(1件 不当と認める国庫補助金 5,946,257円)
部局等 | 補助事業者 (所在地) |
間接補助事業者 (所在地) |
補助事業 | 年度 | 事業費 (補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象事業費 | 不当と認める国庫補助金相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(258) | 東北経済産業局 | 株式会社マツザワ (秋田県秋田市) 〈事業主体〉 |
― | 中小企業・小規模事業者連携促進支援(新連携支援) | 26 | 12,066 (11,217) |
7,420 | 9,006 | 5,946 |
この補助事業は、中小企業の新たな事業活動の促進を図ることなどを目的として、事業の分野を異にする2以上の中小企業者が「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」(平成11年法律第18号。平成28年7月1日以降は中小企業等経営強化法)に基づく主務大臣の認定を受けた計画に従って新たな事業活動を実施する場合に、その代表者に対して、必要な経費の一部を補助するものである。事業主体は、25年度から29年度までの5年間にわたり、試験環境を選ばない生産現場対応型硬さ試験機の開発及び事業化を連携先の会社と共に行うとして、ロックウェル硬さ試験(注)を行う従来型の硬さ試験機を小型・軽量化した卓上型の試作機(以下「ロックウェル試作機」という。)を開発し、改良していくなどとする計画について上記の認定を受け、26年度は、認定を受けた計画のうち、前年度までに開発したロックウェル試作機の更なる仕様検討等を行う事業を対象として、東北経済産業局から補助金の交付決定を受けていた。そして、事業主体は、ロックウェル試作機の仕様検討を行うとともに、新たにハンディタイプの硬さ試験機(以下「ハンディタイプ新試験機」という。)の開発を行い、これらの事業を事業費12,066,715円(補助対象事業費11,217,623円)で実施したとして東北経済産業局に実績報告書を提出して、これにより国庫補助金7,420,538円の交付を受けていた。
しかし、ハンディタイプ新試験機は、日本工業規格で定められていない硬さ試験を行うこととしていてロックウェル硬さを測定できないなど、硬さ試験の方法、機器の構造、使用方法等の点においてロックウェル試作機とは全く異なる機器であり、その開発は、認定を受けた計画に記載されていた事業ではなく、また、補助金の交付決定の対象となっていた事業であるとも認められない。なお、ハンディタイプ新試験機は、28年5月の会計実地検査時点においても、内部の配線がなされていないなどのため、全く作動しない状態であった。
したがって、補助の対象とならないハンディタイプ新試験機の開発に係る経費を除いて、適正な補助対象事業費を算定すると2,211,423円となり、前記の補助対象事業費11,217,623円との差額9,006,200円が過大となっていて、これに係る国庫補助金相当額5,946,257円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、事業主体において補助事業の適正な執行に対する理解が十分でなかったこと、東北経済産業局において実績報告書等の審査及び確認並びに事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。