(1件 不当と認める国庫補助金 4,392,500円)
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(240) | 水産庁 | 青森県 | 八戸市 (事業主体) |
強い水産業づくり交付金 | 21~23 | 1,123,256 | 559,431 | 13,177 | 4,392 |
この交付金事業は、八戸市が、八戸漁港区域内において、対欧州連合(EU)輸出基準を満たし、従来の産地市場にない安全・安心な水産物を消費者に供給することなどを目的として、館鼻地区第3魚市場荷さばき施設A棟(以下「A棟」という。)にフィッシュポンプ(注)等の設備の整備に併せて、電子入札システムの整備を実施したものである。この電子入札システムは、インフォメーション用ディスプレイに表示された漁獲情報等を基に、買受人が端末に入札金額を入力することなどにより、入札業務の効率化を図ることを目的として導入されたものである。
同市は、本件交付金事業の事業計画において、A棟で取り扱うサバの年間取扱数量を、フィッシュポンプを利用した水揚げに対応した漁船の水揚実績等に基づき31,200tと設定していた。
しかし、整備したフィッシュポンプ等の操作や調整に手間取り、水揚げから出荷までの一連の作業に想定以上の時間を要したことなどにより、多くの漁業者がA棟での水揚げを敬遠し、網による従来型の水揚方法により水揚げを行っている同漁港区域内の鮫地区第1魚市場(以下「第1魚市場」という。)での水揚げを選択していた。このため、A棟のサバの年間水揚量は、年々増加しているものの、平成27年度における同漁港全体のサバの年間水揚量54,424.0tのうち1,644.2t(54,424.0tに対する割合3.0%。上記の事業計画における年間取扱数量31,200tに対する割合5.3%。)にとどまっており、残る52,779.8tの水揚げは第1魚市場で行われていた。そして、このように第1魚市場とA棟の年間水揚量に大きな差がある状況の下で、A棟において入札を行うのは入札関係者である卸売業者や買受人にとって負担となることから、A棟で水揚げされたものも含む全てのサバの入札が第1魚市場において行われていた。その結果、A棟に整備した電子入札システムは、24年10月に供用が開始された後全く利用されていなかった。そして、フィッシュポンプ等については、輸出を視野に入れたサバの高度な衛生管理に資するものであることから、同市がその利用を向上させるべく改善策を検討しているものの、電子入札システム(法定耐用年数5年)については、利用されるめどが立っておらず、今後も利用が見込めない状況となっていた。
したがって、本件交付金事業により整備した電子入札システム(事業費13,177,500円)は、補助の目的を達しておらず、これに係る交付金相当額4,392,500円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において補助事業の適正な実施についての認識が欠けていたこと、青森県において同市に対する指導等が十分でなかったことなどによると認められる。