に係る決算について、平成21年度から25年度までの実績をみたところ、収益的収支決算はいずれの年度も黒字であったり、黒字の年度があったりしていて継続的な赤字状況にないなど、減耗分相当額を調達することが極めて困難な場合等やむを得ないと認められるときには該当しないことから、減耗分を控除する必要があった。
したがって、本件補償費は、水道管等の標準耐用年数35年から55年(プラスチック管、鋼管及び鋳鉄管)に対する移設対象の水道管等の経過年数2年から43年に応じた減耗分計32,011,982円が過大になっており、これに係る国庫補助金等相当額計16,005,988円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、補償費の算定に当たり、公共補償基準における減耗分の取扱いについての理解が十分でなかったことなどによると認められる。