(1件 不当と認める国庫補助金 85,472,143円)
部局等 | 補助事業者 (所在地) |
間接補助事業者 (所在地) |
補助事業 | 年度 | 事業費 (補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象事業費 | 不当と認める国庫補助金相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(253) | 東北経済産業局 | 岩手県 | 丸高商事株式会社 (岩手県盛岡市) 〈事業主体〉 |
中小企業組合等共同施設等災害復旧 | 24、25 | 431,097 (410,569) |
205,284 | 170,944 | 85,472 |
この補助事業は、東日本大震災に係る被災地域の復旧及び復興を促進することを目的として、中小企業組合等共同施設等災害復旧費補助金の交付を受けた岩手県が、施設及び設備の復旧・整備を行う中小企業等グループ又はその構成員に対して、これに要する経費の一部を補助するものである。
本件補助事業に係る交付要綱等によれば、補助の対象となるのは、中小企業等グループ又はその構成員の施設及び設備であって、東日本大震災により損壊等したもののうち、中小企業等グループが復興事業計画に基づき事業を行うのに不可欠な施設及び設備の復旧・整備に要する経費とされている。そして、事業者への賃貸を目的とした施設の復旧について、補助の対象となるのは、当該中小企業等グループの構成員となっている中小企業者が入居している部分(以下「中小企業者入居部分」という。)のみであり、当該中小企業等グループの構成員である中小企業者以外の者が入居している部分は、補助の対象とはならないこととされている。
中小企業等グループの構成員である事業主体は、東日本大震災で損壊した事業主体所有のショッピングモールB棟、C棟、D棟の3棟(以下「モールB、C、D棟」という。)の建替えなどによる復旧に要したとする事業費431,097,638円(補助対象事業費410,569,179円)に対して国庫補助金205,284,589円の交付を受けていた。そして、上記のとおり、補助の対象が中小企業者入居部分のみとされていることから、補助対象事業費の算定に当たっては、モールB、C、D棟の建設(共用の外構工事等を含む。以下同じ。)に係る事業費に、復旧した施設全体の延床面積に占める中小企業者入居部分の延床面積の割合(以下「中小企業者入居面積率」という。)を乗じて案分計算していた。
しかし、事業主体は、モールB、C、D棟の建設に係る事業費の算定に当たり、モールB、C、D棟と同じ敷地内にショッピングモールA棟(以下「モールA棟」という。)を建設した者から共用の外構工事等に係る費用負担として38,958,053円を受領していて、この金額については費用を自ら負担しないことになるにもかかわらず、この金額を差し引いていなかった。また、事業主体は、中小企業者入居面積率について、モールA棟の延床面積3,134.3m2及びこれに係る中小企業者入居部分の延床面積3,134.3m2を含めて、復旧した施設全体の延床面積を5,961.0m2、中小企業者入居部分の延床面積を4,211.2m2とした上で、70.6%と算出していた。しかし、これらの面積それぞれに事業主体が建設した施設ではないモールA棟に係る面積を含めていたことは誤りであって、正しくは、モールA棟に係る面積を含めずに、復旧した施設全体の延床面積は2,826.3m2、中小企業者入居部分の延床面積は1,076.5m2とした上で、38.0%と算出すべきであった。
したがって、共用の外構工事等に係る費用負担として受領した金額を差し引くなどして算定したモールB、C、D棟の建設に係る事業費に、上記の中小企業者入居面積率38.0%を乗じて適正な補助対象事業費を算定すると239,624,893円となり、前記の補助対象事業費410,569,179円との差額170,944,286円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金相当額85,472,143円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、事業主体において補助事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、岩手県において本件補助事業の審査及び確認並びに事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。