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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 経済産業省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • (2)補助対象事業費を過大に精算していたもの

次世代エネルギー・社会システム実証事業の実施に当たり、事業主体が関係会社に工事を外注した場合に控除すべき当該関係会社の利益相当額の算定を誤るなどしたため、補助対象事業費を過大に精算していたもの[資源エネルギー庁](254)


(1件 不当と認める国庫補助金 3,289,023円)

  部局等 補助事業者
(所在地)
間接補助事業者
(所在地)
補助事業 年度 事業費
(補助対象事業費)
左に対する国庫補助金交付額 不当と認める補助対象事業費 不当と認める国庫補助金相当額
            千円 千円 千円 千円
(254) 資源エネルギー庁 一般社団法人新エネルギー導入促進協議会
(東京都豊島区)
岩谷産業株式会社
(東京都港区)
〈事業主体〉
次世代エネルギー・社会システム実証 24 90,739 
(90,332)
59,620 5,148 3,289

この補助事業は、次世代エネルギー・社会システム実証事業費補助金の交付を受けた一般社団法人新エネルギー導入促進協議会(以下「協議会」という。)が、再生可能エネルギーを効率的に活用するエネルギーマネジメントシステムを構築することなどにより産業競争力の強化を図ることを目的として、地域において同システムの実証等を行う事業者等に対して、これに要する経費の一部を補助するものである。

協議会が経済産業省の補助事業事務処理マニュアル(平成24年4月)に準拠して作成した採択者説明会資料(平成24年6月)によれば、補助対象事業費の算定に当たっては、事業費の中に事業主体がその関係会社等から行った調達(工事等の外注を含む。)に係る経費が含まれる場合、その調達に係る取引価格から当該関係会社等の利益相当額を控除することとされている。そして、関係会社のうち100%同一の資本に属するグループ企業(以下「100%グループ企業」という。)から調達する場合には、調達先の直近年度の決算報告における売上高に対する売上総利益(注1)の割合を乗じて算定した額を利益相当額として取引価格から控除することとされている。

事業主体は、平成24年度に、水素及び燃料電池を活用した地域エネルギー需給バランスの調整に関する実証に要したとする事業費90,739,302円(補助対象事業費90,332,302円)に対して、国庫補助金59,620,366円の交付を受けていた。そして、事業主体は、本件事業のうち水素による電力貯蔵システムの設置に係る工事を関係会社に外注して実施しており、当該関係会社については、事業主体が直接にはその資本金の全額を出資していないため、100%グループ企業以外の関係会社であると認識していた。このため、事業主体は、補助対象事業費の算定に当たり、100%グループ企業以外の関係会社から調達する場合に用いる前年度決算報告の売上高に対する営業利益(注2)の割合を乗じて算定した利益相当額を控除するなどしていた。

しかし、当該関係会社の資本金についてみると、事業主体からの出資による分以外は事業主体の完全子会社からの出資によるものであることから、当該関係会社は、100%グループ企業に該当するものであった。このため、事業主体は、上記の外注した工事について、前年度決算報告の売上高に対する売上総利益の割合を乗じて算定した利益相当額を控除するなどして、補助対象事業費を算定すべきであった。

したがって、売上総利益の割合を乗じて利益相当額を算定するなどして、本件補助事業の適正な補助対象事業費を算定すると85,184,120円となり、前記の補助対象事業費90,332,302円との差額5,148,182円が過大に精算されており、これに係る国庫補助金相当額3,289,023円が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、事業主体において関係会社に工事を外注するなどした場合に補助対象事業費から控除すべき利益相当額の算定方法についての理解が十分でなかったこと、協議会において事業主体に対する指導、実績報告書等の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。

(注1)
売上総利益  売上高から売上高に対応する商品等の仕入原価又は製造原価を控除した額
(注2)
営業利益  売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した額