(3件 不当と認める国庫補助金 27,634,000円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(273) | 新潟県 | 五泉市 | 防災・安全交付金(下水道) | 25、26 | 39,551 (37,284) |
18,642 | 11,832 (11,154) |
5,577 |
(274) | 石川県 | 金沢市 | 同 | 25 | 29,692 (29,692) |
14,846 | 22,881 (22,881) |
11,440 |
(275) | 広島県 | 府中市 | 同 | 26 | 50,737 (46,499) |
23,249 | 21,233 (21,233) |
10,616 |
(273)―(275)の計 | 119,982 (113,477) |
56,738 | 55,947 (55,268) |
27,634 |
これらの交付金事業は、3市が、下水道事業の一環として、雨水管、マンホール等を整備するなどの工事を実施したものであり、このうち雨水管の整備は、道路を開削して函渠(かんきょ)を埋設し、その埋戻し、舗装の復旧等を行ったものである(以下「函渠埋設工事」という。)。
道路の構造は、道路法(昭和27年法律第180号)によれば、当該道路の交通状況等を考慮して、安全かつ円滑な交通を確保することができるものでなければならないことが原則とされており、舗装の構造については、「舗装の構造に関する技術基準・同解説」(社団法人日本道路協会編)によれば、道路管理者は、この原則に従って、道路に下水道管等を埋設しようとする事業者に対して路面の機能を損なわないよう指導する必要があるとされている。そして、本件工事に係る3道路管理者は、道路を開削した場合の復旧について、路面の機能を損なわないように、道路管理者が定めた道路の復旧に係る基準(以下「道路復旧基準」という。)に基づく舗装厚とすることなどとしていた。
また、函渠の埋設に当たっては、「下水道施設計画・設計指針と解説」(社団法人日本下水道協会編。以下「設計指針」という。)によれば、適切な流速を確保するために必要な勾配としなければならないとされている。
3市は、函渠埋設工事の設計に当たり、設計指針等に基づいて、適切な流速を確保するために必要な勾配が確保されるように、函渠の埋設位置及び函渠を埋設する道路表面から函渠頂部までの深さ(以下「埋設深さ」という。)を決定し、これにより施工していた。
しかし、3市は、埋設深さの決定に当たり、道路復旧基準等に基づく舗装厚を確保するようにしていなかったため、函渠が舗装の一部である下層路盤、上層路盤等に入り込んでいて、道路復旧基準等に基づく舗装厚となっておらず、また、道路の復旧について舗装の構成を変更するなどの路面の機能を損なわないようにするための措置も執っていなかった。このため、函渠が路盤等に入り込んでいる箇所とそれ以外の箇所とでは舗装厚が異なっていて、舗装構造が一様でなく、不同沈下に伴う路面の不陸等が生じて路面の機能が損なわれるおそれがあるなどの状況となっていた。
したがって、前記工事のうち函渠埋設工事については、設計が適切でなかったため、路面の機能が損なわれて安全かつ円滑な交通が確保されていないおそれがある状態になっており、舗装構造が一様でなくなった区間に係る交付金相当額計27,634,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、3市において、函渠埋設工事の設計に当たり、函渠を道路に埋設する際に路面の機能を損なわないようにすることについての理解が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
金沢市は、金沢市神宮寺2丁目地内において、平成25年度に、一般県道金沢停車場北線の車道(幅員11.0m、舗装厚60cm)を開削して、函渠(内空断面の幅0.9m~1.0m、高さ0.6m~1.1m、延長108.4m)を埋設し、舗装の復旧等を行っていた。そして、同市は、埋設深さを8cmから60cmとし、これにより施工していた(参考図参照)。
しかし、車道の舗装厚については、上記のとおり、埋設深さを8cmから60cmとしたため、函渠を車道下に埋設した延長108.4mの区間において、函渠が舗装の一部である下層路盤、上層路盤等に入り込んでいて、石川県が定めた道路復旧基準に基づく舗装厚60cmを満たしていなかった。
したがって、本件函渠埋設工事(工事費相当額22,881,000円、交付金相当額11,440,500円)は、設計が適切でなかったため、路面の機能が損なわれて安全かつ円滑な交通が確保されていないおそれがある状態になっていた。
(参考図)
舗装断面概念図
縦断概念図