(1件 不当と認める国庫補助金 3,866,830円)
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(244) | 農林水産本省 | 福岡県 (事業主体) |
― | 地域自主戦略交付金 | 24、25 | 87,517 | 43,758 | 7,733 | 3,866 |
この交付金事業は、福岡県が、朝倉市杷木久喜宮(はきくぐみや)地区において、揚水機場の機能を保全することなどを目的として、既設の2か所の揚水機場を更新するために、新たに揚水機、吸水槽の水位の検知等を行う補機計装盤等の製作、据付けなどを実施したものである。
本件工事については、特別仕様書において同県が作成した設計図書等に基づき請負人が詳細な設計を行い、施工することとなっており、請負人において設計図書等に関して疑義がある場合には、同県と協議するなどしてその指示に従うこととなっている。請負人は、両揚水機場における補機計装盤の据付けについては、平坦な床に補機計装盤の底面と同一の寸法の鋼製の架台(以下「据付架台」という。)をアンカーボルト4本により前方2か所と後方2か所で固定し、据付架台の上に補機計装盤を緊結して固定することなどとして設計していた。そして、機器配置図、主要機器断面寸法図等(以下「提出図書」という。)を作成して同県に提出して、同県は提出図書を審査するなどした上で承諾し、請負人はこれにより施工することとしていた。
しかし、設計図書においては、補機計装盤は、別の工事契約で築造した鉄筋コンクリート造の基礎(建屋の床スラブと一体構造の堅固なもの。以下「設備基礎」という。)に据え付けられることとなっていて、設備基礎はピットを設けるために前方用及び後方用に分かれていたのに、提出図書においては、請負人は設計図書を考慮せずに補機計装盤を平坦な床に据え付ける設計としていた。
そして、請負人は、本件工事の施工時に、提出図書の設計どおりに施工すると、前方か後方のいずれか一方のアンカーボルトの固定位置が設備基礎ではなくピット部となることを認識したものの、同県と協議することなくそのまま据え付けることとしたため、後方2か所のアンカーボルトについて、提出図書で用いることとしていたものより長いアンカーボルトを用いてピットの床に先端のみを埋め込み、据付架台と床との間(300mm)はアンカーボルトを露出させたままの状態としていた(参考図参照)。そのため、アンカーボルトは、コンクリートに埋め込む必要があるのに、このように露出させたままの状態では、地震時に発生する水平力に対して容易に変位してしまうことなどから、後方2か所のアンカーボルトは、地震時に所定の機能を発揮できない状態となっていた。
したがって、両揚水機場の補機計装盤(工事費相当額計7,733,660円)は、設計が適切でなかったため、地震時に転倒するなどして破損するおそれがあり、地震時における機能の維持が確保されていない状態となっていて、これに係る交付金相当額3,866,830円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、請負人において設計が誤っていることを認識したのに同県と協議することなく据え付けることとしたことにもよるが、同県において提出図書に誤りがあったのにこれに対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)
アンカーボルトを露出させたままの据付概念図